【旅エッセイ7】津軽鉄道の夕陽
父の故郷の北津軽。
津軽鉄道では冬になると、ストーブ列車が走る。今も走っているのは青森だけだと言われると誇らしい気持ちにもなる。
私が津軽に行くのは決まって夏。夏はストーブ列車は走っていないけれど、津軽鉄道はもちろん走る。単線で、一台だけの車両が線路をゆっくりと走っている。
田んぼの間に作られた踏切には遮断機もない。人も車もほとんど通らないから、必要ないのかも知れない。電車が近付くと警報機の音だけがカンカンと鳴る。
夏の津軽は青々とした田んぼと、遮るもののない広い空があって、眺めているだけで幸せな気分になる。
田んぼの向こうに落ちる夕陽を眺めていると、警報機がカンカンと鳴った。
夏の津軽鉄道と、落ちる夕陽が重なった。
また新しい山に登ります。