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カウ佐々木小次郎


カウサなるポテトサラダの存在を知る。ペルーで食べられているさうな。
南米はジャガイモの原産地。そこのポテトサラダに似た物を作るべく試行錯誤しながら、我が師、宮本武蔵のライバルを妄想した記録。


材料

じゃがいも  3個
インゲン豆  4本
新玉葱    1/4
人参     1/3
和辛子    小匙2
ターメリック 小匙半分
オリーブ油  大匙4
塩      小匙1と適量
卵      1個
酢      適量
米油     適量
ミニトマト  お好みで

不定期(気が向いた時)に宮本武蔵を大河妄想しながら料理しています。↓

武蔵の人生最大のハイライトが巌流島の決闘。
対決した佐々木小次郎にとっても、それは同じ。
しかし、佐々木小次郎という人物のことはほとんどわかっていません。
宮本武蔵が歴史に残した爪痕は大きくないことに加え、それに負けた人物となると余計に伝わらない。歴史は勝者が書くものですから。



卵、酢、塩をミキサーで混ぜて、ねっとりするまで米油を加えていく。これにて自家製マヨネーズを作る。

吉川英治の小説「宮本武蔵」では佐々木小次郎は周防国(山口県)岩国出身とされています。錦帯橋の下の河原で修行したとなっていますが、これは創作。佐々木小次郎が生きている頃には錦帯橋は掛かっていませんでした。
豊田景英の「二天記」では越前国(福井県)浄教寺村出身となっています。しかし、その地に佐々木姓を名乗った一族が確認出来ず。
もっとも可能性が高いかと思われるのは、豊前国(福岡県)添田出身という説。福岡の郷土史家、原田夢果史が唱えていました。


じゃがいもを圧力鍋で煮る。

佐々木小次郎が遣っていたという剣法、巌流ですが、これも現代には伝わっていないので、どういう剣術だったのかも不明。燕返しという技を遣ったとよく言われます。これは振り下ろした太刀先を素早く反転させて斬り上げるという技。虎切とも呼ばれます。
最初に振り下ろす刀は言わば見せ太刀。返す刀で致命傷を与えるという技法。
伝えられる話では越前の剣豪、富田勢源の弟子が佐々木小次郎。勢源は小太刀の名手で、小次郎は稽古相手として大太刀を振るっていたといいます。次第に遣う太刀の長さが長くなっていき、ついに1メートル近い長い刀を自在に振り回すようになったとか。


ヘタを落としたインゲン豆と細切り人参を茹でる。

ただ、富田勢源は一世代前の剣豪というべき人であり、その弟子となると巌流島で決闘した頃の佐々木小次郎は老人?
五味康佑の小説「二人の武蔵」では小次郎老人説を取っています。
武蔵と同世代とするためか、吉川英治の小説では勢源の弟子、鐘巻自斎の弟子が小次郎となっています。つまり孫弟子。


塩小匙1、オリーブ油、ターメリック粉、和辛子を混ぜ合わせる。

本場、ペルーのカウサは、アヒ・アマリージョなる黄色唐辛子を使用するそうですが、ド田舎のスーパーにそんな物はない。和辛子とターメリックを合わせて代用。

豊田景英の「二天記」では巌流島の決闘の際、佐々木小次郎は十七歳だったと記述。これはいくらなんでも若過ぎだろう。
二十七歳の書き間違いだとすれば、武蔵とほぼ同年代。まあ妥当。


細切りの新玉葱を更に半分に切る。

原田夢果史が唱えた豊前出身説では年齢は今一つはっきりしていませんが、遣っていた剣術は山伏が自衛のために鍛えた剣法だったのではないかと推測。
豊前国だった北九州の小倉には、小次郎の屋敷があったという伝えられる地域があります。小倉城にも歩いて行ける距離。


茹で上がったジャガイモを潰して、マヨネーズ大匙3,インゲン豆、人参、新玉葱を混ぜる。

江戸時代の初期、豊前の領主は細川氏。
関ケ原の合戦後に移ってきた新たな領主が地元の勢力と融和するために、その地の有力者を召し抱えるとか、誼を結ぶのはよくあったこと。
地場勢力である佐々木氏を剣術指南に任命。代表として小次郎を召し抱えた。そこまでせずとも城下で剣術指南することを許可した?


辛子調味料を混ぜる。

佐々木小次郎の兵法、巌流ですが、この名前は修験道の聖地でもあった岩石(がんじゃく)山から来ているのではないか?この山には岩石城という山城があり、豊前佐々木氏にとっても、その地は聖地と言うべき場所。巌流とは元々、岩流だった?
因みに岩石城は秀吉の九州征伐時に落城。細川氏時代には支城として存続。
城が置かれていたということは細川家の城番が詰めていたことでしょう。立ち入りも制限されていた可能性。佐々木小次郎が豊前出身だとすれば、いつかその城、いや山だけでも自由に出入り出来るようにならないものかと願っていたかもしれません。


カウ佐々木小次郎

器に盛って、彩りにミニトマトを置く。
ほのかな辛みがあるポテトサラダ、これは新しい味。本物のカウサを食べたことがないので、どの位、本物に近いのか不明ですが、これはこれでよいと自画自賛。
新玉葱は辛みもそんなに強くなく、生のまま、水に晒さずとも十分に頂けます。血液サラサラになれるかもよ。
混ざっているインゲン豆の食感もよい。人参からベータカロチン、ミニトマトからはリコピン摂取。

昔、佐々木小次郎の小説を書いたことがあります。身バレの恐れがあるので詳細は省きますが、謎めいた存在だからこそ、妄想の余地も大きい。
豊前小倉の地で、佐々木小次郎はどんな思いで巌流島の決闘までの時を生きていたのかを妄想しながら、カウ佐々木小次郎をご馳走様でした。

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