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絵画は楽しく美しい。すべての芸術家は芸術家という人間だったに過ぎない。

(注意)本稿は、多分に書き手の主観が支配的原稿となっております。したがいまして、パクリなどは一切ありません。参考素材出典は文中前半に紹介。
もしもなにか、パクリが疑われる際は、お気軽にコメントにてお申し出くださいませ。 文責 飛鳥世一

この度、本稿が「現代アート記事まとめ」にフォローされました。
本当にありがとうございます。みなさんに楽しんで頂ければ幸甚に存じます

本稿を書く上で参考としている書籍等一覧
■ロンドンナショナルギャラリー展図録集
■カラヴァッジョ展図録集
■芸術新潮 2016年3月『ガラヴァッジョをつかまえろ』
■Leonardo da Vinci 芸術と生涯 田中英道
■Leonardo da Vinciの手記 杉浦明平
■カラヴァッジョへの旅 宮下規久朗
■そのとき西洋では 宮下規久朗
■闇の美術史 宮下規久朗
■他

さて、まずは貼り付けた画をご覧いただきましょう。

レオナルド・ダ・ヴィンチ作 洗礼者ヨハネ

さて、ルネサンスの巨匠と云えば、Leonardo da Vinciの名前を誰でもが思いおこす処でしょう。貼り付けた画はダ・ヴィンチの手によるといわれる『洗礼者・ヨハネ』。ダ・ヴィンチの『遠近法』の極意はスフマート技法にあると云われていますが、緻密細密な絵具の入れ方は、X線解析ですら筆跡をみつけることが出来ないと云われています。要は、細かなドットを小さな筆でビッシリと何重にも重ね塗りをしながら、奥行きであり遠近、立体を表現したのです。

カルロ・クリベッリ作 聖エミディウスを伴う受胎告知

次に紹介するのがカルロ・クリベッリの手による『聖エミディウスを伴う受胎告知』ですね。ロンドンナショナルギャラリーにかけられている、1486年の画ですが、同じくルネサンス期のメジャーな一枚です。分かりやすい遠近法の描写テクニック________ただし、ここで注意してみる必要があるのが、最下段のピーナッツとリンゴでしょうか。なにか、落ちてしまいそうですね。画から突出してみえます。

アルブレヒト・デュラー作 野ウサギ

次に紹介する画が、元祖黒胆汁気質・北方ルネサンスの巨匠・アルブレヒトデュラーの手による『野ウサギ』です。さて、この画を是非じっくりと眺めて欲しいのです。
この遠近感……空間・余白の使い方、いまにも動き出しそうな野ウサギの髭
遠近を感じさせる対象物は他にありません。余白だけです(笑)

ミケランジェロ・メリージ・ダッ・カラヴァッジョ作 エマオの晩餐

さて、でました。われらが鬼才。今の時代に生きていたなら、とてもじゃありませんが画なんか描いていられなかったであろう狂気と天才の狭間を筆で渡りし者。その名も光と闇の魔術師・ミケランジェロ・メリージ・ダッ・カラヴァッジョ。さて、カラヴァッジョは『バロック期』の画家ですね。ソノ奇行は、エゴンシーレどころではなく(笑) まぁ画を観て頂きましょう。カラヴァッジョの天才的才能を表現するとき、幾つかのファクトがあるのですが、今日は、その中から『突出効果』と『瞬間的効果』について書いておきましょう。ともに遠近法と奥行き、時間を綴じ込めるためのテクニックなのですが。エマオの晩餐では、二人の人間が手を眺めてに向けて突き出していますね。これだけで遠近と奥行きが支配されています。机の上に目を移しましょう。「おっと……あぶない」そう。落ちそうですね、今にも。あの果物たちが。ここでも突出効果と瞬間的効果の相乗効果が、時間と奥行きをドラマチックに仕上げています。

さて、いよいよ出てきました。世紀末生まれの日本画家。速水御舟です。
ここで皆さん。これまで眺めてきた画の遠近法と、奥行き、時間の取り方を比べてみてもらいたいのです。
この速水御舟の画と最も近い画を描いた画家は誰なのでしょう…… と、書くと、誰かひとりと思っちゃうかもしれません。
 違うのです。
速水御舟の画は、空間の支配と、突出効果を狙った実に理論的な画なのです。パット見ただけでは、平面的に見えるはずです。たしかどこかにも書いていましたね。ところが、空間・余白を徹底的に支配下に置くことによって、画が、花が画面から飛び出すような突出効果を狙っていると見えてきます。椿の葉っぱの一枚一枚の間隔、折れ、曲がり、凡てが遠近を感じさせ、結果的に突出効果を感じる上で最も効果的な配置となっていることがわかるでしょう。二匹の蝶々は、生命の瞬間を切り取ったものとみることが出来そうです。

ロマネスク様式
ゴチック様式
ルネサンス様式
マニエリスム様式
バロック様式
ロココ様式
クラッシック……
ネオクラッシック
象徴派・印象派
1000年の美術史の中、遠近であり、立体、奥行き、瞬間そして「時間」を表現するようになってから700年たらず。
 速水御舟が行き着いた境地は、それぞれの時代の「いいとこ取り」だったのかもしれませんね。

ダ・ヴィンチは、自分が生きた時代から1500年を遡って勉強したのです。
すべての芸術家は皆そうなのです。
「今」だけを勉強したのではないのです。
では、わたし達がダ・ヴィンチや、カラヴァッジョを学ぼうとしたときいったい何年分を勉強しなければならないのでしょうか。
速水御舟を勉強しよう、シーレを勉強しようと考えたとき、何年の勉強をしなければならないのでしょうか。

 やってられないし非現実的、それは専門家にお任せしましょう。
わたし達は自分の感性を打ち震わす「感動」の旅に出るぐらいが現実的かもしれませんね。芸術家は、芸術家という人間だったのです。
 詩人が詩人という人間であるように。

世一

お付き合いに感謝します。

姉妹記事へのlinkです。もうすこし速水御舟の精神世界を深堀りしてみました。お時間のある時にでも ⤵

大勢様のおはこびに心より御礼申し上げます。
速水御舟__________そう、今から二十数年前、わたしは御舟の画を少しだけ調べました。それが小説になったのが、わたしの作品である小説「凍裂」です。


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