映画感想#5 「あの日 あの時 愛の記憶」(2011年)
原題 Die verlorene Zeit(英題 Remembrance)
監督 アンナ・ジャスティス
脚本 パメラ・カッツ
出演 アリス・ドワイヤー、マテウス・ダミエッキ、ダグマー・マンツェル、レヒ・マツキェビッチュ、デビット・ラッシュ 他
2011年 111分 ドイツ
凄まじい。収容所って何なんだろう。
ポーランドって、ドイツって、ソ連って何がしたいんだろう。
トマシュはレジスタンス活動だけでなく、自分の愛を貫きました。ハンナは懸命に生きました。ただそれだけなのに。
なんでこんなに酷いのだろうか。戦争って何なんだろう。本当に、こうしてたくさんの人が死んでいき、結果勝利したところで何にもならない。
そんな状況にも関わらず、愛は負けない。
トマシュとハンナは極限の状況で、命懸けで収容所を脱出した。2人じゃなきゃできないことだったでしょう。ナチスだの、ソ連だの、時に家族の非情さにも負けずに、生きるために努力しなければならなかった。
ある一部の上層部が始めた戦に巻き込まれて、かけがえのない人生を失ってしまった。
しかもこの時代のアウシュビッツ収容所なんて…。
時を経て、ハンナはトマシュではない人と結婚している。その人に対する遠慮もあり、また当時の記憶が辛すぎるという理由で、自分の中に閉じ込めてきた思い。
トマシュと再会できたことは、生きる喜びに繋がるでしょうし、戦争がこの世からなくなる一歩になったら良いなと感じました。
実際のエピソードに基づく脚本のようです。辛いけど、見るべき映画です。
★鑑賞日 2012年8月24日
投稿に際しての余談
・原題はドイツ語でDie verlorene Zeit=失った時間。これが、英題だとRemembrance=思い出、記憶となります。
邦題は随分と説明的になりますね。原題、英題はハンナの戦争についての記憶、思い出さないようにしようとしていた期間全体のことを指すように思いますが、邦題だと、収容所を逃げ出した瞬間のことを指すのではないかと。「あの日あの時」というのは。
「愛の記憶」という部分でラブストーリー感が出ますが、わたしはこの映画はラブストーリーではなく、戦争の物語だと感じました。
・戦争というもの、争いというものは相手に負けたくない、自分の方が有利なはずだ、と思う人/国がいる以上、絶対に無くならない。武器なんて持ち始めたらなおさらです。
戦争をテーマにした映画はたくさんありますが、そういう映画で、戦争を肯定するような内容ってあるんでしょうか。だいたいは悲劇、悲惨な過去、巻き込まれた人々の悲しい話ですよね。
過去から学ぶべきことが、映画の中にたくさん転がっているのに、世界は良い方向には進まないものです。といっても自分はその現実に対して何もできていないので、大きい声では言えないけど。でも、戦争は無くならないといけない、とは強く思っています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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