見出し画像

ひとり羽越本線、瀬波温泉の旅館にしっぽり泊まる【春の新潟③】

前回の続き。


村上市にある瀬波温泉を目指します。

・羽越本線、鄙びた午後の昼下がり

かくして羽越本線、普通列車、村上行き。E129系。

内野行きだけど、村上行きも同じ車両形式だよ!

ロングシートとクロスシートを組み合わせたセミクロスシート。進行方向左側のクロスシート窓側に位置取りたいものだが、乗客が多く、一旦ロングシートに着席。よかろう。そのうち席が空く。

進行方向左側の席に座る癖がある。長年そのように乗り鉄をしていたものだから、顔の左半分にシミが増えてしまった(乗り鉄女子の君、顔の紫外線対策はしっかりやろうな!)

春だ。

窓から入るやさしい日差しにウトウトする。列車の心地よい揺れに身をまかせ、うたた寝するのも乗り鉄の礼儀ってもんだ。

日本海沿を走る羽越本線だが、新潟から村上までは、ほとんど海の景色が臨めない。眼前にコシヒカリと思しき田んぼの風景が広がる。まだ田植え前かな。

アニエスベーのTシャツにありそな景色

これが収穫前になると、黄金のいなほを実らせて、田んぼが輝いて、とてもおいしそうに見えるんだ。今年も美味しい米を実らせてくれよ…と祈りながら、1時間半、列車にコトコト揺られる。

のんびりいい気分。

・名物! 村上駅のウェルカム・サーモン

村上駅に到着。

改札口には、干された鮭が「らっしゃい!」と旅行者を出迎える。ウェルカム・サーモンといったところか。駅に魚が吊される光景は、日本でも珍しい景色ではないだろうか。

これらは村上の名物・塩引鮭。塩をすり込ませた秋鮭を寒風干しにする伝統料理だ。適度な低温・湿度、北西の潮風が運んでくる塩分と乳酸菌が絶妙に組み合わさり、旨みを極限まで引き出すという。

この塩引鮭は、村上を訪れる旅行者のおもてなしとして、市内の小中学生が吊るしてくれてるそうな。嬉しいねぃ。

・一人旅、温泉旅館ではこう過ごす

駅からは予約してある旅館「はぎのや」へ。
ここで、私が一人で温泉旅館に泊まった時のスケジュールを話しておこう。

・チェックイン
・風呂のちビール
・うたた寝
・夕食
・風呂のちビール
・就寝
・朝風呂(くノ一)
・朝食
・うたた寝(一番気持ちがいい)
・チェックアウト

うむ、実にくだらない。

朝風呂(くノ一)については、後ほど解説するとして、こうして実際文字にしてみると、我ながら実のなさに感動する。なお、すべての項目の間に「だらだらスマホ」が入るのは言うまでもない。

個人的な話だが、スマホを開けば、ガールズちゃんねるやら5chしか見ない自分。毎度辟易している。よって、今回はミステリー小説を1冊帯同した。

宮部みゆき「火車」。がるちゃんの「おすすめの小説おしえて」スレには、毎度いの一番に名前が上がる、がるちゃん民「必読の書」なのだ(どこまでもガルちゃんから離れられない自分よ)。

湯煙を見下ろす広縁の小テーブルに本を置けば、ほら雰囲気が出る。

もくもく揺蕩う湯煙。癒される。
そして小説の世界に引き込まれる。

瀬南温泉というと、海っぺりのイメージがあるが、今回は少し離れたお宿。いいお宿です。お風呂からは海が見えたよ。

・旅館の夕食は一番のお楽しみ

最近はありがたいことに、温泉旅館での一人旅プランも増えてきた。

食事はお部屋食にしたり、個室にしたりと、何かと気遣ってくれてありがたい。今回は個室でお食事。一人用のこじんまりした個室で、テレビもあるぞ。退屈せず、ありがたいことこの上ない。

まずは地元の日本酒とビール(チェイサー)を頼む。そしてお料理。

ムフフ

手前にある名物の鮭。日本酒をちょろっとかけ、ちょっと柔らかくして食べるのが村上流とのこと。言われた通りちょろっとかけ、レモン汁をちょいちょいっとつけて、口に運ぶ。結構カタイね。ガシガシ噛んで、ウマみ。

写真に写っている以外にも、お作りや鍋やら、最高の晩餐であり。

鮑を踊り焼きもしてみた。うねうね動くで。すごい迫力。謎の背徳感。

そしてシメは、この辺りでとれたお米。白米。新潟は、お米が美味しいのだ。何杯でもいけちゃう。米処は最&高である。

・「朝風呂くノ一」を極める

吉本の女漫才師・爛々のネタでこんな一節がある。

女友達との温泉旅行にて「明日朝風呂行こうなって言って、行けた人います?」「あれ、行けるのオカンだけ」「気ぃついたら、おらんなって、気ぃついたら、帰ってきてるのよ」「あの時のオカン、確実にくノ一ですもん」「ホンマにそうやで」

ここから、私は、朝風呂に行くことを「くノ一」と呼んでいる。何を隠そう、私には8年ほど、くノ一のキャリアがある。

とりわけ、朝の露天風呂は最高である。産まれ立ての、まだ誰も触れていない、朝の透明な空気。緑の匂いが混じり、少し甘い。あの空気を吸うために温泉旅館に泊まっていると言っても過言ではない。

朝の澄んだ空気は、7時にはもう消えている。5時に行けたらハッピーだが、なかなか起きるのに苦労する。遅くとも、6時には起きて風呂に向かいたいものだ。

朝風呂では長居はしない。しゅっと浸かって、しゅっと部屋に帰る。誰にも気づかれないこの忍びワザ、完全犯罪もの。

この日も2、3人ほどのくノ一たちがいた。

・今回の旅程まとめ

DAY2 後半
13:45ごろ 新潟発 
 ・羽越本線
15:00ごろ 村上着
 ・旅館「はぎのや」チェックイン

続きはこちら


この記事が参加している募集

泊まってよかった宿

至福の温泉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?