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映画『イップ・マン 完結』を見て、黄色人種差別にあった過去をふと思い出した

映画『イップ・マン』が面白いと噂に聞いていた。が、私はコレまで同シリーズを一度も見たことがないし、おそらくブルース・リー出演の映画も鑑賞したことがない。

映画『イップ・マン』が、ずっと気になっていた。けど、観る時期を逃していた。そんなとき、映画『イップ・マン 完結』が再上映されていたので観るしかない!と思い、前情報もほぼなしの状態でシリーズの完結編?となる本作を鑑賞。

アクションのキレもバツグンで躊躇なしにいろんなモノを破壊していくのもサイコウ!物語もテンポ良すぎるくらい流れるように進んでいくし、とにかく爽快感MAXで面白かったのだが、作品評という大層なことは私にはできないのでココでは控えます……。

タイトルにもあるように、私は本作の一つのメインテーマである「黄色人種差別」について、ただ語りたいのだ。

日本で生まれ日本で育った私は、はじめのうちは本作の黄色人種差別描写をみて、ホントにこんなことあるのかなぁ〜とどこか作り物のように感じていた。

だが、ふと、アレって黄色人種差別だったのでは!?と思い出した出来事がある。

それは、3〜4年前にフランス旅行に行ったときに起こったある事件だ。

当時、私は一緒に海外旅行に行くはずだった友達にどたんばで断られ、就職前ということもあって絶対に行きたいけどほとんど海外旅行の経験がない私一人では不安だ……と困っていた。そんなとき、数回ほど大学のキャンパス内で挨拶を交わした程度の親友の親友が一緒に行ってもいいと名乗りをあげてくれたのだ(ちなみに私は専門学校卒なので人生で一度もキャンパスライフを送ったことがないのだが……この話はいつかおいおい)。

藁にもすがる思いだった私は、即お願いしますと申し入れ。その子はよく海外旅行に行っている海外旅行マスターだったということもあり、テキパキと計画を進めてくれた。結局、私は彼女におんぶにだっこで予約から何までしてもらうという……図々しさ。ごめんなさい。

そんなこんなでほぼ会話をするのは初めてな二人で5泊7日のフランス旅行へ。旅行中は終始めちゃくちゃたのしくて、その子が私が行きたい場所にも付き合ってくれるという天使っぷりを発揮し、私はノンストレスでただただ大大大満足の100点満点状態でフランスを満喫していた。

そんなとき、事件が起きる。地下鉄の入り口で彼女が電車の時間などを調べてくれていたとき、ふと私の視界に3人の屈強な外国人が入ってきた。なんとなく気になり、目で追っていると、彼らが乗換案内を調べる彼女のショルダーバッグに手をかけ、いまにも中からお財布を盗み出そうとしている。

私は一瞬で状況を理解するものの、犯罪を目の当たりにするのが初めてで、どこか現実味がなく、脳の処理が追いつかない。変に冷静になってしまった。そして、なぜか冗談っぽく彼女に

「〇〇ちゃん、財布、盗られそうだよ(笑)!」

とポップに伝える。

すると、彼女はギョッとしバッと後ろを振り返って……次の瞬間、

「ギャーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

と、思いっきり叫び、見たこともない速さで地下鉄の階段を駆け下りていった。

私も彼女の絶叫に驚き、気づいたら足が勝手に階段を駆け下りていた。全力疾走しながら私は、だんだんと状況を理解していき、犯罪に巻き込まれそうになっているということの重大さにようやく気づきはじめる。

そんなとき、後ろを振り向くとスリグループの外国人3人のうち、2人は諦め踵を返していたのだが、その中の一番屈強で様子がおかしいやばそうなヤツ1人だけがニヤニヤと笑いながら私たちの後を追ってきたのだ。

「あ、コレまじでヤバいやつだ……」

と私たちは悟った。

ダッシュで階段を駆け抜け、地下鉄のホームに着いても、ヤツはやはりついてくる。

私たちは瞬時に話し合い、どこに着くかもわからないけど、そのときホームに止まっていた電車に飛びのった。

息を切らせながら、私たちは

「もう、ダイジョーブだよね……?」

と胸を撫で下ろし、辺りをキョロキョロ見回す。

すると、視界の端にヤツが。ヤツは私たちの後をつけて、同じ電車に乗っていた。

ヤツの姿を確認した私たちは、一瞬で青ざめ、とりあえず隣の車両、隣の車両へと移動していく。

だが、どんなに車両を変えても、停車した駅で降りた振りをして電車のドアが閉まるギリギリで乗り直しても、ヤツは私たちの後をニヤニヤしながら追ってくる。明らかに常人ではなく、目がいっちゃってて、ヤバい雰囲気をみに纏っていた。

さすがに絶望して半ベソ状態の私たちはもう自分たちの力ではどうすることもできないと判断し、周囲にいた外国人たちに「助けてほしい」と泣きつく、が。

もちろん、乗客たちもずっと前から私たちの異様な光景に気づいていて、チラチラこちらを観察していたのだが、車内の欧米人たちに片っ端から声をかけても、見事に全員スルー。彼らは見て見ぬふりを貫いていた。巻き込まないでくれと言わんばかりに、誰も私たちに手を差し伸べてはくれなかったし、相手にもしてくれない。

「もう、どうすればいいの、どうしよう……」

とパニック状態になっていた私たち。あのときは、本当に死ぬかもしれない、と生まれて初めてリアルに死を身近に感じた。

そんなとき、ふと誰かが私たちに英語で話しかけてくる。それは、フランスに何年も留学しているという中国人カップルだった。

彼らは「どうしたの?何か困っているの?」と声をかけてくれ、私たちがざっくりと状況を説明すると、すぐに理解してくれた。一瞬で作戦会議を済ませ、ヤツから見えないように座席の奥に匿ってくれながら、ヤツがいまどこにいて何をしているのかなど、逐一私たちに報告してくれる。

そのおかげで、ヤツはついに諦め、途中の駅で下車。私たちが心の底から「ほんとうにほんとうにありがとうございました!」とそのカップルにお礼を伝えると、彼らは「ヤツが駅で待ち伏せしてるかもしれないから、念のためあと何駅か過ぎてから降りた方がいい」と助言してくれた。加えて、降りるはずの駅で彼らは下車せずに、私たちが安全にこの電車を降り、次の電車に乗るまで一緒に付き合ってくれて、見送りまでしてくれた。

本当にあまりの優しさと親切さに私たちはなんて言葉にしたらいいかわからなくて、ただただ「thank you」と頭を下げ、胸がじんわりと温まった…という「ただのスリかと思ったらよりデンジャラスな展開だyo……!事件」だったのだが、私がこの体験で最も印象に残っている言葉がある。

それは、この中国人カップルが言っていた

「ココでは、悲しいけど欧米人は誰も助けてくれない。だから、本当に困ったことがあったら、同じアジア人に声をかけて。絶対に手を差し伸べてくれるはずだから」

という言葉だ。

何年もフランスに住んでいるという彼らは、悲しそうに顔を歪めて、そう呟いた。

あのときの彼らの表情や声のトーンは数年経ったいまでも、鮮明に覚えている。そして、その言葉を聞いたときのなんとも言えない感情も。

いま思い出してみると、あの事件で経験したことは黄色人種差別の一つだったのではないかと、ふと思った。

ちなみに観光案内所でクレジットカードの機械の操作がよくわからず、窓口のお姉さんにブチギレられて、そのままディズニーランドのチケット代をぼったくられたのもいい思い出です(笑)。

でも、フランスで出会った外国人がみんなそういう人というわけではもちろんなくて、親切な人もたーーーーーーーくさんいました!ホントにいっぱい!!

エスカレーターで私がスーツケースでバランス崩して落ちそうになったら、後ろにいた恰幅がいいマダムが笑いながらボフンッ!と支えてくれたり(その後ろに妊婦さんがいらっしゃったからマジで事故にならなくてよかったです。感謝)、切符の買い方がよくわからず私たちが券売機の前で困っていたら、颯爽とジェントルマンが現れ、スマートに切符の買い方を教えてそのまま美しく去っていったり、ショップのお兄さんが私に向かって「チャイニーズボーイ?」と笑顔で気さくに話しかけてくれたり……。

だから、またフランスに行きたいなと思ってるし、このフランス旅行は私にとってほんとうにいい思い出!!!

というお話でした。さて、『イップ・マン』シリーズ制覇しよう〜〜。

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