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和食の学び舎終了レポート ”和食”を日々の生活に落とし込む半年間を経て

「レシピからは学べない、日々のリズムにあう食を」という想いから
2021年の10月に開校した和食の学び舎

2022年の3月、参加者の大切なゲストをお招きしてのお披露目会を以て、
半年間の学びのプロセスが終了しました。

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以下の順で、和食を日々の生活に落とし込む場のレポートを致します。

  • 学び舎のプロジェクト概要

  • プロジェクトの目的

  • プロジェクト内容

  • 成果

  • 和食の学び舎プロジェクトを終えて


1.学び舎のプロジェクト概要

2012年、世界遺産に登録された和食。和食と聞くと寿司などの職人技をイメージしがちですが、それだけでなく、ぬか漬けやひな祭りなど、日本人が昔から受け継がれてきた食文化があります。暮らしの中の和食を日々の生活にとりいれ、和の食卓を紡ぐ人を増やしていきたいと思い、半年間のプロジェクトを実施しました。心得を体験として学ぶ心得編と、料理を実際に作る実習編を通して、暮らしや食についていろんな視点から考える場をつくりました。

【心得編】

日本人が暮らしの中で昔から大切にしてきていることを6つのテーマ(身体を活かす、旬を活かす、素材の個を活かす、素材の全部を活かす、里山が活きる、客が活きる)にして、それぞれの道の第一線で活躍されている方を講師に招き、体験としての学びの場をつくりました。

【実習編】


暮らしの中の和食を学ぶ機会を古民家いえいえにてつくりました。旬のもので一汁二菜を組み立て、包丁の研ぎ方、魚のさばき方、切る、煮る、焼くなどのテーマを設定しながら料理を作りました。


2.プロジェクトの目的

【立ち上げ経緯】

職人技術を学べる場は、調理学校や、飲食店など、存在します。しかし、料理の技術だけではなく、食との向き合い方、考え方などから学べる場がないのではないかということからスタートしました。

【目的】

目的としては、上記2つあります。
1つ目においては、料理の学校へいったり、仕事をやめて飲食店に勤めたりするだけではなく、食との世界の関わり方は様々あります。広い視野で食との関わり方を定期的に体験として学ぶ場であったり、実際にその世界の中で活躍されている方と話す機会があることにより、具体的に関わり方を探る一歩になればと思いました。
2つ目においては、日本の暮らしの中で大切にされてきたことを学び、改めて自分の暮らしにそのエッセンスを取り入れてより豊かにしていくきっかけになればと思いました。

3.プロジェクトの内容

【心得編】

10月2日 身体が活きる

身体が活きる:「一汁三菜」「発酵調味料」「野菜と魚中心」の料理を味わい、感じる体験を実施しました。
(学び舎運営メンバー)

11月13日 旬が活きる


旬が活きる:自然の移ろいを野に生えている草花から感じとり生け花を通して表現する体験を共有しました。
(華道家 山崎さん)

12月5日 里山が活きる

里山が活きる:里山を保全している活動に参加し、湧き水の見学、循環農法の畑の見学、焼き芋体験を行いました。
(北鎌倉湧水ネットワーク 野口さん)

1月15日 客が活きる



客が活きる:人をもてなすとはどういうことなのか、日本的な美意識や文化のこと、和の空間である鉢の木さんの客室にて対談しました。
(精進料理鉢の木代表 藤川さん)

2月19日 素材の全部が活きる


素材の全部が活きる:すべてを使い切り(ぬかや野菜の皮や葉っぱなど)古くからの丁寧な暮らしのリズムが流れる葉山の古民家にて、自分だけのぬか床を仕込み、発酵薬膳料理をいただく体験を行いました。
(発酵薬膳料理家 山田さん)

3月5日 素材の個が活きる


素材の個が活きる:野菜の声を聞く料理人の深澤さんのアドバイスのもと市場へ野菜を買いに行き、味見をせずに野菜に聞きながら料理をする体験をしました。
(野菜の声を聞く料理人 深澤さん)

【体験編】

第一回目

【学習テーマ】
・砥石を使って包丁を研ぐ 
・切る(姿勢、包丁の動かし方、手の添え方)
〜献立〜
御飯:蕪の菜めし
主菜:千切りキャベツ 南瓜とナッツのドレッシング添え
副菜:きんぴらごぼう
汁物:鯛の潮汁


第二回目

【学習テーマ】
・煮る(下ごしらえ、調味料の割合、火入れの仕方)
〜献立〜
御飯:白米
主菜:ぶり大根
副菜:白菜とりんごの発酵ピクルス
副菜:しいたけの佃煮
汁物:大根と三つ葉と油揚げのお味噌汁

第三回目

【学習テーマ】
・魚の触り方(魚の捌き方、お刺身のひき方、盛り付け方)

〜献立〜
御飯:白米
主菜:お造り(アジと鯛の3点盛り)
副菜:大根と柚子のお漬物
汁物:鯛のあら汁

第四回目

【学習テーマ】
・焼く(下処理、味付け、火入れ)
・副菜のバリエーションを学ぶ
(お浸し、佃煮、和え物、酢の物、炒め煮等)

〜献立〜
御飯:百合根ごはん
主菜:鱈の幽庵焼き
副菜:里芋の胡桃あえ
汁物:金時人参のすり流し

第五回目

【学習テーマ】
・「春の食卓」をテーマに一汁三菜で献立を考える

〜献立〜
御飯:桜えびとグリンピースの炊き込みご飯
主菜:鰆の菜種焼き
副菜:新じゃがの煮っころがし
副菜:菜の花のわさび和え
汁物:春キャベツと油揚げのお味噌汁

第六回目

【学習テーマ】
・お披露目会
自分の大切な人に半年間の学びを形に
一汁三菜でおもてなし
〜献立〜
御飯:ふくさ寿司
主菜:鯛の桜蒸し
副菜:ふきの翡翠煮
副菜:ぬか漬け3点盛り
汁物:あさりのお吸い物

4.結果

参加者の声をご紹介します。

・実用的なスキルとしては「きちんとお出汁をとる習慣」「魚の扱い方、捌き方」「和食の味付けの割合を覚えること」などが身につきました。 
・毎回のワークショップや実習で得られる知恵や、ちょっとした個人的な気付きの積み重ねがたくさんありました。 例えば
○植物や地層に興味が湧いたこと
○"和食屋さんの香り"の正体に迫れたこと
○私が前面に来ないように、目の前の植物や野菜が活きるように扱うこと
○目に見えぬ本質を引き出すための舞台装置として、形式的な設定も重要だということ(畳、床の間、お花、掛け軸、お作法)
○偶然をもっと楽しむこと 等
多分、自覚している以上に、潜在意識にはもっと色々な学びが蓄積しているのだと思います。 これらの要素が私の中で時間をかけて発酵して、いつかきっと生活に深みをもたらしてくれるような気がします。
・おかげで生活が少し豊かになりました。また、「いつか住みたい地に移住して好きなように暮らす」というふわふわしたビジョンについても、まだきちんとした形にはならないものの、「具体的に自分達は何をしたいのか」「実現するには何をどうしたら良いか」という現実的な視点で、夫婦であれこれ話し合うようになりました。また機会があれば一緒に何かできると嬉しいです。良い時間をありがとうございました!

5.和食の学び舎プロジェクトを終えて

和食の学び舎プロジェクトは、2021年10月~22年3月で第一期のプログラムが行われたので、コロナ禍での立ち上がりとなりました。

6つの活きの心得編では、和食の多面的な広がりを、
実習編では、「煮」「切」などの1つ1つの奥行きを体験する場となったかと思います。

コロナ禍で暮らしの見直しという意味で、和食の学び舎の機会を選んで
参加してくださった参加者の方々、講師として和食の学び舎の実現にご協力くださった方々、会場をご提供くださったSUGATA様など、
関わってくださった方すべての方に御礼申し上げます。

【集客面の改善点】
課題:既存の縁の繋がりによる集客がメインであった。

結果:本当にこのプロジェクトを必要としている人へのリーチが十分にできなかった。

原因:コロナの状況などもあいまって、東京のイベントや湘南エリアから離れた人へのアプローチができなかった。

改善:紹介による参加だけでなく、もう少し広告に力を入れたり、都内の方へイベントやコラボにでていくことも。

【運営面の改善点】
課題:通期での参加者は一人で参加者同士が学び合うような場づくりが難しかった。

結果:それぞれの回ごとメンバーが異なった為、場づくり、関係づくりが毎回ーからで参加者同士の共感や学び合いが薄かった。

原因:通期での参加者を集められなかった。

改善:通期のメンバーの最低催行人数を決めておく。(2人以上で実施など)






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