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Photo by
smile_misato
逃避行
オルゴールが薄黒い空気を中和する
柔らかな音に重なる罵詈雑言はカオスを生み出す
息を殺してオルゴールの音だけに耳を傾ける
殺伐とした部屋に甘い旋律
対照的な物が同じ空間に溶け合う
それは狂気的であるが故により一層美しい
外は雨が降っていた 気温は3度
今日1日何も口にしていない
財布には吹雪が吹いているが死に急いでいるせいか心は火照っている
僕はずぶ濡れになりながら歩く
行く宛てなどない
この世界からの逃避行
サーチライトが僕を探している
億千万のタラレバが走馬灯のように浮かび上がる
最後に買った雨水が入り混じる缶コーヒーで財布は空っぽだ
そうだ 歩いて東京に行こう 会いたい人に会ってから死のう それからでも遅くない
水溜まりに映し出された僕の顔は歪んでいた
この世界をボタン1つで滅ぼせるなら僕は躊躇いもなくそうしていた
だが僕は今からそれを出来ない理由に会いに行く
僕の世界を救う為に 僕の魂を救う最後の賭けに
生への執着と黒い衝動
どちらが生き残るのか
どちらが正しいのか
2人っきりでケリをつけよう
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