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意外と奥が深いゲームサウンドトラックの世界

ゲーム音楽!それは映画の劇伴のようにゲーム作品を影から支える要素でありながら、ゲームそのものがプレイヤーによって能動的に操作されるゆえに他の映像作品にはない独特の音楽体験を私たちにもたらす、最高のエンターテイメント!

今回はゲーム中に流れるBGMとしてではなく、純粋に音楽としてのゲーム音楽について語ろうと思います。つまりゲームのサウンドトラックについてだ。私もそこそこの量のサントラを持っているのですが、ゲームサントラって案外種類がたくさんある。そこで好きなサントラを紹介しながらその分類をまとめてみました。

オリジナルサウンドトラック

言わずもがな、一般的にサウンドトラックと言えばゲーム中に流れるオリジナル音源を収録しているものを指す。

①ゲーム中に実際流れる音楽である
②基本的に2ループ→フェードアウト構成で収録(1ループの場合も)
③ただしインタラクティブミュージックの場合はその限りではない
④ゲーム世界観に連動したつくり


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星のカービィ ウルトラスーパーデラックス オリジナルサウンドトラック (2009)
あの人気作『星のカービィ スーパーデラックス』リメイク作のオリジナルサウンドトラック。ゲーム中に使用されている楽曲をすべて2ループで収録し、なおかつボーナストラックを3曲も収録したまるでサントラの鏡のようなサントラ。ただしクラブニンテンドーオリジナルグッズであり非売品


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Splatoon2 ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune2- (2017)
劇中音楽がイカ世界のアーティストやバンドの楽曲という設定が面白いスプラトゥーン。架空のアルバムジャケット、アーティスト写真、劇中の音楽ライターのライナーノーツなど音楽方面も凝りに凝っており、スプラトゥーンの世界観を忠実になぞっている


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NieR:Automata Original Soundtrack (2017)
造語、儚げな雰囲気、荒廃した世界が特徴なNieRシリーズ。ゲーム中に流れる音楽はレイヤーが複数あり、1つの曲で3、4パターンのミックスが存在するため、サントラに収録されている楽曲は各ミックスを繋ぎ合わせたサントラ独自の構成となっている


アレンジサウンドトラック

ゲームからは独立して、純粋に一つの作品として再構成されたサントラ。筆者のめっちゃ好みのやつ。通常のサントラをリリースするばかりかアレンジサントラを出す場合はゲーム音楽に対する気概が伝わってくる。

①ループ構成から一楽曲として再構成
②ゲームありきの音楽から楽曲単体の作品として重視
③音楽側アプローチによるゲーム作品の掘り下げ
④作曲者本人のアレンジと、他のゲーム音楽家によるアレンジ
⑤コンセプト重視のものも


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チップチューンド・ロックマン (2009)
ファミコンサウンドのロックマンBGMをチップチューンでアレンジするという異色のコンピレーションアルバム。同じピコピコ音でもアレンジャーの個性が存分に出ているのが分かりかつロックマンサウンドド直球を突き抜けた各楽曲は逸品


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朧村正 音楽集 変奏ノ幕 (2011)
2Dゲームを作れば並ぶものが存在しない、緻密なグラフィックが評判のヴァニラウェア制作のゲーム『朧村正』。ゲームに採用されなかった楽曲も収録されているほか、ボツになったボスやシチュエーションなどもブックレットに掲載されており資料的にも面白い。あとジャケットが超エロい


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THE BLACK MAGES (2003)
THE BLACK MAGESはかつてスクエニ社員で結成されたロックバンドであり、全四楽章からなる長大なラスボス曲『妖星乱舞』を12分に及ぶプログレロックとして現世に顕現させた偉大な存在である


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セブンスドラゴン2020&2020-II 初音ミク・アレンジトラックス (2013)
古代祐三のオリジナルゲームサウンドをボカロPがアレンジした楽曲が収録。ゲーム中にも初音ミクが登場し、条件を満たすことで『DIVAモード』としてBGMを切り替えることができた


リミックスサウンドトラック

「アレンジとリミックスの区分の仕方?いいか、よく座って聴きな……どうだなんとなく分かってきただろ?」サントラの中でも一癖あるもの多数。ただ、ここでしか聴けない音源も多々ある。

①コンポーサー以外の外部アーティストを起用
②ミキサー、アレンジャーの個性が強く出ていることが特徴
③新たな側面からのアプローチの面も


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Love SQ (2009)
外部アーティストがスクエニの名作ゲームBGMをアレンジするSQミュージックシリーズの第1作。リリース当初は原曲からアレンジしすぎとか某通販サイトレビューとかで言われていたものだが、おれはそんなものは一切信じないたちだったのでこのサントラの価値は全く減らず、むしろ輝いている


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ストリートファイター コンピレーション "RE:"MIX チップチューン (2014)
ただのチップチューンアレンジと思って聴くと痛い目を見る、リミックスとは何たるかを知るサントラ。アレンジャーが各々のチップチューンを鳴らし激しくラップバトルする


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ダライアスバースト リミックス ワンダーワールド (2010)
『人と機械』をテーマに、ゲーム、選曲、アレンジャー、アートワーク全てが完璧に合一したゲーム音楽アレンジのマスターピース。真のアレンジは作品をリスペクトしつつも一から再構成し、その世界をさらに広げる力を持っているのだ


オーケストラサウンドトラック

最近ではゲーム音楽のオーケストラコンサートもよく行われるようになり、そのライブCDや、純粋に原曲をオーケストラアレンジで収録したアルバムなど、ゲームとオーケストラは切っても切り離せない。

①オリジナル音源にオーケストラ起用も珍しくない
②打ち込み音源の生演奏
③アルバムとしての作品、オーケストラコンサートの音源化


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坂本英城オーケストラ作品集 (2012)
「エッ! ごぞんじ ないのですか? このヒゲのごじんこそ、あの『勇なま』や『無限回廊』のがっきょくを せいさくし、せいりょくてきにゲームおんがくの コンサートやライブをおこなっている ノイジークロークしゃちょうの さかもと ひでき どのですぞ!」


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サガオケ! The Orchestral SaGa -Legend of Music- (2016)
全世界のサガファン待望のオーケストラアレンジサントラ。あの数々の名曲がメドレーとなり、イトケン節を利かせて殴りかかってくる様は壮観。そしてさりげなく、しかし確かな存在感でそのメロディーを鳴らすサガフロ2楽曲に涙する


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STEINS;GATE SYMPHONIC MATERIAL (2012)
PS3版シュタゲダブルパック限定版に付いていた激ヤバ音源。『The Sound of STEINS;GATE 魂』でも全曲+追加曲入りでオーケストラ版が収録されているが、このサントラのこの曲順で聴くことに意味があるのだ


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DRAG-ON DRAGOON Original Soundtrack (2011)
クラシックの名曲の数々をフレーズごとにバラバラに分解し、サンプリングし、ループ、逆再生をフル活用して生み出された狂気の音楽の数々。不協和音を通り超えて、『音楽』の『楽』を削ぎ落し、かろうじて『音』として成立している楽曲は冒涜的で狂っているとしか言いようがない。殺し合いの歌、そして『尽きる』


限定版・特典サウンドトラック

ゲーム音楽好き泣かせの一般販売されない特典扱いの音源たち。買い逃してしまったら中古でゲットするしかない。

①ゲームの限定版、もしくは予約特典として付属する
②ここ限定のアレンジ音源や、アウトテイク曲など、のちのオリジナルサウンドトラックには収録されない音源あり
③サウンドトラックがリリースされない場合、この音源しか世に出回らない


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大乱闘スマッシュブラサーズ for Nintendo 3DS/ for Wii U 特選サウンドテスト (2014)
任天堂新旧ゲーム楽曲が数多くのゲーム音楽家によってアレンジされたスマブラ。権利の都合上、一般販売が不可な関係で特選サウンドテストがクラブニンテンドーにてキャンペーンでプレゼントされていた。これでも全曲収録には程遠い


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NieR Gestalt “オワリノウタ” (2010)
のちに様々なサントラがリリースされることになるニーアシリーズだが、このCDのみに収録されている『カイネ/光ノ雨』ただ1曲だけでニーア ゲシュタルトを買う価値があった


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20th ANNIVERSARY OF PERSONA SERIES ALL TIME BEST ALBUM (2016)
ゲームのサントラのくせにベストアルバムってなんだよくそ……買うしかねえじゃねえか!その名の通りペルソナ1~4+5の一部楽曲収録+各シリーズアレンジ1曲入りのペルソナファンのためのサントラ


閑話休題:ジャケットが素敵なアルバムたち

マンガなら表紙買い、ゲームならパケ買い、そしてCDならジャケ買いという、皆誰もが経験があるであろう衝動買い。この辺は人によってだいぶ好みが分かれると思うけどおれの好みは以下のジャケットです。性格出るね!

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ARMORED CORE REPRISES (2011)
荒野に遺された、もがれた腕と銃器。たったこれだけのアートワークでむせ返るような戦いや硝煙の匂い、そしてレイブンたちの命の取り合いがありありと想像できる。乾いたギターと機械的なテクノ、そして祈るようなボーカル


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真・女神転生 IV オリジナル・サウンドトラック (2014)
大破壊後の世界で偶然手に入れた虹色に光る円盤。なんだこれ?カラス避けか何かか?再生機器が存在しない文明が滅んだ後ではCDは無価値だが、後世に歌い継がれるのであれば今までの音楽は無くなりはしないのかもしれない


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NieR Tribute Album -echo- (2011)
史上最高のトリビュートアルバム。ただひたすら『白い』物語だったニーアが、何か得体の知れないものと混ざり合い、変質している。エミールヘッドの子供が灰色の現代で無邪気に手を振る。それは童話や寓話、神話や伝説で語られるフィクションが、現実に逆流するかのようなパラダイム


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塊フォルテッシモ魂 (2004)
『カクカクポリゴンの世界で塊を転がす』というゲーム性にバラエティー豊かな歌モノが絶妙にマッチした名盤。ジャケットの緩さがゲームの緩さを物語る。あ~またあんな曲やこんな曲を垂れ流しながら塊魂やりたいな~


🐄 🐄 🐄 🐄 🐄


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好きなように聴くのが正解

まあわざわざサントラを分けて聴く必要もないんだけど、「みんなもゲームのサントラ買って聴こうぜ!!」を布教するためにこんな感じで紹介してみました。CDって高い買い物だけど所有する喜びが映画のDVD/BDやゲームのパッケージ並みにあり、特にゲームサントラのジャケットは並べると壮観。レンタルやサブスクリプションで配信されてないサントラなんてごまんとあるぞ!みんなもお気に入りのゲーム音楽のをディグる旅に出かけよう!

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