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映画感想#16 「第七の封印」(1957年)

原題 Det sjunde inseglet
監督・脚本 イングマール・ベルイマン
出演 マックス・フォン・シドー、グンナール・ビョルンストランド、ニルス・ポッペ、ビビ・アンデショーン、ベント・エーケロート 他
1957年 97分 スウェーデン


生と死について、「神の存在」という観点から、深く考えさせられる作品です。
ー死は全ての人に平等である。
ー老いの先に死があるのではない。
ー死神は何をも見逃さない。
ー死は突然訪れる。
ー生とは死までの時間稼ぎである。

全体を通して、中世ヨーロッパの退廃的な雰囲気と、死が迫りくる恐怖が感じられます。
主人公の騎士アントニーウスは、突然現れる死神とのやり取りから、神の存在を自分の中で確かなものにしようとします。その時間稼ぎのため、チェスの勝負をすることになるのですが…
死を擬人化した死神の姿が恐ろしくもあり、でもなぜか、人間の姿であることによって、近しく普遍的な存在でもあるように感じます。

とはいえ、突然現れる死神は衝撃的です。
気づいたらそこにいた、という感じ。何の前触れもなく現れる。

死神(衝撃のビジュアル)と騎士アントニーウス

おそらくベルイマン映画の特徴でもあると思うのですが、ストーリー的な面白さとはまた違った、シーン自体の面白さが印象的。
荒れた海辺や山の風景、怪しい空模様などの天気によって、印象に焼き付けられるような強烈さが残る。セリフも淡々としているからこそ、場面の感じが画として残る。モノクロなのに(だからこそ?)この強烈さ。

神とは何なのか。実在するのか。
アントニーウスは、神の存在を確かに見出すことができず苦悩しますが、結局、死神との勝負に負け、同行していた数名と共に死神に連れて行かれてしまいます。

しかし、一緒にいた旅芸人のヨフとミア夫妻は、なぜか死を逃れました。
なぜなのでしょうか。
結局は、死を受け入れるかどうかの違いなのかもしれないと思います。まだ生きたいと思う気持ちが、死神を遠ざけるのかもしれない。

まだまだわからない部分もありますが、またいつか、じっくり見たいと思います。

死神に連れられる人々
寓話的で面白い。

☆鑑賞日 2013年8月9日


投稿に際しての余談

・2013年、ユーロスペースにて上映されていた、「イングマール・ベルイマン3大傑作選」にて鑑賞しました。初めてのベルイマン作品でしたが、かなり衝撃を受けました。こういう古い映画を当時そこまで見ていなかったので、余計かもしれません。
主人公の騎士を演じるマックス・フォン・シドー。「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(2011年/スティーブン・ダルドリー)のおじいさん役でも記憶に新しく、若かりし姿が新鮮に映りました。

・タイトルの「第七の封印」とは、新約聖書のラストにある「ヨハネの黙示録」のモチーフです。神の裁きが始まるとき7つの封印が解かれる、というその部分のことを指すものかと思います。
7つある内の、第7番目の封印を指すので、本当に「終わりの始まり」といいますか、受難を予告するタイトルだと思われます。
※参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/ヨハネの黙示録


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

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