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往訪・代々木公園 バラの園

先日会社のデスクで仕事をしていたところ、ふらっとやってきた上長に声をかけられた。
「アカミネさん。花の写真を撮るのが好きなら、今の代々木公園に行った方が良いよ」

曰く、朝歩くことが日課である上長がふと代々木公園を通ったところ、それは見事なバラが咲いていたとのこと。
バラのシーズンであることは把握していたのだが、代々木公園でバラが咲いているとは初耳だった。

上長が撮影した写真を何枚か見せてもらったところ、成程それは美しいバラの数々が。
代々木公園は少し足を延ばせば行ける距離ではあるものの、実は今まで一度も訪れたことが無い場所でもあった。
そんな事情も相まって、

「行きます」

ほぼ光の速さで、私は上長に返したのだった。

そして、二日後の朝。
カメラを持った私は、既に代々木公園に足を踏み入れていた。


前回ひたちなか海浜公園を訪れた時の記事でも書いたが、花は美しく咲いている期間というものが非常に短いものである。
「今が美しい」と言われたからには、正直花好きとして居ても立っても居られなかった。

幸いにして、その日は諸事情で始業が遅い日だった。
この空き時間があれば、行ける。
そう判断した私は、いそいそと手提げ鞄に愛機を詰め込んで朝の代々木公園に出かけたのだった。
皆もすなる朝活なるものを、というやつである。

公園に入るとまず目に飛び込んできたのは、新緑の美しさだった。
朝それなりに早かったということもあり、公園内の人の姿はまばらだった。そんな中、何人かのランニングをする人とすれ違った。運動の習慣がない私は、そんな方々とすれ違う度にひっそりと心の中で頭を下げた。

Googleマップを頼りにぽてぽてと公園内を歩いていくと、はたして前方に目的地は現れた。

成程。規模感は少し小さめかもしれないが、色とりどりのバラが見事に咲き誇っているのが見える。
期待に胸を膨らませながら、私は本格的にカメラを構えた。

ナディア

入り口でまず出迎えてくれたのは、真っ赤な色が美しい「ナディア」。
案内板を読むと、日本ブルガリア外交関係再開50周年にあたる2009年、ブルガリア大統領夫人から贈られたものであるとのこと。
「花は大きく、輝く赤色」という説明にふさわしく、朝日を浴びた姿は眩しく感じられるほどだった。

つるバラ「羽衣」
エバーゴールド
カール ドルシュキ

今週はずっと生憎の天気の予報だったが、幸い今日は朝から青空が広がってくれた。
各バラの様々な色が、またそれぞれ異なる葉の緑と青空に大層映えていた。
バラ園の奥には「水回廊」という名の水辺があり、こちらも美しく空の青を映していた。

聖火
希望

昨晩から雨は降っていなかったはずだが、いくつかのバラには透明な雫がついていた。
奥の方で作業されている方も見えたので、朝の水やりの名残がひっそりとあったのかもしれない。

匂いに誘われたアオスジアゲハ

ささやかなことだが、私が写真を撮る時に心掛けていることがある。
それは「遠景の写真もしっかり収める」ということである。

美しい花々の魅力を余すことなく捉えられる接写アングルも勿論大好きなのだが、「その場所だからこそ撮れる写真」というものを残しておきたい、というのが私の(生意気な)信条だ。

周りの風景があって、その中に花があって、一体となって咲き誇る。
そんな写真を収められたら、それは私が「そこ」に行った証にもなる。
今回もその信条を曲げることなく、個人的に満足のいく写真が何枚か撮れたのでは思う。

ふと自前の時計を見ると、撮影を開始してから約20分。
これ以上撮影していると仕事に遅れてしまうため、後ろ髪を引かれる思いで代々木公園を後にした。


代々木公園・バラの園。
案内板を確認したところ、園内には40種類以上のバラが植えられているとのことだった。

決して広くはなく、だからこそギュッと魅力の詰まった場所。
足を運べる皆様は、是非一度訪れてみてはいかがだろうか。

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