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映画感想#9 「コッホ先生と僕らの革命」(2011年)

原題 Der ganz grosse Traum
監督 セバスチャン・グロブラー
脚本 フィリップ・ロス、ヨハンナ・ストゥットゥマン
出演 ダニエル・ブリュール、ブルクハルト・クラウスナー、ユストゥス・フォン・ドーナニー 他
2011年 ドイツ 114分


ドイツにサッカーを広めた実在の人物、コンラート・コッホという人を題材にしたお話。

ドイツのサッカー創世記といった感じですが、サッカーへのフォーカスだけでなく、1870年代初頭の、当時の階級意識や身分差別、そして人々が戦争や国家に対してどういう思いを持っていたのかがよくわかる内容でした。

コッホは英語の教師として、サッカーを広めたいわけですが…
この時代のドイツは、「規律」や「服従」重視の、厳しい教育が基本。友達とスポーツで遊ぶなんて考えられないような雰囲気でした。
さらに反英感情も高まる中、敵国のサッカーなる遊びなんて受け入れるものか!というのが、上流階級の意見なのです。

すると、どんどん排他的に、自国のみを重視する国になっていく。
そういう風潮にNOと唱え、新しいものを取り入れて、発展していこうよ!というのがコッホの主張です。
そうすることで、教育自体も自由になり、規律に服従することしかしてこなかった子供たちは、自ら考え、人とつながり、成長できるのだ、と。

戦争が始まると、結局人が死ぬとか土地が荒れるとか、そういう物理的なことだけでなく、人と人との交流とか理解とか協力とか、繋がり自体が奪われてしまう。世界の元凶のようなものだと思います。
彼の主張は、これからのドイツを担う若者を動かすことに成功したわけですね。

コッホの生徒たちの階級問題も、もう一つのテーマでして・・・
ちょっと貧しいボーンシュテット君と金持ちのハートゥング君のいざこざがあり、結局サッカーを通じて和解することになりそれは良いんですけど、この女の子との件、要りますかね・・・?

フェリックス・ハートゥング君とロザリー

ロザリーさんは元々ハートゥング君のお家のお手伝いさん的な感じで、なんかお互い良い感じになったために、彼の父親に家を追い出されてました。
でもやっぱりお互い好きだし・・・ってことで、サッカーを通じて最終的にはハッピーな展開になるんですが…
うん、なくてもいい気がする。生徒たちは生徒たちで仲良くなってくれれば満足です。
ベネッセの進研ゼミ勧誘の漫画のような、恋も勉強も!的な展開だったので気になっただけです(笑)

真面目なテーマと、映画作品としてのエンタメ性のバランスが良く、定期的に見たくなる1本です。

☆鑑賞日 2012年10月12日


投稿に際しての余談

・主演のダニエル・ブリュールが結構好きなもので。「グッバイ・レーニン」(2003年/ボルフガング・ベッカー)で知り、良い俳優さんだなーと思いました。スペインとドイツのハーフみたいですね。
「ラッシュ プライドと友情」(2013年/ロン・ハワード)でも真面目なタイプのニキ・ラウダを演じていましたが、この人は雰囲気からか、真面目な役がよく似合いますね・・・・

・個人的に好きな"原題邦題問題"ですが、原題の「Der ganz grosse Traum」は、ドイツ語で「とても大きな夢」という意味です。
なんか外国の映画のタイトルって意外と結構ざっくりしてますよね。日本語で直訳しちゃうと何の映画か分からないから、あえて邦題では説明してくれてるのかな?
・・・まあ、結局「コッホ先生と〜」になってもよく分からないですけどね(笑)


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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