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【詩】

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2022年1月の記事一覧

逃避行

逃避行

オルゴールが薄黒い空気を中和する
柔らかな音に重なる罵詈雑言はカオスを生み出す
息を殺してオルゴールの音だけに耳を傾ける
殺伐とした部屋に甘い旋律
対照的な物が同じ空間に溶け合う
それは狂気的であるが故により一層美しい

外は雨が降っていた 気温は3度
今日1日何も口にしていない
財布には吹雪が吹いているが死に急いでいるせいか心は火照っている
僕はずぶ濡れになりながら歩く
行く宛てなどない

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地方都市の夜明け

地方都市の夜明け

1月18日 午前6時 夜明け前のサバービア
赤やオレンジ色のネオンライトが線香花火のように優しく 優しく朝の冷えたアスファルトに降り注ぐ。
僕は車を走らせた。
光のない場所へ。誰にも見つからない場所へ。

紺碧に染まった空はキャンパスのようだ。
気が付けば僕はこの空を独り占めできる場所を探していた。

死を纏う詩人

何も変わらない毎日に絶望した真っ白な天井を呆然と見上げるどれくらいの夜を明かしたのだろう心音に耳を傾けた 命の鼓動を鳴らしてみると僕には休符の1つも打てないんだってことは明々白々なんだとさ都合良くできたこの世界を塗り替えるにはどれくらいの時が必要なのだろうか自堕落で怠惰な日常に創作は花を咲かせ虚無を打ち壊す一時の熱情たった一遍の詩ごときに何も出来やしないと知りながら相も変わらず詩う言の葉は都会の喧

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