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今日の本|「詩のこころを読む」茨木のり子

今朝、ゆっくり昼近くまで寝ていた夫に、
「何してた?」と聞かれ、
「詩を読んでた」と答えたら、ギョッとされた。
「え…詩って、ポエムだよね」となぜか小馬鹿にされる始末。
なぜ英語にして軽く扱う。

夫は中学生のころ、もう顔も名前も思い出せないような女の子から、ラブレターをもらったそうです。
学校の帰り道にさっそく読むと、夫曰く「ちょっとよくわからないポエムが書いてあった」らしく、文末には「読んだら捨ててください」とあり、迷うことなく歩道横にある沢に放り投げたそう。

初めてこの話を聞いたとき、
なんてひどい!その後どんな顔してその子と接したの!なんでその子の気持ちを汲み取ろうとしないの!感受性ゼロか!と、バカにして笑ったけど、「詩ってよくわからない」という夫の気持ちはわかる。

数行の言葉の組み合わせに強く惹かれて心が動かされても、なぜなのかわからなくてはがゆい。

そもそも中学生の夫は、そのポエムに心が揺れることもなかったようですが…。

✳︎

「詩のこころを読む」著:茨木のり子 を読みました。
若い人(岩波ジュニア文庫ですから)が、詩を楽しむきっかけになれば、と、詩人・茨木のり子さんが、自分の好きな詩を情熱を込めて語った本です。

日本の近代詩を中心に、茨木さんが背景や感動のポイントを解説しています。
茨木さんの解説で、紹介されている詩がより深く刺さり、涙が出ます。

 浄化作用を与えてくれるか、くれないか、そこが芸術的か否かの分かれ目なのです。だから音楽でも美術でも演劇でも、私のきめ手はそれしかありません。
 この本でとりあげた作品は、すべて、それぞれの方式のそれぞれの浄化装置を隠していて、かなしくなるくらいの快感を与えてくれたものばかりです。

詩のこころを読む


浄化作用、かー。
カタルシス、心の開放。

感情が湧きあがるのは自然なことだけど、それがなにかを見極め対処していくのは、日々の訓練です。
自分で能動的に訓練していくしかない。

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