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思ったこと#6


詞を書くのは好きだ。表現技法の中でもトップクラスに好きだ。だからありきたりなものに価値などないと思うし、過激に表現すればそんなもの全部消えれば良いと思う。このままじゃアホが増えてしまう。中身のないエモいはもうお断りだ。

君が好きだと伝えたいなら、その心情を伝えてみろ。みんなが分かりきったことを言葉にしてどうするんだ。まっすぐ伝えることが許されるのは、言葉以外のことで言葉に力を持たせられる人間だけだ。

それで、今すごく困っている。迷ってもいる。

最近バンドを結成した。以前のバンドを解散してから約2年半経っている。今は丹波小豆名義で大量に詞を書いているから歌詞なんて思いつけばすぐだろうなんて思っていたけど、まったく予想だにしない問題が降りかかってきた。

俺は今まで自分の中にあることしか詞にしてこなかった。それが意味することは、独りよがりな言葉しか選び取ってこなかったということだ。これまで組んでたバンドでは、正直ワンマンバンド状態だったから自身の世界観を押し付ける一方だった。けど今回は全然状況が違う。

人が作ったトラックにメロディや歌詞を乗せるのも初めてに近い状態だし、何より人と音楽をやっている感覚が今は明確に自分にある。それが身内で完結するなら良かったのだけど、メンバーは外に向けて音楽をすることに躊躇がない。言葉は人間そのものだから、聴き手が俺の言葉を受け取れば、それはバンドの言葉に早変わりする。そのことに気づいてから言葉が重い。しかもそれを口にするのが自分ですらない。彼女の口から自分の言葉が、主張が表現されることに対して悲観的にならざるをえない。日の当たらない部屋で過ごしたがってるのは自分だけだ。それを言葉で伝える術を果たして俺は持ち合わせているだろうか。

だけどもう、捻くれてしまった。まっすぐで幸せで、楽しい言葉なんて綴れない。ただ自分以外の詞では満足できない。この感性で言葉を書きたい。なんて難しい世界だろう。だからこの困難を楽しもう。音楽も言葉も、まだまだやりきれてないんだから。

ステイ、気づかないふりをしていろ。

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