アズテック株式会社(特許調査・技術分析)

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  • アズテック調査コラム

    アズテックより特許情報や調査分析に関するコラムを配信しています。 当コラムでは、特許調査や技術分析に強みを持つ調査会社として皆様 のお役に立てるような情報を配信していきます。 複数のコラム担当者が定期的に投稿していきますので是非ご覧ください 。

最近の記事

台湾特許出願制度の特徴及び台湾調査ツール

1. はじめに 台湾の専利法(*注釈1)は、日本と違って、発明特許、実用新案、意匠を合わせて3つの概念が含まれています。つまり、1つの専利法に発明特許、実用新案、意匠の関連規則が記載されています。ここでは、発明特許(日本の「特許」に相当します。以下「特許」と記載します)出願制度の特徴についてご紹介します。 2. 台湾特許出願制度の特徴2.1 特実同日出願(二重出願)  同一出願人が同一発明で、同日にそれぞれ特許と実用新案に出願することが可能です。出願する時「二重出願」の旨

    • 知財ガイドラインの改定と危険負担の見直し、及び、知財・情報フェア&コンファレンス出展のお知らせ

      1. はじめに 2024年7月31日に中小企業庁からとある調査の結果が報告されました。それは知財Gメンによる知的財産取引に関する調査報告です。それを説明するために、中小企業を取り巻く状況から順に整理していきましょう。 2. 知財ガイドラインについて 中小企業の取引に関する法律として中小企業「保護」を目的とする「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」が有名ですが、同法は主に親事業者(発注者)側の禁止行為を定めています。一方で下請法とは別に中小企業「振興」を目的とする「下請中小企

      • 中小企業、スタートアップ事業者への知的財産活動支援

        1. はじめに アズテックでは特許の調査分析サービスを提供しています。知的財産部門を持たない中小企業やスタートアップ事業者の方々にお会いすると、自社の技術の特許を取って将来の事業に生かしたいがどうすれば良いか分からない、いま開発している製品が他社の特許を侵害していないか心配、といったお話 をよく伺います。  このような知的財産に関するお困り事に対して相談先となる公的機関の窓口を皆さんご存知でしょうか。 弊社もそういった機関を経由した調査、分析のご依頼をお受けすることも ありま

        • (ショートレポート)「ペロブスカイト太陽電池」の特許出願動向調査

          1. 調査背景 我が国における中長期的なエネルギー政策の方向性を示すために作成されている「エネルギー基本計画」は、おおよそ3年ごとに見直されており、今年はその見直しの年となっています。周知のとおり、2050年カーボンニュートラルという世界公約達成に向け国際協調が求められる中、日本では生成AIのためのデータセンター建設や半導体工場誘致が進み電力消費量の増加が予想されており、電力需要と温暖化ガスの排出削減の両立が課題であると指摘されています。(※1)  また、長引く国際情勢の悪化

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        • アズテック調査コラム
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        記事

          サーチャーのための中国国家知識産権局(CNIPA)の使い方

          1. はじめに 世界には160以上の「特許に関する庁」というものが存在します。各庁はそれぞれ専用のホームページを持っていることが多いですが、海外の特許庁のホームページを訪問することにハードルを感じている方も少なくないのではないでしょうか?そこで、本コラムシリーズでは、初心者でも海外の特許庁をできる限り簡単に使える方法を追究していきます。    シリーズ第四弾となる今回は中国国家知識産権局(以下CNIPAと表記)を取り上げます。 2. CNIPAについて2.1 CNIPAとは

          サーチャーのための中国国家知識産権局(CNIPA)の使い方

          治療用アプリ関連特許

          1. はじめに 「治療用アプリ」(注:「治療アプリ®」はCureAppの登録商標)は、医師の処方により患者のスマートフォンにインストールして用いられるプログラム医療機器で、「デジタルセラピューティクス(DTx)」とも呼ばれています。国内ではCureAppのニコチン依存症治療用アプリと高血圧症治療用アプリ、サスメドの不眠症治療用アプリが、それぞれ薬事承認されており、製薬大手各社も様々な疾患・症状に対する治療用アプリの開発を進めています。  本稿では、上述のCureAppとサスメ

          中国語原文の調査方法

          1. はじめに 中国経済の発展により、中国企業による知的財産活動も増大しています。WIPOの統計によると、中国は国際特許出願件数で2022年まで4年連続首位となっております(※1)。特にIT、EV等の技術発展をリードするような分野も存在し、特許調査の際にこれら中国企業による出願は、中国国内での展開に際して調査の必要があるばかりでなく、国内における先行技術調査、無効資料調査であっても無視できず、むしろ積極的に活用していきたい存在でもあります。  私は少し中国語の知識がある日本語

          Aztec Trend Report(アズレポ)販売開始のお知らせ

           この度、近年の注目トレンドの技術分野について、手軽に活用可能なリストの中から選んで購入していただくレディメイド型分析レポートのご提供を開始いたします。  注目トレンドの技術分野について、特許出願件数の年次推移や特許出願件数の多い出願人などは気になるところであり、そのような分析情報は様々な場面での活用が想定されます。  そこでアズテックでは、様々な用途としてお手軽にご活用が可能な分析データや注目特許情報を盛り込んだレディメイド型分析レポートであるAztec Trend R

          Aztec Trend Report(アズレポ)販売開始のお知らせ

          (ショートレポート)電動アシスト自転車用ドライブユニット特許出願動向調査

          1. 調査背景 日本の電動アシスト自転車は、シティサイクル(通称:ママチャリ)に電動アシストユニットを付加したものから普及している。その切っ掛けは、2009年に、「幼児の二人乗り」の基準に適合した自転車であれば、3人乗りが合法となり、子供の送り迎えなどに便利(こぎ出しの力があまり掛かからない)電動アシスト自転車が好まれるようになった。 (子供を2人乗せると30kg以上になるため人力での走行が不安定となるため電動によるペダル力をアシストする力が必要であった) また、世界(特に欧

          (ショートレポート)電動アシスト自転車用ドライブユニット特許出願動向調査

          ベンチャーにおける特許調査

          1. はじめに 2023年6月の経済産業省の「大学発ベンチャーの実態などに関する調査」*1では、研究成果型のベンチャーが約6割を占めていること、正社員数が5人未満の企業が5割近くを占めていること、資本金1億円未満の企業が大半を占めていることなどが報告されています。このことから大学発のベンチャーは、研究成果を活用し、限られた資金と人材で起業していることが窺えます。今回のコラムでは、私自身の大学発バイオベンチャーでの研究開発職での体験を踏まえ、ベンチャーにおける特許調査について考

          (ショートレポート)「高温ガス炉」の特許出願動向調査

          1. 調査背景 カーボンニュートラルを実現しようとした場合、二酸化炭素の排出量が火力発電ほどは多くなく、安定した供給力を持つ原子力発電を避けて通れない。しかし、2011年の福島第一原子力発電所の事故を受け、大型軽水炉を増やすのは難しくなった現状がある。  そのような状況の中で、2022年7月、経済産業省が高い安全性を有するとされる高温ガス炉(HTGR)など次世代の原子力発電所の開発に関する行程表を作成する検討に入ったとのニュースが見られた※1。三菱重工業においては、2022年

          (ショートレポート)「高温ガス炉」の特許出願動向調査

          (社長インタビュー)アズテックの創業から今後について

          1. はじめに アズテック株式会社は2024年の6月に創業34周年を迎えます。 35周年の節目を目前に、多くの皆様にアズテックの事を知っていただければと思い、代表の小倉社長にアズテックの創業から今後について話を伺いました。 2. 創業のきっかけ ・どういった経緯でアズテック創業に至ったのでしょうか? 起業する前、12年ほど弁理士資格を取るための勉強をしながら開発研究所の特許担当をしていました。 そんな中で、ある時某電機メーカーが半導体での実用新案を権利行使したことがきっかけ

          (社長インタビュー)アズテックの創業から今後について

          サーチャーのための世界知的所有権機関(WIPO)の使い方

          1. はじめに 世界には160以上の「特許に関する庁」というものが存在します。各庁はそれぞれ専用のホームページを持っていることが多いですが、海外の特許庁のホームページを訪問することにハードルを感じている方も少なくないのではないでしょうか?そこで、本コラムシリーズ では、初心者でも海外の特許庁をできる限り簡単に使える方法を追究していきます。    シリーズ第三弾となる今回は世界知的所有権機関(WIPO)を取り上げます。 2. 世界知的所有権機関(WIPO)について2.1 世

          サーチャーのための世界知的所有権機関(WIPO)の使い方

          欧州単一特許制度と調査における留意点

          1. はじめに 2023年6月1日に、統一特許裁判所協定(UPC協定)が発効し、欧州単一効特許と統一特許裁判所を組み合わせた「欧州単一特許制度」が開始されました。欧州特許出願においては、従来型の欧州特許に加えて、欧州単一効特許という選択肢が増えたことになります。  本稿では、本制度の概要と欧州特許調査における留意点について述べていきたいと思います。 2. 欧州単一効特許とは2.1 従来型の欧州特許  ヨーロッパ特許庁(EPO)に欧州特許出願を行い、EPOによる審査を経て

          欧州単一特許制度と調査における留意点

          新入社員インタビュー

          1.はじめに 今回は、2023年4月に入社した社員3名にインタビューした内容をご紹介します。応募のきっかけから入社後の印象、業務のやりがいなど、新入社員から見たアズテックを語ってもらいました。また、アズテックでは在宅勤務制度を導入しており、リモートでの研修や業務についても実体験による率直な感想を聞くことができました。 2.応募のきっかけや入社の決め手は?青沼 前職で製造業の研究開発に携わっていたのですが、日々の業務で新しい技術を調べていたことに加えて、新しいことが好きな性

          データベースとしてのJ-PlatPat

          1. はじめに 昨今では、民間が運営する特許のデータベースが多数あり、特許調査を行う人の多くが、いずれかのデータベースを用いていることが多いと思います。日本の特許庁においてもJ-PlatPatというサイトにてデータベースのサービスの提供が行われています。民間の運営するデータベースに比べると多彩なサービスは無いものの、国内特許のデータベースとしては最大であるため、利用する価値はあると思われます。そこで、今回のコラムではデータベースとしてのJ-PlatPatと、その簡単な使い方と