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刑事の僕、殺人鬼の兄。「ブラッド・ブラザー」(J・カーリイ)

僕の呼吸はひとつ残らずジェレミーの贈り物だ。

異常犯罪専門の刑事である「僕」の兄、ジェレミー・リッジクリフは、きわめて知的で魅力的な連続殺人犯。兄が収容されていた施設所長の惨殺死体が見つかり、僕に連絡が入る。兄は脱走し、そしてはじまる連続殺人ーー。

面白い海外ミステリならこれを読め! 的なガイドブックから気になる作品を20冊くらいリストアップしたうちのひとつ「ブラッド・ブラザー」。シリーズものと知らず読みはじめて、最後に4弾目と気づきやっちまった感。

まあこの作品自体、とても面白かったけど、どうせならシリーズ順に読んでいきたかったというのが本音。ちなみにシリーズ1作目「百番目の男」もリストに入れてました、わたし…。

壮絶な虐待家庭で育った僕ことカーソンを救いだしてくれたのが、自らの手を汚して父を葬った兄ジェレミー。しかし父殺しでリミッターが外れてしまったジェレミーは、連続殺人鬼に……。こういう歪んだ絆の物語、大好き!

「きわめて知的で魅力的」というジェレミーのあらすじ文には偽りなしで、脱走後の収入源や潜伏先の確保がじつに鮮やか。

天才を描くために、周囲をバカっぽくするという作品をたまに見かけるけど、ジェレミーが単に優れているだけで、警察がどうしようもなく無能ってことは一切ない。ずば抜けた観察眼と他人の掌握術で、ジェレミーはなんなく障害を乗り越えていく。

リッジクリフについては証拠なんかないよ、警部補。僕の直感を信じてもらうしか。現時点では、きみが一番頼れるのはこの直感さ

シリーズものと知って、「なら、まあアリか…?」と納得したのは、僕ことカーソンが結構感覚で捜査を進めようとするところ。シリーズとしては4作目だけど、私は初見だったのでそこまで彼に信頼感がなく…。でもまあ、ともに歩んできての4作目だったら「そうだ! いけいけカーソン!」って感じだったのかも。

目下の悩みは、続きを読むか、最初に戻るか。まあ、今の読みたいリストが終わってからの話だけども。シリーズ1作目は映画になる話があったみたいだけど、今のところ実現していないみたい。連続ドラマ化してくれたら毎週欠かさず観るけどなー(というか、観たい)。


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