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映画感想#11 「メッセンジャー」(2009年)

原題 The Messenger
監督・脚本 オーレン・ムーバーマン
脚本 アレッサンドロ・ケイモン
出演 ベン・フォスター、ウッディ・ハレルソン、サマンサ・モートン、ジェナ・マローン、スティーブ・ブシェーミ、イーモン・ウォーカー 他
2009年 アメリカ 112分


タイトルの"メッセンジャー"とは、イラク戦争で戦死した遺族に、その第一報を告げる任務を担う軍人のこと。
主人公ウィルは負傷による帰還兵であり、彼のメッセンジャーとしての任務を通して、戦争の悲惨さを伝えています。
また、この映画では、「残された人」の苦悩も鮮明に描かれています。

メッセンジャーにはなりたくないと思います。誰だってそうだとは思いますが。
主人公ウィルは、帰還兵だけに余計に辛い思いをしているんじゃないかな。
「なぜお前が死ななかったのか」とメッセンジャーに対して怒った遺族を責めることはできない。誰が悪いのかといえば、それはメッセンジャーではなく、戦争そのものだから。
その「戦争」に成り代わって、兵士の死を伝えるのがメッセンジャーなので、遺族にとっては、怒りの矛先はどうしても目の前の人間にならざるを得ない。

この仕事は、日々の生活に大きく影響するでしょう。メッセンジャーの任務の合図であるポケベルが鳴るたびに、兵士の死を伝えに行かなければならない。昼夜問わず、常に死と向き合わなければならないのです。

ウィルを導く存在である、上官トニー大尉。悩みを抱えるウィルと同様、彼も初めはウィルと同じように辛い思いをしていたはず。
でも「同情することが目的じゃない」と自分に言い聞かせ、心を殺して任務を行なってきたんだろう。それを言葉で伝え、姿勢で見せ、寄り添っていたのが印象的。
※このウッディ・ハレルソンが渋くて最高です。

戦争は、本当に良いことがない。ただ人が死んでいくだけ。その後、どんなに大きい領土を得ても、どんなにたくさんのお金が手に入っても、人の命を取り返すことはできないから。
1人の命を大切にしてほしいと思う。残された人々は、その人のことを思って悲しんでいるから。
遺族の悲しみをメインに描くことで、そのことが鮮明に伝わってきました。

☆鑑賞日 2013年3月24日


投稿に際しての余談

・主役のベン・フォスター。様々な映画に出ていますが、何だか見るたびに印象が変わるので、この人掴めないなあ〜という印象です。知的な感じだったり、浮浪者に見えたり、すごく幼く見えたり。(ちょっと童顔ですよね)
最近だと「アウシュビッツの生還者」(2023年/バリー・レビンソン)のビジュアルが衝撃的。
後は「インフェルノ」(2016年/ロン・ハワード)の黒幕ゾブリスト役も印象に残っています。「ダ・ヴィンチ・コード」、「天使と悪魔」のロバート・ラングドンシリーズは原作からのファンですが、ゾブリストは絶対ベン・フォスターではないですよね!?本当に。インフェルノはキャスティングが全体的にイマイチだったな。原作ファンの方々、どう思ってるんでしょうか、気になります…。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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