名前がほんとに覚えられなくてさ、
私は犬が好きだ。
私の幼少期アルバムは1枚目から堂々と
シーズー2匹が鎮座しているし、
産まれてから今日に至るまでワンコが
我が家にいなかったという時期は一度もない。
にもかかわらず、困ったことに私は犬種というものをまるで知らない。
我が家にいた子たちや、知り合いが飼っていたワンコの犬種ならなんとか分かる。
チワワ、ダックス、コーギー、柴犬…
あとはもう皆無。
全くわからない。
街中で見かけたワンコが、シーズーを含む上記5種以外となると、あとはもう自動的に「なんとかシュナウザー」呼ばわり。
ほんとにシュナウザーごめんと思う。
たいして知りもしないのにシュナウザーに全てを
背負わせている上に、実際そのワンコが
シュナウザーだったことは過去一度もない。
「なんとかテリア」が多い。色々ひどい。テリアもごめん。
犬の種類なんてどうでもいいやなどと思っているわけでもないし、なんならとても詳しくなりたい。でも覚えられない。一個覚えると一個出ていく。
猫も然り。
私は猫が好きだ。
「犬と猫どっちが好き?」と聞かれたら「決められないよ〜」と言いつつも実はちょっとだけ猫のほうが好き。
それなのに、猫種を全然知らない。そもそも猫に種類があるなんて最近までよく理解していなかった。猫ってぜんぶ猫じゃないの?
マンチカン、チンチラあたりなら
名前をかろうじて知っているが、
「この写真の中からマンチカンを
すべて選びなさい」などと迫られようものなら、
背中に冷や汗をかいて仕方がない。
「メインクーン(猫)」は「メークイン(じゃがいも)」と言ってしまうし、祖母宅のふてぶてしい猫は”あの”アメリカンショートヘアだと言うもんだから、もはやアメショーの定義も揺らいでいる。
それから猫の柄にも名前があるなんて驚き。
キジトラ、サバトラ、サビ…。
どれがなんだかさっぱり分からない。
私のなかの猫は、黒か白かブチかシマシマ。
「あなたの家の猫の柄は何ですか?」と問われれば「つぶつぶです」としか答えようがない。
それからもちろん、人間に対してもそうだ。
名前がまぁ覚えられない。
「友達と同じ名前」とかならかろうじて覚えられるのだが、そもそも友達は6人しかいない。手持ちカードが少なすぎる。かぶる方が稀。
こちらは脳ミソ振り絞っても
一文字も思い出せないというのに、向こうは
「あ〜!みみこちゃん久しぶり〜!」と
言ってくるもんだから名前を聞くに聞けず、
「主語を避けた当たり障りのない会話」で10分間を切り抜けることもしばしば。もう全員胸に名札をつけてほしい。
まったく困ったものだ、、、
と一人風呂に入っていると、居間から聞こえる両親の会話。
「ほら、、何だっけあの俳優」
「分かるわかる、あのドラマに出てたよな…」
まだ歳も若く、
認知症などとは程遠いはずの我が父母の
ボケボケ会話を聞き
「あぁ、どちらの遺伝子を
選んだところで結局こうなる運命だったのだ…」
と諦めることにする。
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