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ロード・トゥ・『シン・仮面ライダー』(雑記)

 シン・仮面ライダー視聴後に観た(読んだ)ライダーコンテンツの覚え書きです。映画本編の感想はこちら。

 シン・ウルトラマンの時は事前に初代ウルトラマンをある程度観たうえで臨んだのですが、シン・仮面ライダーはある程度ライダー作品に触れていたのもあって特に予習もなく観に行った結果、知らない元ネタ・オマージュ・リスペクトが大量に通過していった気がしてならないため、これはいかんと思い慌てて追いかけたやつです。


ここから先には「シン・仮面ライダー」のネタバレが含まれています。


仮面ライダー(TV版)

 庵野秀明傑作選セレクションがTVerで公開中。全10話構成で、始めの1~5話、それ以降は飛び飛びでセレクトされている。これだけを観ても初代ライダーがリアリティラインがブレブレで、ライダー第1作の時点で凸凹の歴史だったことが痛いほどわかる。序盤こそショッカーによって改造人間にされた本郷猛の悲哀が描かれているが、回を重ねライダーが一文字隼人に交代する頃には痛快娯楽番組となっており、ライダーは子どもたちの人気者、コメディリリーフな立花さんと滝、ショッカー戦闘員を果敢にしばきまくるヒロインたちなど、孤独に戦うヒーローの影も形もない。ショッカーの悪事も本気で恐ろしいものもあればお粗末な作戦もあったりでどこか憎めないところもあり、今週のビックリドッキリ世界征服みたいになってるので緊張感が……緊張感がない……!


仮面ライダー(原作漫画版)


 石ノ森章太郎先生による原作漫画。TV版も踏襲した序盤の流れは共通として「ショッカー=悪しき科学」「仮面ライダー=大自然の使者」という形で対比されており、折に触れて公害問題や先進科学に対して警鐘を鳴らす社会風刺も盛り込まれている。登場キャラが容赦なく死亡する展開がある一方で、児童向け漫画らしく「かめんライダーがわるいかいじんをやっつける」だけの話もあり、こっちもまた全体的に凸凹である。コマ送りのように描かれ躍動感溢れるライダー、迫力ある見開きのバイクシーンなど、TV版の仮面ライダーのオリジンとなったであろうアクションの数々は必見。

 最大の特徴は中盤の本郷猛から一文字隼人へ主人公が交代する回であり、12人のショッカーライダーによってなぶり殺されるように命を落とす本郷猛と、彼によって洗脳から解き放たれヒーローとしての意思を継ぐ一文字隼人の姿はシン・仮面ライダーのラストシーンに引用されている。


真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダーSHOCKER SIDE-


 シン・仮面ライダーの前日談として連載中の漫画。ショッカーの創設秘話、そして本作で登場するオーグ(怪人)たちの過去とオリジンが描かれており、作中では語らずじまい(もしくは駆け足で通り抜けた)の設定が大量に投下されている上、「一人の少年がいかにしてショッカーの改造人間へと変貌するのか」というダークヒーロー的な面白さもあり、単なるスピンオフに留まらない漫画となっている。


以下、シンカメ感想延長戦

 個人的には一番初めのクモオーグとのアクションがめちゃくちゃ良かったけど以降の怪人戦はみんな全く異なる戦闘シーンだったのが面白くもあり勿体なさもある。ショッカーライダーとの戦い、シチュエーションは最高なのに暗すぎてなんも分からんのどうなってんだよ……!

 ライダーの戦い方も現行シリーズのような洗練されたものではなく「素人が圧倒的暴力を振りかざす結果としての血飛沫」はかなり説得力があった。が、そんなライダー単純暴力パートも序盤だけだったのでちょっと寂しい。

 カメラがめちゃくちゃブレる。始め初代オマージュかと思ったけど最後までブレブレだったので「なんかライダーと怪人が殴り合ってる」以上の情報がないシーンがマジで勿体ない。ラストの殴り合いが一番ひどい。もっと最近の特撮アクション参考にして!

 全力を尽くした泥臭い殴り合いラストバトルのがめちゃくちゃ好きなので(ニンジャスレイヤーのラオモト戦、龍が如くの錦山、ハイローザムの琥珀さんなど)。そういう意味ではシンは食い足りなかった。その辺BLACKSUNの最終話はめちゃくちゃ良かったな。

「週替わりにショッカー怪人があの手この手で世界征服を企む」を現代的に一本の映画に落とし込むと「複数の怪人がそれぞれ全く異なるアプローチかつ同時並行で人類の幸福(という名のテロ行為)を追求する」になるのは面白かった。怪人同士の利害が一致しなくても誰かがショッカーの至上の目的を達成すればいい、システムとメカニズムの組織。

 映画を観終えて「やっと終わったか……」という徒労感があったけど、原作漫画を読んだ後だとまた全然違う受け止め方ができてしまうのでもう一回観たいという気持ちもある……が、普通にエブエブとかグリッドマンを観に行った方が絶対に充実すると思うので素直に配信を待つかな……。

 総括してかなり原作仮面ライダーをリスペクトした内容になっているのが理解できたが、そもそも根底にあるのが石ノ森章太郎先生のヒーロー観(改造人間の悲哀、孤高のヒーロー)(正義と悪の根源は同じ、力を振るう者次第)が恐らく仮面ライダーだけに留まらないので、どこまで行っても分かった気にしかならない。この映画の背後にあるものがデカすぎる……。

 なまじライダー作品を観ていたのもあって、シンゴジやシンウルの時のように積極的に過去作品を観に行くほどの熱量はないのだが、そもそも元ネタやオマージュを確認するよりももっと別の作品を観た方がいいのではないか、そもそも作品視聴そのものがオタク知識の答え合わせのようになってしまっているのも良くないのではないかという思いもある。一方でこういう機会がなければ過去作品を観る機会がないのではないかという気持ちにもなる。趣味や娯楽に費やす時間がないのが悪い。


(終わりです)

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