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【まとめ】小説家になって億を稼ごう

キャッチーなタイトルに惹かれて買ってしまった。
著者は『万能鑑定士Q』を書いている現役作家の松岡圭介さん。
この人の作品は読んだことがないが、本屋で平積みされているのを目にしたことがある。

中身は小説の書き方が3割
残りは作品が出来てからのアプローチ方法について書かれている。
この本を手に取る人は「作品を完成させる」ノウハウが欲しくて買うと思うが、創作テクニックについては、それほど書かれていない。
しかし、著者の創作方法が面白かったので、創作に関する箇所のみを抜粋してみようと思う。
一度試してみたいと思わせるユニークさがある。

1.デビュー作は長編から書く

小説づくりの肝は、執筆ではなく『想造』にあると思ってください。
作業の出発点にして最も重要な段階で、充分に時間もかける必要があります。
では長編小説の制作に取りかかりましょう。
短編一本では出版のしようがありません。
長編なら一冊の本になります。デビュー作(処女作)から印税を得る前提で進めるのです。

第二章人々に愛される物語の『想造』とは

いきなり長編に挑めという方針。
タイトル通り、本を出すことより「金を稼ぐこと」が目標になっている点が良い。

2.登場人物とサブを用意する

①貴方の好きな俳優を七人選び、顔写真をネットからダウンロードしましょう。
男女比は四対三としますが、男女のどちらをひとり多くするかは貴方の自由です。主人公の性別も同様です。
これら俳優たちは、貴方の脳内で登場人物を演じるメインキャストになります。
②メインの七人が貼りだされたら、さらに五人、サブの登場人物を作りだします。
メインほど華やかではないものの、ひと癖もふた癖もある脇役を揃えましょう。
これらサブキャラクターを、メインの七人の下に並べて貼ります。

第二章人々に愛される物語の『想造』とは

多分、この作品の一番重要な点。
この段階で、登場人物の「人生の目標」や「過去のトラウマ」などは掘り下げてはいけない。
(登場人物の幅を狭めてしまうため)

3.登場人物を壁に貼る

③登場人物ひとりにつき一枚におさまるようレイアウトし、すべてプリントアウトします。
七人の登場人物を、貴方の部屋のよく見える壁に貼りつけます。

第二章人々に愛される物語の『想造』とは

探偵の机のように、登場人物の資料を壁に貼っていく。
この方法はビジュアル的に憧れる部分がある。
ちょっとカッコいい。

4.舞台の写真を貼る

④次に登場人物たちがどこで動きまわるのか、舞台を設定します。
風景写真を三か所、やはりネットからダウンロードし、十二名の登場人物の下に貼りつけます。

第二章人々に愛される物語の『想造』とは

この辺りは作者独自のステップが面白い。
中身を作る前に、まず登場人物と舞台を用意する。
この段階ではストーリーは何も動き出していない。

5.登場人物のやりとりを想像する

⑤十二人の登場人物と、三か所の風景が貼られた部屋で、しばし寝起きして過ごします。
部屋にいる間はそれらを眺め、登場人物たちの動きを空想します。
最初は何の脈絡もなく、AとBが街角で談笑しているとか、そこにCが割って入るとか、ただ情景を思い描くだけで構いません。
そこから行動の意味を連想していきます。

第二章人々に愛される物語の『想造』とは

サラッと言っているが、ここは個人の能力が左右する部分だと思う。
著者は、ここまで環境を作れば、登場人物たちが動き出すと言っている。
しかし、12人というのは「プロになれた作者」だからこそ動かせる量ではないか?という疑問が浮かぶ。
素人がいきなり12人の人間を頭の中で動かすのは難しい。
自分はこの辺りでハードルの高さを感じてしまった。

6.逆境を用意する

⑦波乱を乗り越えてしばらくしたら、次に登場人物たちをより激しい波乱に直面させましょう。
やがてどうしても乗り越えられない波乱にぶつかる時がきます。
一週間じっくり考えても解決不可能であれば、そこが本当の「転」、物語の山場だと解釈してください。
作者である貴方や登場人物らと同様、読者も絶望を感じる局面です。
解決不可能な難題を解決させるため、ここで初めてメモをとります。
パソコンでも、単なるメモ用紙でも構いません。

第二章人々に愛される物語の『想造』とは

次は一体どうなってしまうんだ?という状態に陥ってから、初めてメモを取る。
作者も読者もハラハラしている状態なのが面白い。
しかし力量がないと、ここから納得のいく展開も書けないと思う。
やはり肝心なところは、個人で知恵を絞る必要がある。

7.三幕構成であらすじを書く

三幕構成は「第一幕=設定」「第二幕=対立」「第三幕=解決」です。
三行を読み返せば、それぞれの要素が当てはまるはずです。
『想造』段階で登場人物とともに波乱を乗り越えたことで、三幕構成に分かれる物語が、すでに構築できているのです。
『想造』の物語を脳内再生しながら、三幕それぞれの要素を書きこんでいきます。

第一幕は十行、やはり一行の長さは四十字で、5W1Hの文章にします。
十行で第一幕のすべてを書き終えるようにしてください。
第二幕は倍の二十行を書きます。
見出しに要約された第二幕の物語を、二十段階に分けるのです。
最後に第三幕を十行書きます。この十行目で『構造』した物語をきちんと終わらせましょう。

40字×3行で物語を表現する

以上である。
著者以外が再現できるか怪しいが、創作手順が詳しく書かれていて面白かった。
現役作家でノウハウを公開するというのは『荒木飛呂彦の漫画術』に近いと思う。
あと、以前書いた記事に今回の記事を貼っておいた。

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