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今日の本|「PACHINKO」ミン・ジン・リー

海外文学が好きで、よく読みます。
なかでも好きなのが、家族もの。
複雑な親戚とか、召使いとか、近所の人とか、はじめに登場人物紹介や相関図があるようなのが、特に好みです。
好きなくせに、その登場人物の多さに、読む前からうんざりするような本。

この「PACHINKO」も、たっぷり上下巻、韓国4世代の長編小説です。
読んでる間、しっかり物語に巻き込まれて、近所に住むおばさんのように、家族たちの様子を見守りました。

全編を通して主要人物として描かれるは、朝鮮に生まれ育ったソンジャ。
夫とは別の男との子を妊娠したまま、夫と共に大阪に移り住み、在日コリアンとして生活していくが、朝鮮人への風当たりは強く、生活は決して楽ではない。
夫の死、兄夫婦たちとの生活、聡明な息子。

この家族には、何度も経済的な不安が降り掛かり、その乗り越え方がしなやかで力強いんですよね。
自分の倫理が許さない、でも生きていくためには仕方ない、その選択でよかったのだろうか、というギリギリな感情が迫ってくる。

韓国とその周辺の歴史をよく知らない私には、歴史や文化を垣間見るガイドのような物語でもありました。
韓国ものは「82年生まれ キム・ジヨン」著:チョ・ナムジュも読みましたが、国は違えど同世代女性、あまりにも共感するばかりで、違う文化を覗く感覚はなかったもので。

その国の歴史などを知識として知っていても、頭の中でうまくつながらない、イメージしにくい部分がいつもぼんやりと残っていて、それが、あぁそういうことか!と繋がるのは、その国の小説を読んでいる時が多い気がします。
あと、映画も。



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