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営業スキル:客先の予算事情を知る

私が若手の頃、上司からは「その案件、いつ決まるの?」って、
もう何回も言われてきました。

今思えば、何回も聞かれるような報告をしていた私が良くなかったのかもしれませんが、
そもそも上司の意図として、案件の受注時期を理解させる必要性があったのだと思います。

特に、BtoBであれば、お金を使える枠や、時期、種類がある程度決まってしまっている物です。
BtoCであったとしても、お客様のお財布事情や、紐が緩むタイミングがあります。
個人的には、BtoCはトーク術で相手を説得させれば、ある程度契約・受注までは持っていくことが出来ると思っています。

反対に、BtoBは、その辺はとても難しいと思います。
会社の持つお金というのは、担当者が勝手に使えるお金ではありませんので、
当然金額に応じて、いろんなお伺いを立てないといけません。

そこに稟議や、様々な壁が立ちふさがってくるので、どれだけ担当者を口説いても、会社自体が納得しなければ進まないケースも多いです。
一人親方の会社や、個人事業主、社長と直接話せるような会社はまた違う感覚ですが、おおよそ、殆どのBtoBは対大手が多いのではないでしょうか。

ここでは、大手企業と付き合うBtoBの会社において、
上司から「その案件いつ決まるのー?」って言われたときに、答えれる準備をしましょう、というお話しをさせて頂きます。

特に、若手営業マンの方は、お客様の「予算」という考え方を知らないことが殆どです。
そこを上司がしっかりと教えてあげること、若手営業マンの方も、戦略を練りやすくなるのではないでしょうか?

会社は何かを購入するために、「予算」を用意する

3月決算の会社でしたら、12月や1月頃でしょうか?
会社はステークホルダーに向け、計画的に売上が上がります!という報告と同時に、設備投資や様々な費用を予想します。

買いたいものをポンポン買っちゃうと、どれだけ売上が増えても、利益が圧迫しちゃうので、あんまり良くないですよね。

なので、計画的に買うものを決めて、来年はこれくらい使うかな?という基準を定めます。
各部署ごとに、使うであろうお金を足していき、会社全体で、来年の”予算”を組むのです。

その予算にも種類があります。例えば、設備の修繕に○○万円使いたいです!
この機械は古いので、○○万円で購入したいです!
ソフトウェアのアップデートの時期なので、○○万円掛かります!とかですね。

なので、基本的には会社のお金というのは、
”ある程度は使い道が決まっている”のですね。

会社が用意する「予算」に向けて提案していく

ある程度使い道が決まってしまう予算ですが、行ってしまえば使い道が決まる前に提案するのが良いです。

企業は、来年はこんくらい使うかな~?という予定を、各部署の各担当者に、確認してくれー!と依頼します。
一人で会社全部の購入品を管理するなんて、無理ですからね。

例えば、システム部門だったら、ソフトウェアのアップデートがあります!なので○○万円用意しておいてください!
と予算管理部門に伝えます。

人事部門だったら、新規雇用に○○万円のコストが掛かる見込みです!頼みます!
とか、
製造部門だったら、機械の修繕に○○万円掛かる見込みです!よろしくです!
って具合で、いろんな部署にいろんな担当がいて、それぞれが必要だと思われるものを、グループ内で整理して、予算管理の部署に依頼をするんですね。

つまり、ここの各部署の波に乗れなかった案件というのは、来期には予定してもらえないお金、ということになります。
逆に言えば、ここの波に乗れた案件は、来期に予定してもらうことが出来るお金になります。
特に金額の大きい商材を扱う営業マンはココを狙うべきです。

予算を取りに行くという考え方

ありとあらゆる部署が、予算を会社のために組んでいきます。
そのために、来期必要になるそうなお金、案件を整理していきます。
ここに入り込めなかった案件は、来期に予定してもらえない案件になります。
逆に、ここに入り込めた案件は、来期に予定してもらえる案件になります。

つまり、営業マンは、この予算という仕組みを理解した上で、「来期に予定してもらう」必要があります。

では、営業マンの方がこちらを読んで頂けてましたら、一度、お客様の担当者の部署を想像してください。
その部署は、主にどのようなことにお金を使っているのでしょうか?
設備の修繕ですか?更新ですか?ソフトウェアの維持ですか?サービスですか?
お客様の事を知る、ということは、お客様のお金の使い方を知る、ということも含みます。

まずは担当者が普段、どういうことにお金を使っていらっしゃるのか知りましょう。
ここでは仮に、設備の修繕にお金を使っているお客様を例題にしてみます。

客先の担当者Aさんは、主に設備修繕を行うことが仕事で、
工場の機械にトラブルが起きたら、駆け付けて修理したり、機械メーカーとの窓口になってやり取りをします。
その際、部品を買ったり、工具を買ったり、時には機械を修理に出したり、新品を購入したりします。

来期のお金を予定する時、機械のトラブルなんて想像できるものではありません。
想像できない、突発でくるからトラブルなのですから。
ただ、過去の経験から、おおよそ必要そうな金額を算出して、用意しておかないと、何かあったときに使えるお金がない!なんてことになっちゃいます。

ここで提案すべきは、『予防』です。
ある程度、設備が経年劣化しているものがあるはずです。他にも、部品の調子が少し悪そうなものがあるはずです。
他にも、おおよその機械寿命が決まっていたり、耐用年数が決まっていたり、一般的に故障するであろう年数が決まっているものがあります。
パソコンだったら5~7年使えば十分ですよね。
エアコンだったら7年とかである程度の寿命は来ます。

じゃあ、こういった故障する可能性のあるもの、を先にピックアップして、提案しておいてあげるんです。

担当者Aは、もしかしたら突発で掛かるかもしれない、とビクビクするんじゃなく、
予め悪くなりそうなものには、お金を使える準備をしておけると、随分気持ちが楽なものです。

ここまでの話で、「言ってること当たり前じゃない?」と思われた方もいるかもしれません。
そうです、当たり前なんです。ただ、この当たり前を、予算申請まで落とし込めている人が少ない。

厳密には、新卒で入った若手が、予算申請なんて知っているわけがありません。
ベテランの方は、長い営業活動の中で、少しずつ勉強していくでしょう。
ただ、お小遣いでしか物を買ったことがない大学生が、急に新卒営業職で就いたとして、会社のお金を使うフローをわかるでしょうか?

なので、ここの当たり前の考え方を、若手にはしっかりと教育し、
ただ単にアクション数だけを追いかける表面的な営業活動ではなく、
意味のある、質の高い提案をしてもらうことが大切なのです。

これが出来なければ、”一生自転車操業”です。

会社は突発でお金を使ってくれることもある

どれだけ計画的にお金の使い道を考えても、やはり世の中、何が起こるかわかりません。
会社は偉いもので、何が起こるかわからないことのために、わからないなりにお金を用意したりしています。笑

なので、想定もしていなかった機械の故障や、サービスの停止があった場合に、
予算枠とは違う軸で、お金を使うことが出来ます。
これがいわゆる突発案件です。

新卒から営業マンに配属すると、まずは電話や訪問をたくさんしろ!と言われます。
そして、たくさん営業活動した結果、「たまたまそれ、困ってたんだよ!」という案件に出くわします。

そして、とんとん拍子で売れてしまうケースがあります。
自分から数をたくさん打てる営業マンは、突発案件を積み上げていき、成果を上げます。

これは確率論なので、広く浅く、たくさんの営業活動をしていると、こういう案件の積み上げ型が中心になってきます。

ただ、これには落とし穴があります。
そう、先ほど申し上げた、”一生自転車操業”になるということです。

言ってしまえば、突発案件だけで自身の売り上げを構築していくことは、出来なくはないです。
というより、出来ますし、数字が厳しい場合は絶対にやらなければなりません。

ただ、もともとお話にもありましたように、それは予定していなかったお金ですので、運が全てに近いんです。
その運を上げるために、数を増やす。案件が出てこなければ、もっと数を増やす。まだ出てこなければ、もっともっと増やす。このサイクル、きつくない?

なので、私は自分のマネジメントにおいては、こう教えています。
「突発案件を狙いに行くのは、最終手段。基本的には来年に向けて予算申請を狙いに行くべき。今年は死んでもいいから、来期爆発させろ。」

営業活動の自転車操業を抜け出すために

数字が厳しいと、どうしても目の前の案件を追い求めてしまいます。
確かに、今月の数字はやらなければなりません。来月の数字もやらなければなりません。
その数字をやるには、突発案件を積み上げなければなりません。

数字が厳しいと、上司からの当たりも厳しくなります。
とても苦しいですよね。

確かに、若手として配属されたばかりは、右も左もわからない状況なので、
たくさん営業活動して経験してもらうことは大切です。

ただ、この自転車操業は、意外と営業3年目や5年目にも多いです。
しっかりと予算の仕組を理解して、お客様の予算内容を理解していれば、
そこに向けて必要な提案をして、予算に組み込んでもらうだけです。

最悪、1社1件でも良いかもしれません。
それが100社と積み重なるのか、1社10件で10社積み上げるのか、人によって考え方は違います。

ただ、営業活動は戦略です。ここの戦略を、上司が間違えると、若手はいつまでも自転車操業から抜け出せません。

若手の数字が低くて、達成できていない時、色々言いたくなる気持ちはわかります。
ただ、そういう時こそ、もっと先を見て、まずは自転車操業から抜け出せるための指導をしましょう。

若手の一人や二人くらい、自分の数字で補って見せるのが上司です。
1年、しっかりと抱えてあげれば、必ず大きな数字で帰ってきます。


今回は、予算の仕組について書かせて頂きました。
ただ、予算については、書き出すと本当にキリがないくらい、分厚い内容になります。

また機会を見て、更新出来ればと思います。

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