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映画感想#37 「ANNIE アニー」(2014年)

原題 Annie
監督 ウィル・グラック
脚本 ウィル・グラック、アライン・ブロッシュ・マッケンナ
出演 ジェイミー・フォックス、クワベンジャネ・ウォレス、キャメロン・ディアス、ローズ・バーン、ボビー・カナヴェイル、アドウェール・アキノエ=アグバエ、デヴィッド・ザヤス 他
2014年 アメリカ 118分


夢を見ることを諦めない、アニーのパワー

ブロードウェイミュージカルの映画リメイク版です。
ストーリーは現代風にアップデートされていて、アニーを引き取る大富豪スタックスは携帯電話会社の社長で、市長選に立候補中というシチューションです。
最初は市長選を勝ち抜くために利用していたアニーに対して、段々と本当の家族になれたら良いのに…と思い始めているスタックスの気持ちが、切なくも優しい。社会に対する疎外感や格差への苦い思いなど、2人の中には共通する感情もあり、アニーもスタックスへの愛情に気づき始めます。

と、ストーリーも良いのですが、何よりもミュージカルなので、"Tomorrow"などの名曲が聴けるのも楽しいですね。
アニー役のクワベンジャネ・ウォレスはピュアな歌声と表情豊かな演技が素晴らしい。特に"Opportunity"は、持ち前の明るさで自ら未来を切り拓く姿が印象的な、素敵な曲です。
そして何と言ってもスタックス役のジェイミー・フォックス!堅物のスタックスがいきなり歌い出す、ヘリコプターでのシーン"The City's Yours"は鳥肌でした。というか、贅沢…!

ビジネスに利用するはずだったアニーに惹かれたのは、きっと彼女が自分の置かれた立場をよく理解していて、それでもなお夢を見ることを諦めていなかったからでしょう。
スタックスは仕事で成功することに必死になるあまり、グレースへの気持ちや誰かに頼ることを忘れてしまっていた。彼の秘書であるグレースは、寂しい気持ちを押し殺してただ仕事をすることで満足しようとしていた。アニーの里親ハニガンも、自分の置かれた状況に飲み込まれていた。
そんな大人たちが忘れていたのは、今に満足せずに理想を追い求める力。アニーはその力を持っていたし、そのパワーに惹かれたのだと思います。

ビジネスの先には本当の家族が待っていた…というのはやっぱりファンタジーかもしれないけれど、今の自分を変える勇気をもらえる、永遠の名作です。

☆鑑賞日 2015年2月3日


投稿に際しての余談〜ミュージカルの魅力〜

レ・ミゼラブル、ウェストサイド・ストーリー、シカゴなどなど、ミュージカル映画って華があって良いですよね。ま、現実には突然歌って踊ることはないので、ある程度ファンタジー要素は必要なのですが。
ここ数年インド映画を見ていて思ったのですが、「歌う」という演出は本人の気持ちを雄弁に語ることのできる手段の一つだし、とても心に訴えてくるものがある。当たり前のことだけど、特にインド映画を見て強くそう感じました。
昨年12月、劇団四季のウィキッドを見て号泣しました。歌の力ってすごいなあ。あんな風にステージに立って、光の中で自分の声がどこまでも届くような感覚を味わってみたい。夢でも良いから。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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