映画感想#15 「きっと、うまくいく」(2009年)
原題 3 Idiots
監督・脚本 ラージクマール・ヒラーニ
出演 アーミル・カーン、カリーナ・カプール、R・マーダバン、シャルマン・ジョーシー、ボーマン・イラニ 他
2009年 インド 170分
初めてのインド映画でした。完全になめてました。
「歌って踊る」イメージが先行してしまっていたのですが、こんなにしっかりと社会問題や友情について扱っていて、なおかつエンターテインメントとして成立しているとは・・・。
物語は、インドの難関大学に通う学生ランチョー、ファルハーン、ラージューのドタバタ群像劇といったところなのですが、まずこの作品の大きなテーマは、「自分がやりたいことをやろう。学歴や世間体は無視して、自分の内なる声に従おう」ということだと思います。それを実現できているのが、"導師"ランチョーなのです。
3人が通う大学では、とにかく試験で良い成績を取り、優秀なエンジニアになるべく、大企業に就職することが目的。
でもそれで良いのか…?と学歴主義に問題を投げかけるのはランチョー。実際、良い成績を取れずに就職の見込みがない学生は、家族や周囲からのプレッシャーのあまり、自殺してしまいます。
友人のファルハーンは実は動物写真家になりたかった。ラージューは実家が貧しく何もかも神頼み。そんな身近な友人から変化を起こしつつ、学長へもそれを訴え、ランチョー旋風を巻き起こしていきます。
何度も退学の危機に遭いながらも、学長の娘ピアの助けや、3人の結束した友情のおかげで、なんとか卒業。それぞれ別々の道を歩んでいきます。
そして、初めて明かされるランチョーの真実・・・といった感じで、ストーリーは二転三転。170分という長尺ながらも全く飽きさせない。本当によくできているなと思いました。
この映画から個人的に学んだことは2つ。
①持つべきものは友
大変な時に助け合うためだけではありません。楽しい瞬間にはいつも友人がいたように思います。ファルハーン、ラージューにとっても、ランチョーは不可欠な存在だったでしょう。一方、ランチョーにとっても、一緒にバカ騒ぎできる友人がいなければ、大学の4年間はもっと味気ないものになっていたはずです。持つべきものは友だな、と改めて実感させられます。
②自分の声をもっと聞こう
両親からの期待に応えたいという一心で、自分の本心を隠し続けてきたファルハーン。諦めきれない想いで、ファルハーンは、自ら両親を説得します。
「これまでずっと、2人の期待に応えるべく努力してきた。でも、2人の誇らしい息子になるために、1度だけわがままを許してくれないか」と。
どうせできないだろう、許してくれないだろう、と思い込まずに、やってみる。難しいことだけど、後で後悔しないように、チャレンジすることはとても大切なんですね。
ランチョーの合言葉、「Aal izz well〜」。
うまくいく。そう信じていれば、人生はきっと楽しい。
☆観賞日 2013年6月19日
投稿に際しての余談
・インド映画の情熱に圧倒された3時間。
到着が開始ギリギリとなり、最前列で首とお尻を痛めながら観賞しました。これ以来インド映画にはアンテナを張るようになりまして、「ダバング 大胆不敵」(2010年/アビナウ・シン・カシュヤップ)や「スルターン」(2021年/バッキヤラージ・カンナン)などなど。もっと見たいのですが、どうしても長いので、平日は難しいんですよね・・・。
マサラ上映も1度経験しましたが、これは新しいエンタメだな!と思い大変楽しい時間でした。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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