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映画感想#26 「365日のシンプルライフ」(2013年)

原題 Tavarataivas (英題 My Stuff)
監督・脚本・出演 ペトリ・ルーッカイネン
2013年 フィンランド 80分




モノがあることは、幸せなのか?

フィンランドの青年ペトリは、夜の街を裸で駆け抜けていく・・・
それは、彼がとある”実験”を行っているから。

ルール
①自分の持ちモノ全てを倉庫に預ける
②1日に1個だけ倉庫から持って来る
③1年間、続ける
④1年間、何も買わない

「365日のシンプルライフ」映画チラシより引用

そう、実験初日に服を取りに倉庫へ走っていたのです。
このルール、結構やばいですよね。1年間って結構長いですよ?これをやろうと思ったことに、シンプルにまず尊敬してしまいます。

確かに、物欲があるのは仕方のないこと。買い物をするという行為自体が楽しいと感じる時もあります。その「買う」という行為で自分を満たすために、特に必要でないものも買ってしまっていて、気が付いたら家の中にはモノがたくさん溢れている。
モノは増える一方だし、お金は減る一方。そして、要らないものは、結局ゴミになるだけ。
あーあ、なんで買ってしまうんだろう?

ペトリはこの実験を通して、本当に必要なものはそれほど多くないこと、そして「人生や幸せは、モノの多さでは測れない」ということに気付くのです。

実験の結果報告だけではなく、弟や新しい彼女など周囲の人々の反応も収められていて、ペトリの人生が変化していく様子も、見ていて楽しめました。
フィンランドの伸びやかな空気、ゆったりした彼らの会話に癒されながら、ドキュメンタリーならではの、説得力のあるメッセージを感じられる映画です。

☆観賞日 2014年6月12日(EUフィルムデーズ2014にて)


投稿に際しての余談①【原題の意味】

原題Tavarataivasは、フィンランド語で「モノ天国」という意味のようです。
現代の日本なんて、まさにモノ天国ですよね。大量に作られ、ただ捨てられるモノたち。
断捨離」という言葉も一般的になっているようですが、ペトリが行った実験って、まさに断捨離だと思います。ラディカルな断捨離。
邦題は全然違う言葉になっていますが、映画のイメージがわかりやすくて、良いタイトルだと思いました。

投稿に際しての余談②【SDGsの先駆け?】

本当に必要なモノだけを持っていることって、実はすごくサステナブルなのかもしれません。余分に買わない、そして捨てない。
本作品の制作は2013年ですので、2015年9月にSDGsが国連で採択されるより前のこと。国連より前に、大切なメッセージを発信していたのはペトリだったんですね。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。


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