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赤ワインと豚汁、合う?

基本的に夜は「呑めればいい」と思っている。だけど、こだわりゼロなわけじゃない。むしろメニューの組み合わせにはうるさいほうだ。

といってもメインが和なら、副菜も和というシンプルなマイルール。お惣菜で済ませるときも、やっぱりおかず同士の距離感には気を使う。ごはんのテイストが決まって、ようやく本日の一杯が定まる感じ。

くつろぎタイムに、大好きな小説家恩田陸氏のエッセイ本をぱらぱらめくっていたら「赤ワインと豚汁」という一編が目に止まった。

これが氏の小説なら、ほのかに猟奇的な気配がにおってきそうなタイトルだけど、なんてことはない。赤ワインと豚汁が合うよっていう、私としては「えーっ!」な話だ。

しかし即座に頭でペアリングしてみると、不思議と合う。こっくりとした味噌の深みとタンニンの渋み、コレ絶対に合う…!

同棲中の彼から「珍しいね」と奇異な目で見られつつ、うきうきしながら食卓に豚汁と赤ワインを並べる。思い返すとステイホームでいよいよおかしくなったかと思われかねない組み合わせだ。

まず豚汁をひと口すする。上出来だ。出汁昆布とかつお節でとった上品なダシがじんわり体に沁み渡る。

そして赤ワインをひと口。名前は長くて覚えていないが、クラフト感のあるベージュのラベルに、オーガニックを示すてんとう虫のロゴが入ったプチプラワイン。近くのスーパーにハーフボトルが常置されているので、肉肉しいメニューを食べる時かなり重宝している。

ふつーに仕事終わりの一滴が沁みて、組み合わせにまで頭が回らなかった。今度は豚汁の具を食べて、赤ワインをひとすすり。

危険だ。このワイン、こんなに美味しかったっけ? というくらい、味噌がワインの甘さを引き立てる。予め冷蔵庫で冷やしておいたこともあって、すっきりコクコクと呑めてしまう。危険すぎる。

正直に言えば、この豚汁には白でもいいかなと思った。味噌の種類や量、煮込み具合にもよるのだろう。もっとコックリした味噌料理なら赤、出汁を楽しむなら白。

食べながら、冬が終わらないうちに白ワインとおでんのペアリングにも挑戦したい、とこっそり決めた。


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