フォノイコライザー

いきなりですが、レコード再生に必要なフォノイコライザーを単品で使う場合、経験則、最低でも2万円以上かけるべきだと思います。

僕のオーディオアンプにはフォノイコライザーが入っていなかったので、はじめはオーディオテクニカの最廉価なものを購入も、増幅レベルが低すぎてアンプの音量をあげても音が小さく…次に1.5万円ほどのものに変えて、増幅の問題は解決も、細かいところが分解しきれず、ボーカルものではそれが良い味になる一方でクラシックでは顕著に音がモヤモヤして…そこで5万円ほどのものに一気にアップグレードしてようやく納得のいく音が出てくるようになりました。今までのはフォノイコライザーを通す段階でカートリッジの拾った情報にモザイクがかかってしまったことに気付かされました。そう、フォノイコライザーでも出てくる音…と言うより音数や解像度がかなり変わってきます。以来、英語でPhono preampと呼ばれるように、レコードに掘られた上下逆さまの情報(高音が大きく、低音が小さい)を元に復元する極めて繊細な作業の役割を果たすフォノイコライザーを入れ替えるのはアンプをかえるのと同義に近いとさえ思っています。

その奥深さを物語るかのように、フォノイコライザーは数千円から百万円を超える超高級機種まで実に価格帯が幅広いです。僕も今よりもっといいフォノイコライザーが気になりつつも、今のに愛着があるので当分買い換えない予定でいます。

さて、レコードをはじめてみて、手持ちのアンプにフォノ端子がないのでフォノイコライザーを買いたい、いい音にはしたいけど、かといってあくまでも音楽を楽しむ媒体の一つにすぎず何万もかけたくない…と言う場合、個人的にはオーディオテクニカのAT-PEQ30は一つの落とし所かなと思います(実売価格は2万円ほど)。パートナーが使っていますが、MMカートリッジの場合、ポップスやロックでは必要十分で、クラシックについては少し音の緩さはありますが頻繁にきかないのであれば不満に思うことはない感じです。MMの増幅が35dBと低いのがマイナスポイントですが、s/n比100dBのため、ノイズ感を嫌っての設計上そのような仕様になったのだと思いますし、実際ノイズ感がかなり小さい感じがします。(なおMMカートリッジに合わせた負荷容量の調整などはできませんが、レコードプレーヤーのRCAケーブルが脱着式であれば、この部分である程度は負荷容量が調整できますし、同社製のカートリッジとはマッチングするように作られているので気にしすぎることもないかもしれません。)とはいえ、復元力はもちろん、微妙に味付けをするところもあったりと機種ごとに性格が違うので、可能であればぜひ店舗でフォノイコライザーの聴き比べをしてみてくださいね。

追記: 機種にもよりますが、アンプ内蔵のフォノイコライザーが優秀な場合は、外付けフォノイコにするべきかはよく吟味するべきと考えています。
例えばこの記事を書いたのちアップグレードしたプリメインアンプ:ヤマハA-S1100のフォノイコライザーは出来が良く、MCカートリッジでもノイズが小さいので、5-6万円レベルの外付けフォノイコライザーをわざわざ買う必要性は余りないと感じます。

追記2: MCカートリッジがいいのか、MMカートリッジが良いのかはフォノイコライザーの性能にかなり依存するというのが私見です。というのもMCカートリッジはMMカートリッジよりもはるかに出力が小さいため、必然的にS/N比(ノイズレベルの大小)その他増幅系の品質にかなりシビアになるためです。

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