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ゴッホ展

ゴッホ展
上野の森美術館



今回のゴッホ展はオタク向けかなとおもいました☺️

おととしのゴッホ展はジャポニスムに影響されたゴッホにフォーカスをあてていたのと、原田マハ先生の「たゆたえども沈まず」を読むと涙なしでは見れないキャッチャーな展示だったので、今回はその時と比べるとガリ勉な感じ(どんなだ)


流れとしては、オランダ→パリ→アルル→サンレミ→オーヴェールシュルオワーズとゴッホのたった10年間の画家人生を、弟テオとの大量の手紙のやりとりをベースに時系列に順を追ってたどっていくので一応わかりやすくはなっているのですが、ただ展示作品がゴッホ以外の画家含めかなり"通"向け…!


とくに今回はあまり知られていない、ゴッホが絵を描き始めたばかりの「バルビゾン派」「ハーグ派」に影響されたオランダ時代にフォーカスをあてていて、わたしはゴッホの初期の作品のことは全然知らなかったので新しい発見がたくさんあってとっても興味深かったです。


なにせオランダ時代の絵、めちゃくちゃ暗い…!「落ち穂拾い」のミレーを崇拝していたゴッホは『働く姿こそ強く美しい』という時代の風潮もあり農民の暮らしをテーマに絵を描きはじめるのですが色調が暗すぎるのと、どうにか自分らしく絵が描けるようになろうという必死さから、絵を楽しんで描けていなくて、不憫な気持ちになってくる絵ばかり。苦悩のあとが感じられました。


そこからパリにうつり、モネなどの印象派の影響を受けて徐々に色彩が鮮やかになってきてあぁよかったとほっとするのですが、色の変化だけではなく、あのゴッホらしい厚塗りの技法は印象派以前の画家モンティセリに大きく影響を受けたということも初めて知りました。

「自分はモンティセリの後継者だ」なんて言ってたそうで、実際この展覧会ではモンティセリの絵が3点見れるのですが、なるほどほんとにゴッホみたいな濃厚なタッチ。


意外とゴッホって周りの人たちからの影響をがんがん受けるタイプのひとなんだなと思った反面、サンレミ以降、誰からも影響されずに一人で描きはじめてからの絵が解き放たれたかのように群を抜いて良くなっていることをおもうと、きっとゴッホはとっても繊細なひとだろうから周りの画家や時代の流れや人から言われたことなど、当時は気にしなくていいことまでたくさん意識してしまってたのかな。


ただ、ひとりで描きはじめた理由が、奇行が目立ってまちのひとたちから排斥されたり、心の拠り所であるテオが結婚したり、精神的に病んで入院することになったりと、自分は孤独だということに対してどうしようもない辛さがぐるぐるしてて、それを考えないようにとにかく毎日すごいスピードで絵を描き続けてたのかな…と勝手な余計な心配をしてしまうのであります…。


さて、今回の展示でゴッホの手紙による記述の1つに感銘を受けたのですが、メモをとっていなくてうろ覚えなのですが「モネ、ピサロ、ルノワールの絵には本当の桃色の空がある。桃色の空を描く画家が生き残ってきた」みたいな文があって、ゴッホってこういう視点で他の画家の絵を見ているんだという驚きと、そこにモネの桃色の空の作品が展示されてたのですが、そのうっとりするような美しさに改めて印象派の色の捉え方に心が奮えました。


というわけで、わたしゴッホのことなんにも知らなかった~とおもったけど、本や映画やテレビで知ること以上に、本物を見るとなにか感じることが必ずあるし、画家の人となりを、絵を知るには実際の人間関係と同じで、少しずつ時間をかけて知っていくのもとっても大切なことだとおもいました。新たなゴッホの一面が知れてうれしい展示でした♡

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