キャッチーなタイトルに惹かれて買ってしまった。
著者は『万能鑑定士Q』を書いている現役作家の松岡圭介さん。
この人の作品は読んだことがないが、本屋で平積みされているのを目にしたことがある。
中身は小説の書き方が3割。
残りは作品が出来てからのアプローチ方法について書かれている。
この本を手に取る人は「作品を完成させる」ノウハウが欲しくて買うと思うが、創作テクニックについては、それほど書かれていない。
しかし、著者の創作方法が面白かったので、創作に関する箇所のみを抜粋してみようと思う。
一度試してみたいと思わせるユニークさがある。
1.デビュー作は長編から書く
いきなり長編に挑めという方針。
タイトル通り、本を出すことより「金を稼ぐこと」が目標になっている点が良い。
2.登場人物とサブを用意する
多分、この作品の一番重要な点。
この段階で、登場人物の「人生の目標」や「過去のトラウマ」などは掘り下げてはいけない。
(登場人物の幅を狭めてしまうため)
3.登場人物を壁に貼る
探偵の机のように、登場人物の資料を壁に貼っていく。
この方法はビジュアル的に憧れる部分がある。
ちょっとカッコいい。
4.舞台の写真を貼る
この辺りは作者独自のステップが面白い。
中身を作る前に、まず登場人物と舞台を用意する。
この段階ではストーリーは何も動き出していない。
5.登場人物のやりとりを想像する
サラッと言っているが、ここは個人の能力が左右する部分だと思う。
著者は、ここまで環境を作れば、登場人物たちが動き出すと言っている。
しかし、12人というのは「プロになれた作者」だからこそ動かせる量ではないか?という疑問が浮かぶ。
素人がいきなり12人の人間を頭の中で動かすのは難しい。
自分はこの辺りでハードルの高さを感じてしまった。
6.逆境を用意する
次は一体どうなってしまうんだ?という状態に陥ってから、初めてメモを取る。
作者も読者もハラハラしている状態なのが面白い。
しかし力量がないと、ここから納得のいく展開も書けないと思う。
やはり肝心なところは、個人で知恵を絞る必要がある。
7.三幕構成であらすじを書く
以上である。
著者以外が再現できるか怪しいが、創作手順が詳しく書かれていて面白かった。
現役作家でノウハウを公開するというのは『荒木飛呂彦の漫画術』に近いと思う。
あと、以前書いた記事に今回の記事を貼っておいた。