”やらない理由” と ”既に知ってる・既にやってる” - 危険な思考と破壊的な言葉 -
こんにちは。今回はマーケティング領域で注目されるお二方のインタビュー、動画、記事を取り上げてみました。
なぜこの内容を取り上げるのか?
私もこれまで同様なことを感じながら上手く言語化できていなかった内容について、私自身、内容を拝見していたく共感した内容について、実際の内容を引用しながらご紹介します。
ちなみに、私自身、これまで約1,000社ほどの中堅中小企業の経営者に対峙して、未熟者ながらも様々な観点の経営課題に対するソリューション提供を行ってまいりました。
当然いろいろなお考えをもつ社長にお会いさせていただいたなかで、今回ご紹介するような現場に多く訪問しました。
当時はうまく社長のお考えを整理したり、良い解決策を相手が理解できるように説明する力も不足していたと思いますが、今回はそんな場面に今後遭遇する方や主に中堅中小企業の経営者の方に何から気づきとなるような内容になればと思い、共有させていただきます。
株式会社刀の代表、森岡氏の内容
森岡氏のインタビュー記事や書籍などで、色々な考えや想いなどを発信されているかと思いますが、毎回、その伝え方、言葉のチョイス、その秀逸さ、内容もさることながら、そのような”伝え方”を学ばせていただいています。
その森岡氏が以下インタビュー記事で語られている内容にある、”やらない理由”についての表現が、これまた大変イメージしやすく相手を動かすことができるような伝え方ではないかと思い、共有させていただきます。
かつての戦国時代、1543年の種子島にポルトガルから伝わった鉄砲は、その新兵器としての価値をいち早く理解して取り込んだ勢力と、従来の考え方や戦法にこだわってしまった守旧勢力との命運を残酷に分けてしまった。そしてその差は時間と共に大きくなり、ついには天下をも左右する決定的な格差となった。高価で調達数が限られること、天候によって信頼性が変わること、運用ノウハウがよくわからないこと、これまでの成功体験を伴った従来のやり方への組織内の強いこだわり…。“新兵器”を取り入れない理由には、当時から事欠かなかったはずだ。そう、いつの時代でも新しいことを“やらない理由”は、誰もが簡単に挙げられるのだ。
しかし、同じ時代に鉄砲の拡充に必死に取り組む決断ができた組織もあった。現状維持バイアスの重力圏を振り切って、より強くなるために進化することを選択できたのである。新兵器の「本質的価値(弓矢とは隔世的な遠距離と威力で敵を斃せる)」を理解し、今やらない理由を挙げることよりも、自分たちがもっと強くなるためにこの新兵器を「どうすれば活かせるか?」と、創意工夫することに主眼を置いた。
いつの時代も変わらないが、未知のノウハウに絶えずアンテナを張って貪欲に取り入れる『進取の精神』が、次代に生き残るための組織の必須条件の1つであり、内部に必ずいる反対勢力を押し切って組織を進化させる決断ができることは、“大将”としての極めて重要な素養といえるだろう。そして私は、現代の企業競争において刮目(かつもく)すべき新兵器こそが、“本物の”マーケティングだと確信している。
これまで多くの会社に伺う中で、この記事の内容にあるように、にいかなる時も、自社の成長のためにどのように今の環境、あらゆるツール、サービスを活用するかを考えている経営者もいらっしゃれば、自社の特殊性や社内環境の状況、タイミングなどにつけて、できない理由を挙げられる方は想像以上に多かった記憶があります。
もちろん、これは常に自戒の念も込めて、いかなる状況であっても、自身が求める未来を実現するために、使えるものは積極的に活用し、どのようにすれば物事はポジティブな方向に進むか、を思考し、実行することを念頭におきたいなと思いました。
ダイレクト出版の代表、小川氏の内容
マーケティング界では有名であろうダイレクト出版の代表、小川氏のYouTubeでの内容です。これまた私自身、多くの場面で言われた言葉でもありましたので、かなり共感できる部分が多く、先ほどと同様の理由で共有させていただきます。
はい、こんにちは。今日はですね、ビジネスで最も破壊的な言葉ということについてお話したいと思います。というのもこの言葉ですね、まぁよくいろんな人が使うんですけれども、そのことを使うことによって自社の自分のビジネスの成長を止めてしまうということがあるので、皆さん気をつけていただきたいなということなんですけども、
知らず知らずのうちに使っているので、それは何かかというと、”それはもう知っている”、”それはもうやっている”っていうことですね。
実際いろんなセミナーとかそういったところでアドバイスしたりするじゃないですか、こうした方がいいですよ、こういう広告を作った方がいいですよ
そうすると、それをやってますっていうふうに言われることがあるんですよ、でもほぼ100パー十中八九というか実際十中十なんですけども、やってないだろっていうようなレベルなんです。
実際の内容は動画などをご覧いただきたいですが、要は、ある取り組みや行動として、それを「やる」という単純な行為という意味では、確かにやっている、あるいは知っているということであったとしても、その「深さ」「徹底度合い」「観点」「思考」などにおいて、レベルが違うということです。
スポーツでの例え
私はこれをよくスポーツなどで考えたりするのですが、例えば、野球において、より強くなるための練習メニューというのは、真新しい取り組みというのはほとんどありません。
ランニング、ストレッチ、キャッチボールに始まり、シートノック、トスバッティングなど、ともすれば小学生でも同じことをやっているような取り組みを、高校でも大学でも、プロでもやっていたりします。
ただ、同じランニングでもいつ、何分程度、どのような体の部分を意識して、声は出したほうがいいのかそうでないのか、など、その思考の深さや知識量、そしてそれをいかに継続するかなどの徹底度合いなど、一言で同じような取り組みだとしても、その中身はまるで別のような取り組みということは想像できると思います。
同じ”マーケティング”という言葉でも違う
ちなみに、先程の森岡氏のインタビューでも以下のような内容がありました。
“本物の”マーケティングと私が申し上げているのは、広告宣伝活動をどうやるかという1部署のテクニックの話でも、1人のマーケターを雇えば解決するような個人技レベルの話でもない。それら”狭義の“マーケティングではなく、どうすれば社員一人一人が「ブランド」の完成形を意識して、個人や部門などの部分最適を超越した全社連動によってより大きな価値を生み出すのか?という、企業全体の能力の話だ。マーケティングは、マーケティング部だけでやるものでも、できるものでもない。マーケティング部だけがマーケティングをやっている会社は、実は脆弱である。
今、多くの会社が、『本物のマーケティング』ができておらず、全社連動できずに本来の力を発揮できていない。運動会の綱引きで、個々人がどれだけ一生懸命に綱を引いても、自分の手元ばかり見つめてバラバラに引いていては勝てないのと同じだ。部分最適を考える人ばかりが1000人いても、全体最適を考える人の割合が少なければ戦いには勝てない。本物のマーケティングとは、その1000人全員に全体最適である1つのブランドの完成形を意識させて、全社の全集中によって成果を導くためのノウハウとも言える。
綱引きをやってるのか?という質問に対して、その行為自体をやっていれば、おそらく多くの人が”既にやっている”という回答をすると思います。
ただ、森岡氏の言葉を借りると、同じ綱引きと言っても、それぞれが手元ばかりを見つめ、皆がバラバラに引いても勝てない、つまり本物の綱引き(=マーケティング)になっていない、ということでしょう。
どれほどのレベル感になれば、閾値に達するのかということはなかなか判断が難しい部分だと思いますが、少なくともその領域のトップ層の方々からすると、多くの人が行っていることは、行っていないこととほぼ同じであり、全く閾値には達していないということなのだと思います。
真新しい取り組みやトレンド、ウルトラCなどの施策を追い求めるのではなく、既に皆が当たり前に知っているようなこと、基礎的なことを”徹底して閾値まで達するように取り組むか”を考えて実行する必要があるなと感じました。
今回は以上です。少しでも何かの気づきになれば幸いです。
また覗きにきていただけますと嬉しく思います。引き続きよろしくお願いいたします。
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