高野に参った話 その柒
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拝むこと
祠のあるポイントだけが安心して立っていられる場所でした。
それ以外は気を張っていないと足を踏み外してしまいます。
祠が見える度にものすごく救われた気持ちになりました。
ほんとうに、拝まずにいられない。
都会にいるときは、拝まねばという義務感にかられて行う部分がありますが、ここでは違いました。
ごく自然とそうなる。心身一体が求めるんです。
信仰あるいは宗教というものの片鱗を体感した気がしました。
落ちたら死ぬど
急斜面シリーズが終わったと思えば、次は断崖絶壁の細道。
これ踏み外したら死ぬな、と(今回ばかりは大袈裟でなく)思いました。
だって誰も助けてくれないもん。
草をかき分けて進むのですが、苦手な芋虫さんが沢山ぶらんぶらんしていて、「すみません」「お邪魔します」を連呼。
もう今後はムイムイでも何でも平気だと思った。
道が、見える……!
そんなこんなで摩尼山を登り終え、知らぬ間に転軸山に入っていました。
(この二山の間では下山できないのでお気をつけを。)
明らかに通れる道がひとつしかない摩尼山とは異なり、少し開けている場所がある転軸山。
比較的明るくて摩尼山ほどは怖くなかったのですが、それがまた問題。
道がわからんのです。
道といえば道っぽい筋はやけどこの先崖やん!とか、こんなん落ちるって!とか。
途方に暮れて暫くぼうっとしていました。
するとパーっと日が射して、明らかに道だという筋が見えてきたのです。
ほんとうに、有難いとはこのこと。
生きて還してください
当初の予定では最後の山も登る予定だったのですが、これ以上は危ないと判断し二山で下山。
敷地内の車道の端を通りながら里へ戻りました。
道中はずっと、「もう二度と弱音を吐かないから、生きて還してください」とそれだけを願い続けました。
霊的な怖さは全くなくて、すごくすごくずーっと守ってもらったなという感想です。
でも帰ってきて二日もしたらまた少し鬱々としてました(笑)
人間って面白いですね。
気とか根性で全てコントロールできるものじゃないんだなぁとわかりましたね。それはそれで学びになった。
とにかく、貴重な経験をさせてもらいました。
そして、一つ言えるのは行楽シーズンでも一人で山に行ってはならないということです。
お読みいただきありがとうございました。
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