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映画感想#58 「チャルラータ」(1964年)

原題 Charulata
監督・脚本 サタジット・レイ
出演 マドビ・ムカージー、ショーミットロ・チャタージ、ショイレン・ムカージー、シャモル・ゴサル、ギタリ・ロイ 他
1964年 インド 119分



歌って踊らないインド映画

インド北西部、コルカタ生まれの映画監督サタジット・レイの映画。本作品はベルリン国際映画祭監督賞を受賞しているようです。

彼の映画を初めて見ましたが、とても清々しく、流れるような映像が印象的でした。
まず音楽。民族的な打楽器の音が特徴的で、インドに行ったことがない私もまるでインドにいるような気持ちになる素敵な音楽でした。レイは音楽家でもあるらしく、本作品の音楽も担当しています。

そして主人公のチャルラータさんが本当に美しい。
いつも思うのですが、インドの方って顔のパーツがはっきりしていて、とても美しいですよね。サリーの模様ともよく合っていて、民族衣装ってちゃんとその土地の人に似合うようにできているんだなあ、なんて思いました。モノクロ映画ですが、サリーの鮮やかな色彩が見えてくるようです。

チャルラータという女性は、裕福だが孤独な生活を送っていました。しかし、文学という自分のやりたいことに気づき、夫の従弟であるアマルがそれを理解してくれたことから、だんだんと生きる喜びを見出していきます。
しかしチャルラータの書いた文章をアマルが雑誌に投稿。その出来事を経て、チャルラータは「もう二度と書かない」と言うのです。
アマルに雑誌に投稿しないで欲しかったのは何故だろう。

たぶん、アマルとだけ分かり合えていれば彼女は満足だったんじゃないかな。社会的に認められたいわけじゃない。ただ、分かり合える人がいれば、それで良かったのでは。
余韻の残る終わり方だったのであくまで推測ですが、私にはそんな風に思えます。

歌って踊るばかりがインド映画ではない。
新しいインドの世界を見たような気がしました。

☆2015年10月4日
@特集上映「シーズン・オブ・レイ」(渋谷イメフォ)


余談~ウェス・アンダーソン映画との関連~

↑予告編でウェス・アンダーソンのコメントがあるのが嬉しい!
以前別の映画感想(「ムーンライズ・キングダム」)で、本作との関連「双眼鏡」のことを書きましたが、やはりウェス・アンダーソンもレイの映画を見ているのですね~。
インドを舞台にした「ダージリン急行」(2007年/同監督)もあるくらい、鮮やかな色合いと民族的なモチーフは、ウェス・アンダーソンの感覚と相性が良いのかもしれません。

▼(参考)双眼鏡について:「ムーンライズ・キングダム」(ウェス・アンダーソン)


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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