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映画感想#8 「少年と自転車」(2011年)
原題 Le gamin au velo
英題 The kid with a Bike
監督・脚本 ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
出演 セシル・ドゥ・フランス、トマ・ドレ、ジェレミー・レニエ、ファブリツィオ・ロンジョーネ、エゴン・ディ・マテオ、オリヴィエ・グルメ 他
2011年 ベルギー・フランス・イタリア 87分
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施設育ちの少年シリルと、やがて彼の里親になる女性サマンサのお話。
シリルの表情や行動がかわいそうで、切なくなりました。
自分を待っているはずの誰かがいる、という期待が父親によって打ち砕かれてしまったとき、どんな気持ちだったでしょうか。
父が買ってくれた、唯一の父とのつながりである自転車。この自転車をシリルは我が子のように大事にしています。
その自転車に乗って、風のように走っていくシリルが印象的でした。施設での暮らしや将来に対するやるせなさ、不安、そういうマイナスの感情を消し去ってくれるのが、自転車に乗っている瞬間だったのではないかと思います。
サマンサがシリルに出会ったのは偶然でしたが、この出会いがシリルを変えることになります。
なぜサマンサは、彼を引き取ることにしたのでしょうか。
それは、ただ「シリルが困っていたから」という理由からではないかという気がします。子供を預かり育てていくということは、お金のこと、時間のこと、将来のことが心配されるでしょう。
でも、シリルはサマンサに「週末だけ里親になってほしい」と自ら頼んだのです。
自分の親になってくれる人を、シリルが求めているということ。そのような存在がいなくて困っているということ。
サマンサは、困っている人を助ける、という単純なことを実行しただけなのかもしれない。単純だけど、覚悟のいることです。その覚悟は、シリルと一緒に過ごす時間の中で芽生えたものだと思います。
シリルは他の少年の影響で強盗をしかけてしまいましたが、サマンサのおかげで非行に走らずにすみました。一緒にいる大人がいるというのは、とても大事なことです。
そしてその大人が愛情を持って育ててくれることが、子供にとっては何よりも嬉しいことなんだな、というのが痛いほど伝わってくる映画でした。
☆鑑賞日 2012年9月22日
投稿に際しての余談
・早稲田松竹にて鑑賞しました。2本立ての早稲田松竹ですので、同時に「イゴールの約束」(1996年/ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ)も見ております。「少年と自転車」では、非情な父親役のジェレミー・レニエが子役として主演しています。こちらも良かったです。
ダルデンヌ兄弟では、「サンドラの週末」(2015年/同監督)も見ておりますが、大変好きな映画でしたので、また後々・・・。
・施設で親を待つ子供の映画といえば、やはり「アニー」(1982年/ジョン・ヒューストン)でしょうか。2015年ウィル・グラック監督のリメイク版も好きです。自分で道を切り開いていくアニーに、いつも元気をもらっています。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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