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まあ、なんとなく⑤

妊娠発覚

病院に行った後エコーで本当に小さなプチっとした命をみた。生命の神秘を感じた。お腹の中にもう一つの命があるのか…。と。そしてその次の日かいつかに彼に話したいことがある、と伝えて夜の上野公園を散歩しながら話した。(多分)彼の第一声は「やっぱり?!」かなにかだった気がする。そこまで驚いた様子でもなかった。私は今後シングルマザーになってでも産みたいと思っている。けど、迷惑にはなりたくないからどうしたいか教えてほしいと伝えた気がする。

堕してほしい

その後彼からは「産んで欲しいと思う反面、⚪︎⚪︎のこれからのことを考えるとやっぱり堕した方がいいと思うから赤ちゃんには申し訳ないけど堕してほしい。」そんな風に言われた。私の為を思って言ってくれてるのもわかった。でも正直悲しかった。

迷う日々

自分自身だけのことを考えれば産みたいとしか思えなかった。でも彼のことを思うと、彼は産む方が辛いのかもしれない。とも思った。とにかく悩んだ。

やっぱり産もう

とにかく悩んでいた毎日だった。そんな時、私は前回妊娠なんじゃない?と偶然にもいち早く当てたおばちゃんとまた仕事が一緒になった。お昼休憩中にまた話を聞いてもらった。実は妊娠してたんです、彼にはおろしてほしいと言われ、もうおろすことにしようかと思っている。と。するとおばさんは「私ごとなんだけどね、、、これは本当に家族以外誰にも話してない話なんだけど、、」と身の上話を始めた。おばさんにとって耐え難いとても辛い出来事があった。でも偶然に偶然が重なり結果的には神様に導かれてるとしか思えないような導きを感じた。普段は神様とかそんなん全然信じてないんだけど、この時にはじめて神様ってものを感じた。だから私がこうやってこの話を⚪︎⚪︎ちゃんに伝えてるってことはね、神様が産みなさいって言ってるのよ。と。おばさんが誰にも話していない大事な話を端折るとすごく宗教みたいに聞こえてしまうけど。。。おばさんは全然そんなタイプではない。おばさんのことを知っているからこそこの話を私にしてくれた話の重みが私の中では深く突き刺さった。その話を聞いて私はやっぱり産もうと産むことを決めた。

私産みたい

彼にもう産もうと思うと夜に呼び出して伝えた。すると彼は「本当に申し訳ないけど堕してほしい。」と。その頃彼は抗がん剤治療を始めていた。私はこの時からきっともうすでに母親だった。そう言われた私は今までにないほどにキレた。「なんで自分は延命しようとしよるのにひとつの命を殺そうとしよん?!信じられん!!!!そんな人とは思ってなかった!!心底見損なったわ!!」と叫んで彼に思いの丈をぶつけた。その後どうなったかは正直覚えていないが、なんか微妙な空気だった気がする…

折れてくれた彼

出産することによしとはしなかったが、堕ろすことにもよしともしなかった。気がする。

母親に相談

正直どのタイミングで相談したか全く覚えていないから時系列がバラバラになっていそうだが、母親にも相談した。母親は「産みなさい。」と言ってくれた。そこで発覚したまた家族の事実があった。「実は真ん中のお姉ちゃんなんやけど看護学生の頃に赤ちゃん堕させとるんよ。今の旦那さんやけど、向こうのお母さんは絶対に堕ろしてくださいって言ってきかんくてねぇ。あの時本当に辛くてもう2度とこんな思いはしたくないって思った。姉ちゃんも産みたいって泣き叫ぶしねえ。だからあんたは好きなようにしんさい。こっちに帰って来たらええんよ。」お姉ちゃんにそんなことがあったことも私は知らず、優しくそう言ってくれた母親に心から感謝した。


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