明日気

みえるから きこえない

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みえるから きこえない

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無題

ここに残ったもの 手にとって 見る 透明だ 1978年の田んぼ 私の横 風が通り過ぎ おばあちゃんのことを少し思い出す 街は騒がしいから 宇宙へのロケットに飛び乗った 途中で燃料が無くなって ビニール袋みたいに落ちてった 熱さ 冷たさ 全部愛そうよ 謝って無かったことになるなら 人間は生まれてこなかった

    • 空想未来都市ザナヅ

      高邁な精神を持つ高麗人参のスムージーで朝が始まる 彼方に浮かぶ太陽めいた嘘とともに新たな敵に備え身支度をする ここは老老介護著しい兼業作家の検閲所 「目新しいことはあったかい?」 目立たなくすることに躍起なシャイボーイが完全体になろうとしている 街は依然 狼狽 明るい未来を夢見た赤子はさながらマシンガンのように泣きわめく コロコロと可愛いロケットのおもちゃは国が指定した強化教育教具 哀しみと不安を濾過した感情で 雑味が無いことで人気を博した外来種はタンバリンの音色で踊る

      • こねて くりまわす

        水をひとくち 飲んで おいしい と思ったとする そのすぐあとに おいしいかもしれない と言い直す おんなじように おいしいのかなぁ おいしいはず 多分おいしい 絶対おいしい おいしい気がする おいしいという人もいる おいしい場合もある おいしいことが多い おいしいはずがない おいしくない と言い換えていくと それぞれで感情がバラバラに変化して 自分がこんなに言葉に左右されてきたんだと 気づいた 気づいたはずがない

        • とおくまで

          なっちゃんのリンゴ味を 両手でしっかり持つ そんな子どもをのせた自転車が 沿道の白花とすれ違った 花は自転車を追いかけるように 舞い 静かに落ちていった その光景は時間にして約10秒くらいで わたしと場面の間には人や空気の往来もあったけれど それらはほとんど目に入らなかった 事物と自分の間には 他のなにものも介在させない 関係を築くことができる気がして すごく気分が高揚 した

          買う という行為が苦手

          いや、買うのは好きなんだけど え? 食べたりとか飲んだりとかゲーセンで100円を穴に入れたりとか、そういう買う、消費?は好きで 使ったお金がすぐその場で欲望の消化に使われる感じで そういうのは好きなんだけど 服とか 本とか お店なんかで その場で あ、いいなー と思って買うわけなんだけど 結局1度も着ない食べない開かない そういう「持って帰る系」のものって、基本的に他所行きの格好をした状態で出会う。不特定多数の人間に見られ、なおかつそのうちの何%かの心に入り込み、あわ

          買う という行為が苦手

          氷に 熱湯をかけると

          目と目が合う 歌詞とかにありそうだよね 最近 目 合わせてます? わたし 比較的目を合わせるのが苦手で そらす癖?みたいなのもあると思うけど すぐしんどくなってしまう でもしんどくない時もあってね 相手が本当に自分のことを知りたいと思って見つめてくる人とは あんまりしんどくない 「人とすぐに打ち解ける30の方法」とかいうありそうな自己啓発本を読んで、「7.目を合わせると人との距離が縮まりやすい」の項目を読んでやろうとするような人 の 目は そらしたくなってしまう 刺

          氷に 熱湯をかけると

          https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200527-00000021-hokkaibunv-hok どうしても会いたかったか...

          https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200527-00000021-hokkaibunv-hok どうしても会いたかったか...

          いないのと一緒 って言葉が今日 耳に入ったよ 想像できるようなこわーいことじゃない バイトのシフトに週4時間しか入れない人がいて その人のこと 時間が 少ないから いないのと一緒 ってこと だからそんなに不思議な出来事じゃないよね よくあること 6人くらいで会話をしてて 一言も喋らない人がいたら その人も いないのと一緒 って いう人もいるかもしれないね それも ちょっと何様だよって思えるかもしれないけど そんなに不思議な出来事じゃないね でも

          こどもだった ときみたいに

          (「くりかえして くりかえす」の続き) 燃えた 耐える 耐えない の理性が間に合わない 沸点 気付いたら身体が 我を忘れて それが怒りの生まれ方 先刻まで手を差し伸べようかと考えていた者どもに、刃を向けた 1発 2発 全身の力を込めて 喉が文字通り裂けるくらいに叫んだ 「うるせえんだよ!」 陳腐な言葉 には 陳腐な言葉が返ってくる 「あッ、すいませーーン 」 」」」」 「「「「 自分の

          こどもだった ときみたいに

          くりかえして くりかえす

          (「こんなにたのしくて くるしいのに」の続き) 知人に一連の出来事を話したら、彼の中で点と点がつながったような稲妻が発生し、どうやらあの人じゃないか、という話になった。 異国から日本へやってくる人間たちの事情は様々だ。仕事や結婚でやってきて、その子どもは生まれた時から日本にいることもあれば、成長途中でやってくることもある。こうした状況では必ずしも日本語を習得した状態でいる人ばかりではなく、公的、あるいは民間による「支援」が必要となるケースが多い。この家族も、その「支援」の

          くりかえして くりかえす

          こんなにたのしくて くるしいのに

          (「いつもどこかでだれかがいきてる」の続き) どうして工事現場の音に例えたかというと、工事っていうのは基本的にはいつかは終わる、そういうものだから。いつか止む音。これはいつか止むのだろうと、勝手に考えていた。 数日、数週間経って、我慢ができなくなってきた。昼下がりに突然鳴り響く叫声や、もはや声なのかもわからない金切り声で起こされる朝が続き、限界だった。 ある日、枕元で誰かに囁かれたので、バッと起きたがもちろん誰もいない。隣家だ。ただあまりにも声が近すぎるので窓を開けてみ

          こんなにたのしくて くるしいのに

          いつもどこかでだれかがいきてる

          3月だったか4月だったか。正確に日取りは忘れたが、隣の家に新たな人間たちがやってきた。隣の家、といっても私が住むアパートの隣の部屋、ということではなくて、家として、棟として隣の区画にやってきた。 私の部屋には光が届かない。叙情的な詩的な意味でもなんでもなく、文字そのままの意味で届かない。人口密集の中に生える雑草のようなアパートなので、隣の区画との隔たりがほとんどなく、窓を開ければそこには壁がある。殺すとわかっていながら、最近ペチュニアをベランダに置いた。光の届かないベランダ

          いつもどこかでだれかがいきてる