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さあ、始めよう。私の人生を奪った“演劇”に復讐を

先日、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて、少年社中25周年記念ファイナル公演『テンペスト』を観劇してきました。

あらすじは下記の通り。詳しくは公式HPをご覧下さい。

ウィリアム・シェイクスピアの『テンペスト』を上演することになった人気劇団。
だが稽古を迎える前に演出家が急死。
困り果てた劇団員の前に現れたのは、一人の天才役者だった。
彼の存在は反発と憧憬と混乱を生んだが、どうにか公演初日を迎えることとなる。
まさに開演しようとしたその時、劇場にかつて劇団を追われた男が現れる。
その男の目は、復讐の炎に燃えていた…。
彼の発した宣言により、嵐のような初日の幕が開ける。
『テンペスト』は裏切りと欲望、そして悲しき過去の渦巻く怒涛の物語として進んでいく。
復讐の果て…その終着地とは?

公式HPより引用

はじめに

少年社中との出会いは約8年前……(計算して震えた)
鈴木拡樹さん、松田凌さん、玉城裕規さんを中心に2.5次元沼を泳ぎ回っていた当時、フォロワーさんに「良質な鈴木拡樹が見れるよ」と教えてもらい、「贋作・好色一代男」のDVDを手に入れたところから始まります。
今でこそネットで買えるようになったけれど、あの頃は過去公演のDVDは物販でしか取り扱いがなかったし、ようやく見つけた「贋作・好色一代男」のDVDも、仕事終わりに辺鄙な紀伊国屋までバスに乗って受け取りに行った覚えがあります。(当時の行動力よ)
ちょっとだけ苦労して手に入れた「贋作・好色一代男」、衣装の派手さと唯一無二の世界観、そして秀逸な毛利さんの脚本に一瞬で引き込まれ、いつか生で少年社中の舞台を浴びたい!と思うには十分たる作品でした。ちなみに、ぴろしこと矢崎広との出会いもここ。

あの頃の2.5次元沼に居た地方民には分かってもらえると思うんですけど、舞台を中心に活躍する若手俳優を推すとなると、とにかくお金が掛かります。
めったにメディア出演がない推しに会う為には、劇場に足を運ぶか、イベントに参加するしかない!でも、公演スケジュールは東京もしくは大阪しかない!!!福岡なんてめったに来ない!!
否応なしに遠征だーーーーーーーーーー!!
今ほど公演後にDVD化される作品も少なかったし、配信なんて考えられなかった時代です。
しかも、DVD化されない公演に限ってめちゃくちゃ自分に刺さったりするんですよね~~~地獄です。
後生ですから「カレーライフ」も「クロードと一緒に」もDVD化してください(当時から永遠に言ってる)
そしてなにより、演劇は劇場で見るに勝るものはないと思わせてくれる生の迫力があります。
これが高い交通費を払っても遠征する一番の理由でした。
幸か不幸か仕事上、月一で東京に行く機会があり、その前後に観劇を捻じ込む!というギリギリの生活をしていた中で、ついに少年社中の公演を観る機会が訪れました。
少年社中×東映 舞台プロジェクト 「パラノイア★サーカス」
毛利さんが描く江戸川乱歩ミステリー!!?なんとしてでも、見るしかない!!
私にとって、毛利さん×江戸川乱歩氏なんて、推し作家×推し作家、奇跡の競演なわけです。
しかも、松田凌さんも鈴木勝吾さんも出演する!!!?夢!!!!?うつし世はゆめ、夜の夢こそまことってこと!!!!?
興奮冷めやらぬ中、無理やり休みを捻じ込んで、池袋サンシャインシティ劇場へ向かいました。

結果的に本作品が私を少年社中大好き女にさせたわけですが、ここまででもう1200文字超えてしまったので、パラノイア★サーカスへの想いは、一旦割愛させていただきます。

しかし、それ以降、なかなか公演日程と遠征のタイミングが合わなかったり、仕事のストレスで何も食べられないほど体調を崩したりで観劇叶わぬまま時は経ち、2019年ももちパレスにて公演された「トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢~」を病み上がりの身体で久しぶりに観て号泣したきり、今度は、コロナ禍や引っ越し等で足が遠のいていました。
そんな最中、以前noteにも書きましたが、久しぶりに2.5次元舞台で生の鈴木拡樹さんの熱を浴びました。
「せっかく大阪に住んでいて、演劇を見る機会がたくさんあるのに、この演劇の熱を浴びぬままに、私はいつかまた福岡に戻るのか……?」
ハッとしました、当時の歯がゆい思いが報われるのは今じゃん!!!!!と。
そのタイミングで『テンペスト』の公演を知り「拡樹さん来るじゃん、しかも少年社中~~~~~~~~!!!!!!」と即決。こうして、当日を迎えました。

いよいよ本題

久しぶりに来ました!梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ!
2016年の「曇天に笑う」以来です。(また8年前だ……怖い……)
椅子もふかふかでありがたいですね……長丁場だと腰痛くなっちゃうからね。
さて、少年社中の大好きなところその1、オープニングとエンディングがあるところ。
全キャストによる音楽とパフォーマンスに圧倒されて一気に物語へ引き込まれます。
今回も例外ではなく、うわぁ~~~社中だ~~~~と鳥肌が立ちました。
少年社中の大好きなところその2、ゲスト含め全キャストが演劇を愛していることがひしひしと伝わってくる熱演ぷりとその演技力の高さ。
勿論彼らはプロです、だから全力で役を演じることは当たり前なのかもしれない。でも社中の舞台ってそれだけじゃなくて、本当に彼らの魂が演劇を求めていることが伝わってくるんですよね。しかも全員のポテンシャルが高いので、板の上で演技の殴り合いなんですよ。それが見ていて圧倒されるし、この心を鷲掴みにする。ゲストに対しては、この人、こんな顔するんだ……って新しい一面を見れることも楽しみの一つ。
今回井俣太良さんとW主演を務められた鈴木拡樹さん、もうこの人は化け物です。いつ見てもそう思います。(勿論褒めてます)
水を得た魚のように板の上を動き回り、周囲を翻弄する、一見飄々としているけれど、彼には彼なりの信念があり、そして空虚がある。発声から表情まで七色どころか200種類あるのでは?と思うほどくるくると変わる、憑依型俳優恐るべしです。さすが毛利さん、拡樹さんが輝く役を良く分かっていらっしゃるんですよね。そして、剣さばきは見事なものでした。
矢崎広さん、鈴木勝吾さんに至ってはお久しぶり~~~~~会いたかったよ~~~~!!の気持ちだったんですが、まず矢崎広さんね、待って、ぴろしこんなにかっこよかったっけ!!?かっこよかったよね、知ってた!!!!!オペラグラスで見るたびに「かっこい……」の嵐、脳内パニック。
ぴろしは定期的に拝見する機会があるんですけど、その度にこれやってます。顔が好きすぎる。今回の彼の役どころもかなり好きな系統だったんですが、終盤に進むにつれてその抑制していた熱が爆発していく様に一番涙腺を持っていかれた。普段はすごく丁寧に役と向き合い組み立てている印象だったけれど、ただただがむしゃらに演劇を楽しんでいるように見えて、あぁ魅力的な役者さんだなぁと思いました。
そして、鈴木勝吾さん。もうね、勝吾くんが居るだけで場が一気に締まるんですよ。彼が居るのと居ないのとじゃ全然違う。腹に響く声量と圧倒的な存在感。彼が一声発するだけでぐっと引き込まれる。不思議ですよね、あの人ってセリフに説得感がある。本当にその人生を歩んできたみたいに違和感がない。『テンペスト』の裏の功労者は彼で間違いないです。
今回、それこそ8年前に夢中になっていた方々が勢ぞろいで、それだけでも嬉しく、あぁこの人達も変わらず人生を謳歌しているんだな、自分もまだまだ頑張らないとな、という気持ちにさせてもらいました。
そして少年社中の大好きなところその3、あらすじを読んだだけで絶対面白いじゃんと思わせてくれる毛利さんの脚本。そして、その予想は絶対に裏切られない。大天才。この世の宝。毛利さん一生生き続けてほしい。
物語が進むにつれてどんどんステージ上の熱が上がっていき、こちらもその熱に引っ張られて心が震える。後半ずっと泣きっぱなしでした。演劇に生きる人なら誰もが刺さるであろう言葉達。
演劇は生物です。生身の人間が演じる限り同じ公演など一つもない。美しくも、あまりに刹那的で儚い。それを他の誰でもない役者本人が口にする。
演じる彼らの魂は、どれだけ震え、そして慄いたことだろう。
それでも彼らは、演劇を愛さずにいられない。
どれだけ、演劇に殺されそうになっても、その板の上を切望せずにはいられない。
少年社中25周年記念ファイナルにこの脚本を持ってきた毛利さんは天才であり、悪魔だ。

観劇の後、夜の梅田の街を歩きながら、もう一度あの世界に潜りたくなった。
配信やらDVDやらあの頃よりずっと便利な世の中になったけれど、これからも劇場に通い続けよう。
大好きな彼らの夢の続きは、そこにある。
私はそれを少しの間、お裾分けしてもらうのだ。

最後になりますが、少年社中25周年本当におめでとうございます!


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