![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120931699/rectangle_large_type_2_e6d2c1a19db9a423392b3ddb9a6e8db0.jpg?width=800)
映画感想#28 「なまいきチョルベンと水夫さん」(1964年)
原題 Tjorven, Batsman och Moses
監督 オッレ・ヘルボム
脚本 アストリッド・リンドグレーン
出演 マリア・ヨハンソン、クリスティーナ・イェムトマルク、ステファン・リンドホルム、トルステン・リリエクローナ、ルイーズ・エドリンド 他
1964年 スウェーデン 92分
牧歌的な北欧の暮らしを味わう
主人公の女の子の貫禄がすごい。この体格に、この満面の笑顔。
スウェーデンの離島”ウミガラス島”で、このビッグな少女と、ビッグな水夫さん(セントバーナード)が仲良く遊んでるだけで、世界観はバッチリです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/121118682/picture_pc_94bbf037b71681061016420fd6b5bf4e.jpg?width=800)
なんか古っぽいなあー、ベルイマンもこんな音楽だよなー(管楽器?フルート?)と思ってたら、約50年も前の映画でした!
のどかな音楽のおかげで、ひょいっとウミガラス島にトリップできてしまいます。
島に住む人々が、動物たちと共存しているのも微笑ましい。
チョルベンの飼っている犬が「水夫さん」。友達のペッレが飼っているウサギは「ヨッケ」。網にかかってしまったアザラシは「モーセ」。ペーテルの犬は「ユムユム」。その他にも、ヒツジやキツネ、カエルが出てきて物語を進めていきます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120931713/picture_pc_51c35e419347423ca17a0237499fd648.jpg?width=800)
物語の後半で、ヒツジとウサギのヨッケが何者かに殺されてしまうのですが、水夫さんが疑われることに。動物を殺す動物は生かしておけない、ということで水夫さんが銃殺されそうになる・・・という展開になります。
結局、犯人は狐で、水夫さんは殺されずに済んだのですが、、、
動物との関わりの中で、人間は必ず「死」を目の当たりにすることになります。寿命の短い動物との関係は、死を通らずにはいられない。
のどかな雰囲気の中にも、こうした現実的な描写があって、物語に深みを与えています。
水夫さんが疑われたのは、モーセばかりに気を取られて自分が水夫さんに構ってあげなかったからだ…と自分を責めるチョルベンが、悲しくもかわいらしい。
牧歌的な暮らしの中に、北欧っていいなと思わせる魅力が詰まっていて、ますます北欧が好きになりました。
旅行に行かなくても、穏やかな夏のひとときを感じられる、最高の映画だと思います。
☆観賞日 2014年7月30日
投稿に際しての余談 〜原作のこと〜
原題「Tjorven, Batsman och Moses」は、「チョルベン、水夫さん、そしてモーセ」ということで、この3人(1人と2匹)を中心とした物語であることがわかります。
原作があり、アストリッド・リンドグレーン(「長くつ下のピッピ」などで有名な、スウェーデンの文学作家)の「わたしたちの島で」という児童文学が元になっています。家族のささやかな暮らしが温かく感じられる作品です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?