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映画感想#3 「アーティスト」(2012年)

大スターも、新人女優も
共に新しいステージへ

落ちぶれたジョージ(人)と寄り添うジャック(犬)

原題 The Artist
監督・脚本 ミシェル・アザナヴィシウス
出演 ジャン・デュジャルダン、ベレニス・べジョ、ジョン・グッドマン、ジェームズ・クロムウェル 他
2012年 101分 フランス


初めてサイレント映画を見ました。
最初は音楽がうるさすぎると思ったけど、サイレント映画は音楽の効果がとても大きいので、それくらいで良いみたいです。

主人公は、少しナルシストな映画界の大スター、ジョージと、自信たっぷりの新人女優、ペピー。
この2人の主人公が、これでもかというくらい、生き生きとしている。

起承転結のはっきりとした、シンプルなストーリーは、モノクロサイレントの世界観によく合っていると感じました。セリフがないということは、観客は表情や仕草、もしくは演出(音楽や風景)に注目せざるを得ない。
それを利用して、少し大げさにも感じるような仕草、感情のこもった表情で、観客を魅了することに成功していると思います。

ジョージがサイレント映画にこだわり続けたのは、サイレントが古い=自分が成功してきた世界が古い、ということを認められなかったからかな。
トーキーを認めることは、自分自身を否定することのように思えたのかもしれません。

落ちぶれていくジョージを見捨てることなく、共に新しいトーキーの世界へと連れ出したペピーには、愛情だけでなく、恩義があったのではないかと。
自分を大きくしてくれた存在への恩返し。どうしてもジョージを失うわけにはいかなかったんだろうな。

シンプルなストーリーを贅沢なモノクロで描いた、没入感満点の101分でした。
(これは本当に映画館で見た方が良い映画だと思います!)

☆観賞日 2012年5月5日


投稿に際しての余談

・「バビロン」(2023/デイミアン・チャゼル)を見た時に、真っ先に思い出した作品が、この「アーティスト」でした。サイレントからトーキーという時代設定、落ちぶれる大スター。「バビロン」の切ないエンディングも味がありますが、「アーティスト」のエンディングの方が後味は良いかも・・・。

・ジャンのインタビュー動画を見たのですが、喋っている姿に違和感がありました。そうだ、この映画では(ほとんど)声を聞いてなかったから。渋くて良い声です。でもこの人、声を聞かずして十分満足できたのもすごいですね!


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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