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【 #るるはこ思考実験 】新作は「火曜日のゲキジョウ」参加公演です

社会は病みすぎている。
社会は問題を抱えすぎている。
社会は哲学を捨象しすぎている。
社会は考えることを諦めている。

「誰かが解決してくれる」と思っている。
その「誰か」は自分ではないと思っている。
政治批判ですべて救われると思っている。
上が変われば社会が良くなると思っている。

それは違う。

人間が変わらなければならない。
社会を構成するすべての人間が。
自分を含めたすべての人間が。

ならばなぜ思考を放棄できようか。

芸術家ノア=ミ・ザは、そんな社会を憂いている。
そんな社会で創作しなければならない自分を憂いている。

芸術は厭世観の発露である。
神への畏怖もまた同じである。


大阪市にあるインディペンデントシアター1stという劇場では、「火曜日のゲキジョウ」というイベントを開催している。

ほぼ毎週火曜の夜、30分×2団体の上演を行うという、平日夜の観劇文化をつくることを目的の一つとして立ち上げられた企画である。

不浄の存在たる「るるいえのはこにわ」も、この企画に参加する運びとなった。

今作のタイトルは芸術家カルティストノア=ミ・ザによるいくつかの思考実験』である。

ノア=ミ・ザという謎多き芸術家の書いた戯曲──哲学的思考実験のような──を紐解きながら進行する、フラッシュ・フィクション的ショートショート・オムニバスである。

哲学的思考実験とは、得てして、問題提起のために設けられたものである。
すなわち本作もその様相を呈している。

現代社会の抱える奇病に対して、感情ではなく理性で立ち向かう哲学でしか成し遂げられない創薬がある。

社会は歪ながらにその歪さを自覚して生成消滅する因果の連鎖である。
責めるものは責められるものになり替わろうとし、
滾るものは滾られるものになり替わろうとし、
生かすものは生かされるものになり替わろうとする。

在来生物では立ち行かなくなった世界に対して神話は大いに役立つ。
芸術家カルティストノア=ミ・ザは、その創作意欲と知識によって、何かを訴えかけようとしていた。

そんな話である。


2024年1月26日 薊詩乃


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