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随想好日「熟まれ堕ちる瞬間に思いを寄せてみれば、孤独と闇しか無かった」

随想好日「熟まれ堕ちる瞬間に思いを寄せてみれば、孤独と闇しか無かった」

知っていたし理解していたしそこからしか産み落とすことは出来ないと分かっていた。他人様にとって良作であるか駄作秀作であるかに拘らず、自分の書いた作品たちに魂を込めようとする流れにおいては、孤独と闇しか存在しないのである。これは私にとってということであり、賑々しくあっても作品作りが出来るというお人もおられるだろう。

ここまでわたしが熟み堕とした作品たちに思いを寄せると3作品だけは賑々しい中で書いている。あとは孤独と闇が支配していた。書きやすく集中できるのだろう。凍裂にしても秋涙にしても夢殿にしても孤独と闇しか落ち着ける場所は無かった。

『燁冥(ようめい)』にしろ、『頬杖を見せる男に見せない女』にしろ孤独と闇が必要なのだろうと感じる。いや寧ろわたしの書く話はそういう処から人の持つ一面を書き上げたいと思っているのではないだろうか。
自分のことでも分からぬことは少なくない。
ただ吉行作品に思慕を募らせるわたしとしては「抜けられません」というものが書きたいのである。

さてわかったらそのようにすれば良いだけなのだが。
世一

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