【第1回 概要】スポーツを活用した 地域リハビリテーション・システム 構築モデル事業
コロナウィルス感染防止のため延期してた事業
【スポーツを活用した地域リハビリテーション・システム構築モデル事業】
8/2からようやくスタートすることができました。
今後、事業実施内容を随時こちらに公開していきます。
そしてまず今回は事業内容を全て公開します。
目次
・はじめに
・日本リハビリテーションスポーツ学会について
・スポーツを活用した地域リハビリテーション・システム イメージ図
・開催概要
・事業構想に至った背景
・地域活動で直面したこと
・各関係者から寄せられている声
(障害者当事者・リハビリ従事者・介護従事者)
・背景から見た現況のまとめ
・課題
・運営組織
はじめに
WHO(世界保健機関)が2018年に発表した統計によると、世界平均寿命ランキング1位は日本で男女の平均寿命は84.2歳だった。日本人が長生きである理由に欠かせないのが医療・介護技術の進歩と医療・介護制度の充実です。
このことにより日本国民全員の平均寿命が底上げされ、癌や疾病、フレイル、サルコペニア、要支援・要介護者、障害者、難病患者など、心身機能に様々な課題を持ちながらも長生きできるようになりました。
この長寿社会においてどんな心身状態でもできるリハビリテーション(以下 リハビリ)があることは、その人の健康維持・増進、健康寿命延伸に貢献し人生を良きものとすると考えられ、そして今回の事業ではスポーツの特性を活かした「リハビリ・スポーツ」プログラムを開発したいと考えております。
なぜならスポーツの特性はリハビリに有用的だと考えられるからです。以下、リハビリに有用的と考えられるスポーツの特性を大きく4つ挙げます。
(1)だれでも小学校などで1度はやったことがあり馴染みがある
(2)ルールを理解するために頭を使い記録や点数など数字が出るので分かりやすく、それをより良くしようと目標を立て頑張るようになる
(3)自発的に出来る努力を繰り返しやろうとすることで自然に体力がつき、時には競い合っていつも以上の力を発揮し自己の限界が広がる
(4)人と一緒にやるのでコミュニケーションがとれ、人との交流が楽しくなり精神的にも社会的にも多くの効果をもたらし他者との関わり方や社会性、創造性などが助長される。ことにより医学的リハビリと社会的リハビリ双方への有用性があると考えられる。
しかしながら現在、医療、介護など制度の枠の中ではスポーツを活用したリハビリ提供できる環境は非常に少ない。
今後、自費事業など制度の枠にとらわれず、医学的根拠と評価ができるリハビリ・スポーツを開発し、病院・居宅事業所・包括支援センター・社協等との連携を図る「地域リハビリシステム」を構築することにより、癌や疾病、フレイル、サルコペニア、要支援・要介護者、障害者、難病患者など、その種類や程度に関わらず、スポーツが持つ特性と力を利用し、心身機能や運動能力の向上と体力の増進を図り、自己実現と社会参加ができる地域社会を創造する事を目的とする。
その為の第一歩として先ずはリハビリ・スポーツプログラムの開発が必要である。当事業において適切かつ有用なリハビリ・スポーツを開発するために、この種の活動実績のある日本リハビリテーションスポーツ学会(旧医療体育研究会)の知見と実績をもとに同学会と協力関係をもって進める。
日本リハビリテーションスポーツ学会について
日本リハビリテーションスポーツ学会について
日本リハビリテーションスポーツ学会(The Japanese Association of
Rehabilitation Sport;略称 JARS)は、昭和 57 年に医療体育研究会として
発足した団体です。
平成 29 年 9 月、会の活動の拡大を図るべく現在の会名に変更し、リハビリ
テーションスポーツの定義を下記のように定めています。
「リハビリテーションスポーツとは、疾病または障害のある人々がその種類や程度にかかわらず、スポーツが持つ特性と力を利用し、心身機能や運動能力の向上と体力の増進を図りつつ、自己実現と社会参加を最終目的として、医療、教育、介護、社会活動などで行われるスポーツのすべてを言う。」
活動内容は、研究会の開催や会誌「リハビリテーション スポーツ」の発行、
イベントの開催などです。会員の所属は全国のリハビリテーション施設、医療介護福祉機関、教育研究機関、市民団体、そして当事者など多岐にわたっています。
本会はインクルーシブ社会の創造を指向し、疾病または障害のある人々等の
スポーツの理論と実践の進展を図ることを目的としています。障害のある人もない人もスポーツを通して健康で幸せな生活が送れるよう活動を展開し、すべての人がスポーツに親しむことのできる社会の実現を願っています。
※日本リハビリテーション学会HP
http://jars.kenkyuukai.jp/
※下記画像 日本リハビリテーション学会 伊佐地隆会長
スポーツを活用した地域リハビリテーション・システム イメージ図
※イメージとしては、病院・居宅介護事業所・地域包括支援センター・社会福祉協議会・地域コミュニティと連携してリハビリが必要な対象者を紹介してもらう。その対象者にアセスメントからリハビリスポーツプログラムの提供、評価まで実施する。
開催概要
事業名
スポーツを活用した地域リハビリテーション・システム構築モデル事業
主催
日本リハビリテーションスポーツ学会
スポーツ・リハビリテーションLab
参加者
肢体不自由者
定員
6名 (新型コロナウィルス感染防止のため当初予定10名から削減)
開催場所
所沢市こどもと福祉の未来館 多目的室
〒359‐1112所沢 市泉町1861番地の1
開催日時
全8回 全日日曜日 9時半~12時半予定
(2020年) 8/2・9/6・10/4・11/1・12/6
(2021年) 1/10・2/7・3/7
年間スケジュール
8月 当事業概略説明及び意見交換会
9月 アセスメント・初回評価
10月 スポーツプログラム担当者による指導
11月 スポーツプログラム担当者による指導
12月 スポーツプログラム担当者による指導
1月 スポーツプログラム担当者による指導
2月 スポーツプログラム担当者による指導
3月 アセスメント・最終評価、振返り
事業構想に至った背景
地域活動で直面したこと
埼玉県所沢市こどもと福祉の未来館において、2017年2月から地域共生社会の実現を目的とした「ユニバーサルスポーツ・コミュニティ事業」を毎月1回実施している。コミュニティメンバーは多世代・障害者・児。同一のルール・道具でプレーできる「ユニバーサルスポーツ」を活用し地域共生コミュニティの推進を行っている。
実施競技はボッチャ、シャフルボード。当事業は、平成28年度埼玉県度障害者スポーツ・芸術文化活動応援事業の助成金を活用してスタート。所沢市福祉部から第2次所沢市地域福祉計画における「相互理解と共生の推進」に貢献してると認めて頂き活動場所の体育館は優先的に予約。毎月1回事業が定期開催できることで累計参加者数は1,000人を超える。
※毎日新聞・地域新聞ショッパー掲載 ユニバーサルスポーツコミュニティ
その事業を進めていく中で3年目から、脳梗塞・対麻痺・ギランバレー症候群で入院中の方や、70代の女性で脳梗塞発症に要介護4になりケアマネージャーからデイサービスやデイケアを勧められたが「あんなところ行きたくない」と介護サービスを拒否されてる方など参加されるようになり大変喜んでいただけた。今後もぜひ継続して参加して頂きたいと考えたとき、市民主体のコミュニティでは怪我や急変など安全面に不安があると考え、医療的背景があるリハビリスポーツの必要性を考えるようになった。
各関係者から寄せられている声
障害者 当事者
・以前リハビリテーション(以下 リハビリ)病院に入院していた時、リハビリ体育はかなりハードだった。車いすの乗り方や車いすバスケとかやったり、歩けるようになると立ってバドミントンしたりしました、人手不足で今は筋トレだけになって回数も少ないし残念です、やっぱり運動機能をアップするには大事ですね。
・リハビリ病院に入院していた時にリハビリスポーツを受けましたが、手漕ぎ自転車マシンのみでした。リハビリスポーツに興味と期待が大きかっただけに、残念です。楽しいと思えなかったです。正直言うと、いやいや参加してました。
・医療制度によってリハビリを受けられないリハビリ難民を受け入れられる場所となり、スポーツを楽しむことで障害者の機能回復とレジリエンスの向上が期待できるのではないかと思います。
・急性期までは医療でリハビリを診てアドバイスくれますが、退院した後の自己リハビリ継続が一番大変ではないかと思います。そこで簡単なスポーツで楽しく汗をかきながらリハビリ効果も期待出来る場所があり、同じリハビリ仲間達と楽しく出来たら、辛いリハビリも辛く感じないと思うんです。
リハビリ従事者
・急性期・回復期病院でのリハビリを卒業し、介護保険でのリハビリを受けられない、もしくは受けたくない方へのサポートについて、 病床の機能区分が進んでいることや、働き方改革で業務のキャパシティが減る中で、病院や施設だけでは、障害者がスポーツを知り・経験するところまで支援できないと感じている。
・医療費増大抑制、入院期間の短縮化という国全体の政策の波で、リハビリ病院では最低限の動作とADLの獲得だけが求められ、それ以上の楽しみの活動ができる力や動作能力、スポーツでの体力強化などは切り捨てられていきました。温泉病院やリハビリセンターの中の病院での体育プログラムがどんどん縮小し消滅していきました。
・運動療法部門(リバビリ体育)は、以前はスポーツを使ったリハビリを多く行っていましたが、現在はマシントレーニングが多いと聞いています。とても、残念です。車いすバスケ、車いすラグビー、バドミントン、卓球、水泳など、リバビリの手段として使いこなせる人材が少ないことが原因だと思います。病院の患者さんがリハビリスポーツを経験できる貴重な場だと思っていたのですが残念です。
・リハビリの個別訓練だけではなく、スポーツを楽しむことが心身の健康に繋がると思った。
介護従事者
・高齢者サロンメンバー(70代)が自分の身体機能にあった運動、スポーツをしたいが探すのが難しいと言われていた(介護予防体操、ゲートボール、グランドゴルフのような既存以外のモノ)が、ボッチャ、シャフルボードの体験会を実施したら「これならやりたい!」と言われ、ユニバーサルスポーツコミュニティに毎月通うようになった。
・要介護認定が下りても「ディサービスでみんなと一緒に歌をうたったり、折り紙をしたりなんかしたくない」と在宅介護サービスに繋がらない方が多い(特に男性)。その事により重症化するケースもあるとケアマネ間でも課題となっている。
・男性は運動メインの半日デイには通う傾向があるので、リハビリ効果があるスポーツができる環境があれば有用ではないかと考える。
・現在、介護予防事業における運動プログラムのメインは体操である。しかし今後、団塊世代の70代が増加することを考えると既存の運動プログラムとのアンマッチが想定される。なぜなら団塊世代は文化的側面から見ればファッションという概念が浸透し始めた世代であり、男性はジーンズ、女性はミニスカートを好んで装い、レジャーやドライブを好むなど、欧米(主にアメリカ合衆国)文化を楽しもうとする多文化世代の先駆けとなった。 こういった背景から今後団塊世代の介護予防における運動アクティビティの一つとしてスポーツが有用ではないかと考える。
背景から見た現況のまとめ
・地域活動において住民主体でコミュニティを運営してきたが、入院中の障害者や、退院したての重度要介護者が参加されるようになり安全面に不安があると考え、医療的背景があるリハビリスポーツの必要性を考えるようになった。
・当事者の方々は退院後の自己リハビリ継続が一番大変であり、スポーツで楽しく汗をかきながらリハビリ効果も期待出来る場所があれば辛いリハビリも辛く感じなくなるのではないかと話している。
・医療現場では、医療費増大抑制、入院期間の短縮化という国全体の政策の波で、リハビリ病院では最低限の動作とADLの獲得だけが求められ、それ以上の楽しみの活動ができる力や動作能力、スポーツでの体力強化などは切り捨てられている。
・介護現場では、既存のサービスと利用者とのアンマッチがでてきていて、要介護認定を受けても介護サービスを活用せず、重症化するケースもある。
課題
・事故・急変時等への安全管理体制はどうしたらよいか。
・リハビリ・スポーツプログラム立案において専門家が不足している。
・評価基準はどうしたらよいか。
・対象者をどうしたらよいか (障害や身体機能別に分けた方が良いのか) 。
・対象者へ当事業のアナウンスをどうやっておこなうか
運営組織
・責任者
鮎川雄一
(日本リハビリテーションスポーツ学会渉外委員/スポーツ・リハビリテーションLab代表/鮎川地域共生コミュニティ研究所所長)
・参加者窓口
鮎川雄一
・評価プログラム担当
池田竜二
(国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局 第二自立訓練部 肢体機能訓課 理学療法士)
・医学管理
伊佐地隆
(日本リハビリテーションスポーツ学会会長/筑波記念病院リハビリテーション統括長)
大仲功一
(日本リハビリテーションスポーツ学会理事/志村大宮病院副院長)
・スポーツ種目担当者
硴田智也
(日本リハビリテーションスポーツ学会理事/埼玉県総合リハビリテーションセンター 健康増進担当)
山口裕輝(日本リハビリテーションスポーツ学会理事/リハビリテーション体育あだぷと代表)
・画像協力 スポーツジャーナリスト 木村理
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