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人が人を想うとき

5/18(木) 季節はずれの真夏日に


目白にある、お友達が店長を務める『threaF(スリーフ)』というお店へ向かった。
朝から陽射しが強く洗濯機を2回まわしてシーツも干し、家事は鼻歌まじりにてきぱきと済ませる。2日連続で30℃を超えた。

最近の小田急線の車内アナウンスは素晴らしくて、この日も新宿に着く少し前の、車掌による案内のアナウンスにほっこりした。1日のはじまりや疲れきった帰宅時に届けられるひと言に励まされたこともあった。この日は急に暑くなったことへの乗客への優しい気遣いが添えられていて、とても癒やされ元気がでた。車内も和やかな空気に。きっとその後は誰もが気持ちよく過ごせたに違いない。

学習院横の歩道は桜とイチョウの並木道

木陰と木漏れ日が優しい。

高校を卒業してひとり暮らしを始め、それ以来目白に長く住んでいたので、目白駅からのこの道を何千回と歩いてきた。「あぁ、この匂い!懐かしい」と思いながら、思い出のいくつもの日々を道に重ねる。
細かった桜の木の枝も幹も、すっかり逞しい。目白を訪れるたびに時の経過を思わずにはいられないのですが、桜の木からは私もそんなふうに見えているのかな。
街に来た当初はなんだか気恥ずかしくてカフェにさえひとりで入れない子で。たとえお店に入れたとしても、のんびり過ごすことができずにどこかそわそわ。注文したものを飲食したらすぐに出る、みたいな。笑
今では自ら各地の行きたいカフェを調べては、わざわざ訪れるまでに。


目白通りと明治通りの交差する地点に『千登世橋(ちとせばし)』という橋がある。当時住んでいたマンションからもわりとすぐで、明治通りへ下りる橋の階段脇に生えたモミジイチゴという木苺の実を毎年とても楽しみにしていた。5月も半ばなので、きっともうそろそろ実が生りはじめている頃だろうなと、近づくにつれて足どりも軽くなる。

ところが橋の手前に差し掛かると…!
木苺の樹どころか、明治通りと都電の線路沿いに及んで茂っていた大小の木々がこぞって無くなっていた。あまりのショックに炎天下の中 呆然と立ち尽くす。親しんだ風景がまた1つその様相を大きく変えてしまったのはとても悲しいことだ。

千登世橋から新宿方面。木々が無くなり明治通りが露わに。下を通る都電荒川線を、
ここから眺めるのが好きだった。

ほどなく、目的のお店が見えてくる。10m手前からでも分かるほどのコーヒーのいい香りが漂ってきていた。淹れたてコーヒーの店頭販売がちょうど開催される日で、イベント3回目にしてようやくその日に来ることが叶った。
店長の姿が見えたので両手を大きく振って笑顔で走り寄る。外にはすでに待っている方々がいて、私もご挨拶を終えてメニューを確認。こんな暑い日に淹れたての美味しいアイスコーヒーが飲めるなんて…!最高のイベント日和でした。

目白通り沿いには企業もあり、お昼休みの時間帯にはお財布を持った方々であふれる。ちょっと先には学校もあり、大学生から小学生まで、時間帯によっては登下校の賑やかな列ができる。そんな時にこのコーヒーのたまらなくいい香りがしてきたなら、きっとすごく癒やされ会話も弾むはず。

順番を待っている間、店内の商品を見て回る。コーヒーのイベントということもあり、いつもは無い飲食スペースが店内外に用意されていた。

お店を訪れたとき、毎回真っ先に足を運ぶコーナーがある。
『纏う植物』という、垣内紗貴さんというデザイナーさんの作る、植物の葉や花を細部まで再現されたアクセサリーのコーナーだ。作品一点一点へのこだわりや再現度と植物への深い愛が感じられてその感性と繊細さが大好きなのですが、そのディスプレイの仕方にも毎回ハートを鷲掴みにされてしまう。訪れるたびに少しずつ変わっていたり工夫がなされていて、今回も灰色の砂に落ちた銀の葉におもわず「素敵!」と声をあげずにはいられなかった。

昨年の秋に一目惚れをして購入したピンブローチは、私史上トップに君臨するお気に入りで、虫食いのヒュウガミズキの葉がモチーフ。冬には帽子やマフラー、秋と春にはトレンチコートに、現在は鞄につけて、まさにどこに行くにも『纏って』いる。もう少ししたら麦わら帽子に場所を移そうかな。色はシルバーなのですが、日によって色が違って見えるというか…色が乗って見えるのです!君はいったい何を言っているんだい?と言われかねませんが、秋に見たときは紅葉、冬には枯葉色に、春には新緑の若葉色に見えるのです。特定の色が付いていないからこそ、季節も問われず、移りゆく季節とともにそこに自分の想像する彩りを乗せながら一年中纏うことを楽しめる。このアクセサリーと巡り会えたのもこのお店だったのがすごく嬉しい。万が一落としたり無くしたりしてしまったら立ち直れないくらいの宝物。お出掛けをした際にはこのピンブローチを無意識に触り、どこかで落としてきてしまっていないかを確認するのが癖になっている。

お洋服でも雑貨でも、普段はゆっくり自分のペースでお買い物をしたい私ですが、ここのお店では贈りものソムリエが丁寧に相談に乗ってくれて、気になる商品についての疑問やこだわりの部分をひとつひとつ教えてくれる。特別なときや、誰かのためになにかを選びたいときにはとても心強く、信頼のお店なのです。こんな目的でこんなふうなものを差し上げたいとイメージを伝えるといろいろと提案していただけて、細やかな説明をしてもらえる。そもそも、お店に置いてある商品がどれもこだわりのある素敵な物ばかりなので、商品を見て「うわ!あの人に差し上げたい!!」と湧くことも多い。
今回は自分用のお買い物と別に、2ヵ月先の退職時に、お世話になった職場の方々一人一人にお渡しする品を決めた。大人数分なので大量発注の確認を取っていただけてホッとした。いいものに決まって一安心。やはりここで決めて良かった。

照明までかわいい☘
オーツミルク×デーツシロップのラテ

オーダーしたコーヒーはというと!
ひと口目で分かる「良さ」。良質なスキンケア商品に思うようなことをコーヒーで感じる。ラテに使われたコーヒーとミルクとシロップの塩梅と質、計算された味わい。飲み終わる最後の一滴まで美味しかった。大人気・大絶賛なイベントなのも、おかわりしたい気持ちになるのもよく分かった。

コーヒーを飲んだのは、この日以来のちょうど1ヶ月ぶり。もちろん『特別な日』となった⬇⬇


ブリューヒューマンコーヒーのオリジナルブレンド「あおとのぶれんど」とオーツミルク、お砂糖を使わない代わりに加えられたデーツシロップ。驚くほど身体への負担を感じない、軽いのにコクと味わいの深い本当に美味しいラテでした。

4月に行なわれた際のイベントの素敵な趣旨やご様子が載ったものをこちらにシェアいたします。ぜひお目通しいただけると嬉しいです↓↓


そう多くないコーヒーを飲んだ回数の中で絞られた、オーツミルク×コーヒーの組み合わせが大好きで、コーヒー好きの方にはいつも「カフェラテにするときはぜひオーツミルクで試してみてね♪」とおすすめしているほど。

近ごろでは、かの有名なSTARBUCKS COFFEEをはじめ、様々なカフェチェーン店でもオーツミルク変更を選択できるようになり、その他のカフェでもナッツ由来のミルクや豆乳を導入してくださるお店が増えて、選択の幅が広がったことがなにより嬉しく、いろんな方が生きやすくなったと思うし、動物や環境への負担を考えてくれる世の中になってきたように思う。少し前の時代ではとても考えられなかったこの進展と状況がすごく微笑ましい。


私は「暮らしに寄り添う」「日常を大切にする」「日々を豊かに」をコンセプトにしたものや生き方が大好きで、threaFに置かれた様々な商品も、日常に優しく頼もしく寄り添い支えてくれるものばかり。それは消費者にとっても、生産者にとっても、そして贈る相手にとっても。ちょっと嬉しくなっちゃったり、楽しくなっちゃうようなものだってある。
私が注文した商品も、湘南にある障害者福祉施設で受注制で手作りされているものだった。
退職の節目に贈る大切なもの。こだわりの良質な商品を選びたいのはもちろん、応援したいと思えるような生産者へ発注できることへの喜びも改めて感じました。環境や消費者を思う企業と、生産者とその試みや努力を思って選ぶ消費者の気持ちのその間を繋ぐあたたかなお店がthreaFなのです。


まだ見ぬ友へ

threaFに来た際にもう一つ楽しみにしていることがある。それは瓶に入った「メッセージ」。前回もあれこれと苦戦しながらも一緒にこのお店を訪れた友人と瓶の中のメッセージを取り出して、お返事を書いてまた瓶に戻しておいた。
相手は、このお店の前をいつも通る小学生とのこと。どうやら一人ではなく、複数人いるようだ。お互いにメッセージを読むには瓶からお手紙を取り出さなければならない。その作業や工程が、見えない友との絆を育んでくれているように思える。
あれから数ヶ月が経ち、どうなっているのか楽しみでもあった。瓶を見るとなにやら中身が増えていた。前回戻した方もすこしボロボロになっていたけれど、しっかりと一緒に入っていた。新たに増えた紙はA4の横線の入ったノートタイプの紙で、細く折り畳まれくの字型に折られて瓶に入っていた。その「くの字型」の厚みが瓶の口にちょうどつっかえてストッパーとなり、うまい具合に全く出てこないのだ。かなり難易度があがっていた。
店長と私と、ふたりで知恵も道具も使いながら、初めは指で、あとからマドラーや持参のボールペンやらを使って、引っ掛けたり滑らせたりしていろいろと試みるも、瓶の口まで出かかった紙になにか細工をしようとするとまた奥に戻っていってしまう。それを何度も繰り返しては、他に良い方法はないかと大人2人で真剣に頭をひねる。それを見ていた別の店員さんとそのお客様も加わり大人4人がかりで必死に汗をかいた。笑
何十分格闘しただろう。最後は私の智慧勝ちとなった(どや顔)。
コーヒーの販売員さんもいつの間にかその場にいて、5人で歓喜の拍手に湧く。
どうやって取り出したかはここでは伏せておきますね◎
ぜひお店を訪れた方々にもチャレンジしていただきたいです。一緒に楽しんでくださる方、大募集中です…!笑笑

私はいつかこのお手紙のやり取りをしているまだ見ぬ友に会える日を楽しみにしている。
そしてもしかしたらそれが叶うかもしれないお話があり、とてもわくわくしています…!

前回。
今回!

7月の高円寺でのゼロコの舞台『Silent Scenes』のチラシも置いていただけました♪


☘threaFのご案内はこちら☘


お店をすっかり満喫、いい時間になったのでお別れを告げて、この日のもうひとつの目的、お礼参りに。

介護福祉士の国家試験を受けるにあたり、心願成就や合格祈願のお守りを数人からいただいていた。試験が終わり合格が発表されてからも、各所へ提出する大量の書類に追われ、相変わらず机に向かう日々が続いていた。
今ようやく順々にお礼参りに赴いている。
寺院に長く勤めていた私ですが、これまで自分のためにお参りやお祈りをしたことが一度もなく、友人からお守りを頂いたときは本当にびっくりして嬉しくて泣いてしまった。誰かのために何かをするときは、ただ“想う”だけでなく実際に行動することが大切なんだと改めて思った。私の行動力もこれまで以上に、人への想いや愛を根源に起こしていきたい。

雑司が谷の大鳥神社は『threaF』からも歩いていける距離で、この辺はもはや私のお庭。今は無き東急ハンズやサンシャイン方面へ行くにも、豊島区役所に行くにも、都電沿いに年中往復して歩いていた。

平日ともあり、人もまばらで心落ち着くのどかな時間が流れる。


□はむはむ動画のおすそ分けです🐈
(ぜひ音ありでどうぞ♪)

鳥居のところで迎えてくれた猫。境内に生えるカタバミを食んでいた。神社の猫ってなんだか神聖な気がして、神の遣いかな…?とか思ってしまうのは私だけでしょうか。
猫と私だけの時間。風と木漏れ日と鳥の囀り、竹でできた旗が軋む音と、都電の音が心地よかった。深呼吸をたくさんした。


それから私は最近、神器を手に入れた。それを背負っての活動をこの日から開始したのでもうひとつだけ行っておきたい場所があった。
大道芸関連で知り合い、ずっと仲良くしていただいている方から教えていただいたとある神社。遠征や推し活にたいへんご利益のある神社と伺っていた。機会は今しかないと思った。神社から神社へのはしごだ。

こんな画期的なリュックが
世の中にあったなんて…!

ヲタ活界隈では有名なリュックだそうで。知らない世界はまだまだあるなぁ。
3月のこまばアゴラ劇場でのゼロコの公演『The Writer』の時には、半透明なアタッシェケースにチラシを入れてどこへゆくにも持ち歩いて宣伝していたけれど、アタッシェケースは腕に掛けられない持ち手をしているので少々不便だった。それにチラシがどうしてもアタッシェケースの形状上、横を向いてしまう。雨の日には傘とアタッシェケースで両手が塞がる。ハンズフリーにするにはリュックにラミネート加工したチラシをどうにかして装着するしかないのかなぁ、とか考えていたところだった。そんな考えや悩みをお話したのも、神社を教えてくれたこの友人。するとその後、そのお話をどこかで聞かれていたかのようなタイミングで、とある方から擬態バックパックの情報が…!!

ちょっと海外のサイトだと怖いので、そのあたりを確認してからポチる。
もちろんお礼のDMも欠かさずに!突然の身に覚えのないすごい熱量のお礼のDMに、お相手は笑ってくれた。笑

これからは私の歩くところどこでもが広告となる。人間広告塔という言葉があることも初めて知った。
人の目にとまるように背負う向きや歩く速度や場所にも細かく気をつける。裏面にある予約ページへ飛べるQRコードや説明書きが表にあったほうがいいなと改良を重ねたりも。公演までの(いや、公演当日も!)1ヶ月半 毎日背負うつもりでいる。
長い人生の中での1ヶ月半など、とても短い。今できることを本気で全力ですると決めている。

そんなバックパックを実はこの日は朝から背負っていた。


□公演の詳細はこちら🕊️


懐かしい場所ばかりに縁がある不思議な日というのはこの日のことで。
副都心線の雑司ヶ谷駅のホームへ降りる階段やエスカレーターでのこと、電車の入線による風圧で押し出された空気が、地下から吹き上げ強風となって襲う。そうそう、この風…!久々に会えた友人のように愛おしく思えた。
御茶ノ水にある順天堂医院への通勤に、池袋経由で丸ノ内線を使っていたので、懐かしのルートにより数年前がどっと蘇る。


珍しく迷子になることもなく、聴いていた都内のとある神社に順調に辿り着き、お詣りをした。
普通はこういうとき、みんな自分の旅程や遠征の道中を願うのでしょうけれど、私はまったくもって欲がない。やっぱり御祈りをするなら人の為に。
ゼロコの旅の道中を真っ先に願った。私よりも遠征をしているのはゼロコだからだ。
ゼロコのお陰であちこちへ行く機会をいただけていることにたくさん感謝をしました。

その神社からちょこっと行ったところにある素敵な喫茶店をご紹介いただいた。ここからお家までは1時間以上かかるので、帰宅前にもう一度涼をとりながら少し早い1日の振り返りをした。



人が人を想うとき。
それもまた日常のいたる場面にいくつも存在していて、いろいろな思いが重なり合い交差している。


決して見えないけれど。私の日々は多くの想いに支えられている。私も日々人を想う。
目には見えないところにも、想いや配慮や目が行き届く人間でありたいなと感じた。


いくつものご縁にたくさん感謝をした1日でした。

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