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新入社員を応援する「オンボーディングチーム」の仕組み

こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというコンサルティング会社で人事の仕事をしています。

2021年頃から、新入社員の定着を支援する「オンボーディングチーム」という取組みを始めました。
先日、関係者でこの取組みを振り返る機会があり、「導入してよかった。今後も続けていきたい」という結論になりました。
同じようにオンボーディング支援で悩む、どなたかのためになると思うので、書いてみます。

導入前の課題①メンター制度の一部形骸化

きっかけは、メンター制度の一部が形骸化していることでした。

当時は、全社員に1人ずつ「RA (Resource Advisor)」と呼ぶメンターを割り当てる仕組みでした。
新入社員が入社すると、私たち人事が「あなたのRAは〇〇さんです」と発表し、顔合わせをするという流れです。

このRAは、どちらかが退職しない限りはずっと面倒を見る役割を担います。
入社後のオンボーディングも、その後のお悩み相談も、キャリアに関するアドバイスも含みます。

ただ、実情としてはRAを効果的に活用している人は、半分に満たない様子でした。
相性が合う組合せは、頻繁に相談したり、ご飯に食べに行ったりしている。
一方で、「入社した時に少し話して以来、あまり話していません」という組合せもチラホラ見られました。

人事評価制度はRAの存在を前提に設計されている。でも、その一部で形骸化の組合せがあるという状態が課題でした。

導入前の課題②新入社員のオンボーディングが下手

「私たち、オンボーディングが下手じゃない?」という課題意識です。

入社1年後くらいの社員に話を聞くと、「入社直後は誰に何を聞いたらいいか分からず、けっこう困っていた」という声がよく聞かれました。

「ケンブリッジは社内に情報がたくさんあるが、情報の全体像が見えない」
「なんでも聞いてと言われるが、誰が何を知っているかもわからない」
「今さらこんな質問をしていいのかな‥と躊躇してしまう」
「配属されたプロジェクト以外での関係性を作りづらい」

以前は、飲み会や社内部活動などの非公式コミュニケーションパスが、こうした情報提供の役割を担っていたのでしょう。
そういう機会も以前より少なくなり、「ここだよ」と新入社員を手ほどきすることができなくなっていたのだと思います。

やったこと:1年間限定のオンボーディングチームをつくる

①メンター制度の一部形骸化、②新入社員のオンボーディングが下手、という課題を解消するため、以下の仕組みを始めました。

【やったこと】
A)入社1年間は「オンボーディングチーム」が面倒を見る。
B)1年後に「オンボーディングチーム」は解散。RAは希望者のみ。

やったこと A)入社1年間は「オンボーディングチーム」が面倒を見る。

あらかじめ既存社員に対して「新入社員のオンボーディングを支援することに興味ある人はいませんか」と有志を募ります。

そして、新入社員4~5人:既存社員2人という組合せで班をつくります。
この班が新入社員のにとっての「入社1年間の駆け込み寺・水先案内人」という役割を担います。

班でSlackのプライベートチャンネルをつくる。新入社員研修の中で顔合わせを行う。月に1回の班ミーティングを開催する。
「どんな質問・相談もこの班では歓迎する」というルールでオンボーディングを支援します。

既存社員は、すべての質問・相談に自分が答えなければいけないわけではありません。
分からなかったり自信がなければ、「この人に相談してみるといいよ」と別の社員を紹介する手もあります。

やったこと B)1年後に「オンボーディングチーム」は解散。RAは希望者のみ・更新制

入社後1年経ったら、オンボーディングチームは解散します。

解散後、RA(メンター)が欲しい人は自分でRAを探します。
解散前に、RAを誰にすべきかをオンボーディングチームに相談するのもありです(オンボーディングチームの先輩社員がそのままRAになる、というのはナシにしています)。

また、年次評価のタイミングで「来年のRAを継続する/変える/廃止する」の意向を毎年確認することにしました。

「自ら希望してRAを選択したのだから、形骸化せずRA制度を活用してもらう」というねらいです。

新制度のポイント

1年半ほどこの新制度を運用して、関係者で振り返りを行いました。
いくつか課題はあるものの、総じて「導入してよかった!」というのが現時点での感想です。
うまくいったポイントがいくつかあります。

関係性:1対1ではなく、複数対複数である

従来のRAの1対1の関係性の場合、お互いの相性によって大きく左右されます。人間ですから「ちょっとこの人とは合わないな」ってありますよね。
そうすると、次第に疎遠になってしまうのも致し方ありません。

一方、オンボーディングチームは、複数対複数の班です。
「ちょっとこの人とは合わない」という人がいても、もう一人の先輩社員に相談すればいい。単に確率の問題です。

位置づけ:有志かつ支援期間があらかじめ決まっている

従来のRAは、人事から依頼されて担うもの。かつ、お互いが在職している限りはずっと関係性が続くものです。
一方、オンボーディングチームは自ら手を挙げて取り組むもの。かつ、「入社後1年後には解散」と決めています。

期間が決まっているからこそ、「手を挙げたんだし、最後までちゃんと支援しよう」という気持ちになれます。

担い手:オンボーディングチームなら若手社員でも担える

従来のRAは、キャリア支援やコーチとしての役割も担っていました。ケンブリッジでの経験がある程度ないと荷が重いですよね。
結果的にある一定の職位以上の人しか担えない状態になっていました。RA候補不足が起きていたわけです。

一方、オンボーディングチームは、役割を入社後定着に絞っています。また、「質問・相談に自分が答えられなくても、誰かを紹介すればいい」というハードルの低さがあります。
その結果、入社2年目の若手社員も積極的に手を挙げ、貢献してくれています。本当にありがたい!

既存社員にとっても、1年前の自分を投影しながら貢献実感を得られる機会になっているのではないかと思います。

まとめ

まだ走り始めて1年半くらいのよちよち歩きの制度。
これからも課題はいろいろ出てくるんだと思いますが、大切に育てていきたいなと思っています。




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