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映画感想#39 「イーダ」(2013年)

原題 Ida
監督・脚本 パベウ・パブリコフスキ
出演 アガタ・クレシャ、アガタ・チュシェブホフスカ、ダヴィド・オグロドニク 他
2013年 ポーランド・デンマーク 80分



歴史物語ではないホロコーストの傷

ポーランド、ユダヤ、ホロコースト…といったテーマの映画は山ほどありますが、これほどまでに良い意味で「背景化」しているものは、そう多くないかもしれません。
イーダという1人の人間の物語として独立したストーリーでありながら、そこにはユダヤ人の重い歴史がさらりと乗っかっているような。

歴史物語ではないホロコーストの傷。
修道院で育てられた孤児イーダの両親は、ユダヤ人であるがために殺されてしまったそう。時代の波に飲まれていった、数多くのユダヤ人のように。
イーダは唯一の親戚である叔母に会い、ルーツを知る旅に出ることで自分の過去や両親のことを知り、それを淡々と受け止めているように見えました。

でも内心ではかなりの動揺があったんじゃないかな。叔母が亡くなった後、何かが彼女の中で変わったのだと思います。
修道女としての誓いを立てなかったことは、叔母との旅によるものだと思うし、もしかしたらあのサックス奏者の男の人かも。

イーダだってまだ少女。彼女の長い「これから」は彼女自身が見つけ出していけるはず。

イーダ役のアガタ・チュシェブホフスカが、子供と大人の間で揺れ動く女性を真っ直ぐに演じています。モノクロの映像とクラシカルな音楽で、上品な雰囲気の一作でした。

☆観賞日 2015年2月17日


投稿に際しての余談〜ホロコーストを受け止められない〜

昨年、「戦場のピアニスト」(2002年/ロマン・ポランスキー)のデジタルリマスター版を見ました。このホロコーストという歴史の恐ろしさに、寒気がするようでした。人が人をこのように殺せるものか、と。
小学生の頃に「アンネの日記」を読んだ時は、「ああ、過去にはこんなに恐ろしいことが起きていたんだ」と、どこか架空の話のような気がしていましたが、映画を見ることで、これが実際起きていたことだと突きつけられたような思いでした。
人としての感覚が麻痺していないと、こんなことはできない。じゃあ、当時のドイツ人は、一体どんな感覚だったんだろう。本当に理解できないし、受け止められない。たぶん、中途半端に理解したつもりになってはいけないんだと思います。当時の人の苦しみなんて一生理解できないんだから。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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