見出し画像

21:シュウエン ヘノ プロローグ

 さて。認知症になったおばあちゃんと対面した最後の二日間の話へ移る前に、父の兄妹+αの話をしたい。
 残り四.五話で纏めなきゃいけないし、この件は要らないかなあ……と思ったのだけれど、彼ら(彼女ら)の紹介をしないと話が上手く消化出来ず、全く意味不明な産物になってしまう事実に気が付いてしまったのです。
 なるべくサクッと終わらせるので、お付き合い頂きたい。

 ちなみに、これまでの話(1〜20話)は以下のマガジンで読めます。


 父の兄妹構成が長女・次女・長男・次男・三女であることは、『17:ほんとは恐いおばあちゃんの昔話』に記した通りである。まずは、この順番に各々の紹介をしていきたい。

 佳子

 長女。東京都在住だが、同じ関東圏内に暮らす弟妹はおろか、親戚の誰とも関わりを持とうとしない。誰の立場から見ても最も疎遠な人。伯母その①だけれど、よく知らない。謎の人物

 次女・三女と仲が悪い。高校を卒業して直ぐ、家族に一言も告げず逃げるように実家を去って行ったらしい。その所為もあって、家族から『風変わり』『おかしな人』認定されている。
 後述する長男が亡くなった際に行われた葬式にも欠席。一同から反感をかった。

 純子

 次女。『20:日曜の凶報』にも登場した「おばあちゃんの家の近くに住んでいて世話役でもあった」人。伯母その②。

 実家と同じ県内に住んでいる為、生活の支援をするだけでなく非常事態──例えば水害一歩前の大雨が降った時など、危機が迫った時には嫁ぎ先の家で引き取って一時的に暮らしていたこともある。世話(介護)の中心に立っている。
 長女・佳子と折り合いが悪く、子供の頃から「姉は役に立たない」と宣言。現在も「ウチの実質的長女は私」と思っている。また、長男が決して体の強い人では無かった上、家業を継ぐどころか家を出て、闘病で手一杯な生活をしていることから「ウチの実質的権力者も私」と思っている節がある。
 性格も口も悪い。が、猫被りがプロ級なので、一見すると慎ましい常識人。

 貴志

 長男。『17:ほんとは恐いおばあちゃんの昔話』で、次男(私の父)と悪戯をやらかしてた悪ガキ。伯父。一時期、毎年冬になると箱いっぱいのミカンを贈ってくれたことから、姪(私)から『ミカンの人』と密かに呼ばれていた

「台風で派手に揺れる木を見て、真夜中に『お化けだー!!!!』と叫んだことがある」と弄られ続けるエピソードが幾つかある程のビビりだったらしい。次男とはよく喧嘩もした為、言動をよく理解している。
 高校卒業後、「この場所は嫌いだ」と言い残して九州へ単身移り住む。数年後、糖尿病を罹患。多くの合併症も患う。おばあちゃんが認知症となった翌年、長きに渡る闘病生活の末に逝去。

 博志

 次男。私の父。『13:老人と色』でチラリと話題に出た通り、大学を卒業している。これから書く予定の二日間に関する“メモ”に残されている情報によると、兄妹の中で唯一の大卒らしい。

 基本的にはお喋り野郎だが、肝心な時には黙りをきめこむタイプ。兄妹間で最も発言力がない。姉二人と妹の気と我が強すぎる所為で幼少期から「虐げられている感」を抱いている。成人後は波風を立てないように低姿勢をキープ。姉妹の発言に流されがち。特に次女・純子によく影響されている
 その所為で後々、娘(私)から「実の母親に“そういうこと”言うな」と窘められる。

 陽子

 三女。過去記事に度々『悪魔』と称されて登場した悪魔。叔母。

 上京後、カレシと結婚を前提にした同棲を開始するまで次男(私の父)の家に転がり込んで無理矢理同居し、「妹なんだから当然デショ」を盾に家賃全額・光熱費全額・多額の電話代諸々を家主に押っ被せた人物。しかし、当時次男(私の父)は借金を背負っていた為に払えず。結果、次男のカノジョ(私の母)が高額な料金を総て支払う事案が発生。
「よくそんな人と結婚したね」と母に問うと、死んだ目で
「アナタがお腹に居たからね」と返ってくるので、この事案はいろんな意味で地雷であり悪夢である。
 因みに我が愛しき母と叔母は『因縁の相手』というより『唾棄する相手』であり、私にとっても『唾棄する相手』なので、このネタで語ろうものなら文字数がいくらあっても足りないし、途中で強い酒を呷りたくなるので此処では割愛する。
 強いて端的に言うなら「可能なら未来永劫関わりたくない人間」

 悪魔的所行は幼少期から健在だったらしく、我が儘を煮詰めた末っ子だったらしい。すごくわかる。次女・純子の後ろに隠れてヤジを飛ばすのが特技。直ぐヒステリーを起こす。兄妹のヒエラルキーは頂点が次女・純子、次点が自分だと思っている。
 思い通りにならないと、毎度食卓の下に隠れて拗ねまくっていた。
 その際、机の裏側に自ら掘った『ようこはいいこ』の文字を撫でていたのは一家の伝説となっている(私は「叔母って伝説のバカね」と思った)。

 以上が父の五兄妹である。
 最後に+α──長男・貴志氏のお嫁さん、冨美子さんについて紹介したい。

 冨美子さん

 長男・貴志の嫁
 付き合いが全く無かった故に、私個人が勝手に抱いた印象で申し訳ないが、やや自己主張が薄い人だと思った。というか、三姉妹の気と我とキャラが強すぎて、どう足掻いても『極めて控え目な性格の女性』にしかならない
 でも、最期まで献身的に夫の世話をしていた事や、ほぼ女手一つで息子と娘を育て上げた事。夫に代わって働いていた事を考えると、心身共に強い人、若しく我慢強い人なのだろう。少なくとも三女・陽子と違って直ぐヒスったりはしないに違いない。


 此処まで読んでいただいた人で察しの良い方なら、『認知症になったおばあちゃん』『これからの介護』『話し合い in おばあちゃん家』のワードを並べただけで、次回からの話がどんなものか予想がつくかもしれません。
 そうです。もう、泥沼も泥沼。ギスギスにギスった挙げ句、激しい姉妹喧嘩に発展します。
 そして『話し合い』の裏に隠された、次女・三女の『真の目的』も明らかになるのです。

 本記事を書く為に引っ張り出した“メモ”を読み直して、私はほとほと胸が悪くなった。いやもう、ほんと「この姉妹まじで性格最悪だな!!!」と叫びたくなった。私には喧嘩が出来る兄弟も姉妹も居ないので、正しい兄弟喧嘩(或いは姉妹喧嘩)が分からぬ。分からぬが、目の前で繰り広げられた喧嘩ほど、醜く嘆かわしい愚かな喧嘩は無いだろうと思う。
 というか、あって欲しくない。
 しかも、その喧嘩をおばあちゃん──実母──の目の前で繰り広げられるのだから、本当に耐え難いものだった。

 あとは……そう、人間の二面性を見た。ここまで態度を一八〇度変えられる物なのかと酷く驚き、人生で初めて嫌悪した。

 そんな、おばあちゃんと最後に対面した二日間〜二泊三日、中国地方北東部最後の旅〜を三話ほどで簡潔に綴っていこうと思う。

(続く)

ここまで読んでもらえて嬉しいです。ありがとうございます。 頂いたサポートはnoteでの活動と書籍代に使わせて頂きます。購入した書籍の感想文はnote内で公開致します。