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映画感想#17 「「また、必ず会おう」と誰もが言った。」(2013年)

監督:古厩智之
脚本:加藤淳也
出演:佐野岳、杉田かおる、嶋田久作、塚本晋也、徳井優、水木薫、戸田昌宏、唯野未歩子、古村比呂、国広富之、イッセー尾形、角替和枝 他
2013年 日本 104分


自分の居場所を確保するために必死な高校生、和也の成長の物語です。
多くの人が、かつて学校生活で経験したであろう”自分の居場所問題”。自分もなんだか懐かしい気持ちになりました。

和也は言うことがほとんど嘘ばかりで、笑顔も嘘くさくて。こういうやつ、いるよなーっていう感じ。それに加えて田舎ならではの東京への憧れもあり、ちょっとした見栄から嘘を重ねてしまいます。(私も田舎育ちなので、よくわかります。)

そして、その嘘もバレそうになり、ボロが出ないように親にまでまた嘘をついて、東京行って、お金失くして帰れなくなって。本当にアホ。
でも空港で偶然、売店スタッフの昌美に拾われて。こんな人の家、絶対に行きたくないけど、昌美から少し学ぶこともあったような気もします。少し(笑)

静岡で昌美の元夫、秋山に会う。髪も切って、自転車ももらって。警察から「何となく」逃げて。そして柳下さんに会う。この人、とんでもないオヤジだけど、いい人でした。和也の嘘は全部見抜かれちゃうし。柳下さん、本当に最高です。

特に深く考えずに、何となく意見を合わせてしまうことって日常的にあると思います。
自分の居場所は確保したいから。仲間はずれにされたくないから。特に学校という閉鎖的な環境ではなおさらです。
そうすると、どんどん本音が言いにくくなってしまう。ハブられるんじゃないかと警戒して。よくわかります。

そんな風に生きていると、自分の気持ちとか意思とか、そういうものがどこか遠くに行ってしまうような感じがします。でも、それってちょっと辛いですよね。

和也は、この偶然の一人旅で、それに気づくことができたはず。大人になるってこういうことなのかも。

☆観賞日 2013年10月7日


投稿に際しての余談

・観賞当時、私は大学2年生でした。
中学や高校ほど閉ざされた人間関係ではなかったですが、主人公・和也への共感はかなりありました。学校では長い間同じ人間関係でいなくてはならないからこそ、友達がいないとやばい、という強迫観念がある。もちろん、自然と仲良くなれたら最高なんですけど。無理にでも自分のために友達作らなきゃ…という感じが、苦しく感じた時もあリました。
大人になってもそういう煩わしさみたいなものって無くなるわけではないですが、学校って閉鎖的だから、余計そう感じるのかも。

・全然知らなかったんですが、原作がベストセラーだそうで。でも逆にベストセラーの映画化、と知っていたら見なかったかもしれないので、結果としては知らなくて良かったです。
"ベストセラーの映画化"ってだけで、なんだか商業的な意図が見えて、「見なくていいや」となってしまうことが多い。まあ、偏見なんですけどね。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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