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【レビュー】唯一無二の「推し」が炎上したら?

もう1月後半ですが、やっと2本目の更新!おひさです、アヤハです。

最近文学小説を読む回数が減ったので、芥川賞の発表を機に注目作品を読んでみようとKindleを開いたのですが、今年の芥川賞作品「推し、燃ゆ」、タイトルに惹かれて迷わず購入しました。

ワタシも「推し」という言葉を使う者、これは読まないと!と使命感に近いものを感じ、ワクワクしながら読んだわけですよ。

まぁ、最終的にはワクワクできる話ではなかったのですが…。

本のあらすじはこう↓

推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。

高校生が推しにハマり、推し中心の生活だったところに推しの炎上ニュースが舞い込んできた。そこから彼女の推し中心の生活が崩れていく様子が書かれています。

とにかく本書のキーワードは「推し」です。そもそも推しとはなんぞや、という方はGoogle先生に聞いてみてください。

タイムリーにYouTuberのワタナベマホトの衝撃ニュースがトレンドに上がっていたので、これはもうマホトの話じゃん!と思いながら読んでたのですが、途中からそんなことは忘れ、​1時間半ぐらいで読み終わりました。

マホトほど自業自得と思いつつ、彼の人生大変だ…と思える人はいない。

それはさておき、著者は大学生、多分彼女も推しがいるのでしょう。表現がとてもリアルで自分ごとのように考えられる内容でした。

※ 注意 ※
ここから先はネタバレを挟みつつ、ワタシの感想と解釈が入ってくるので影響されたくない方はここで引き返してください!

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推しとは尊いものです。唯一無二。彼らの前ではIQも下がり、他のことなんてどうでも良くなり、ため息と「好き」「無理」という単語しか出てきません。

わたしにとっての推しは、言わずもがな BTS です。7年前に初めて彼らのステージを見て、そこからずーっと遠いとこから応援しています。彼らの姿、動作、曲、声、全てが好きです。会いたいとか触りたいとかじゃなくて見てるだけで胸が苦しいやつです。

(好きな)理由なんてあるはずながない。存在が好きだから、顔、踊り、歌、口調、性格、身のこなし、推しにまつわる諸々が好きになってくる。坊主み憎けりゃ袈裟まで憎い、の逆だ。その坊主を好きになれば、着ている袈裟のほつれまでいとおしくなってくる。そういうもんだと思う。(本書引用)

わたしにもそういう存在がいるので、主人公のあかりの気持ちがよく分かるのです。この文章も、うんうん分かる、と思いながら読んでました。

あと、ファンはよく「かわいい」という言葉を使うのですが、このかわいいは見た目に対するかわいいじゃないんですよね。ほら、BTSだって、客観的に見ると可愛くはないじゃないですか。

その「かわいい」をあかりは、

からす、なぜなくの、からすはやまに、かわいい七つの子があるからよ、の歌にあるような「かわいい」だと思う。守ってあげたくなる、切なくなるような「かわいい」は最強で、推しが何をしてどうなっても消えることはないと思う。(本書引用)

と言ってます。正解です。母が子を思うように、推しが人気になって離れていくのは寂しいけど頑張って欲しいから影から応援する、なんだかしんどそうだって聞いたらこっちまで胸が痛くなる。そんな存在を「かわいい」と表現してます。


本の中では書かれていなかったのですが、あかりは知的障害(発達障害?)を持っているようです。推しに全力すぎる。

推しのことであれば一言一句メモして覚えられるし、推しを「研究」しているので少しの違和感も読み取れる。ただ、生活においては物を覚えることができない、イレギュラーな対応を求められたらパニックになる、片付けができない、推しのために自分の身を削ることに存在意義を見出し徹底的に自分を追い込む。

ここが本書においてダークな部分で、ワクワクから遠ざけられた部分。

あかりは推しのライブのためにバイトを毎日のようにいれ、時間があれば推しのラジオ、テレビ全てチェックする。投票や握手会のために20枚ほどのCDを買い、発売されてるグッズは買い占める。極め付けに、推しに見せたくないと中古ショップで売られているグッズも回収する。

ぶっちゃけ、こういう人はたくさんいます。別に障害ではないとしても、推しのために全てを捧げ推しのためなら自分の全生活、財産全て捧げられる!という人。

あかりの推しは炎上した後、アイドルを辞め、芸能界を引退し「一般人」になります。彼女はもう今後推しを追えなくなるのです。

ここから彼女は推し中心の生活ができなくなり、普通の生活(お金を稼いで家族がいて友達がいて)も無くなり、社会から遠のきます。

そこで物語は終了です。

この本、読む側の精神状況や環境によっては病みますね。でも、こういう人は世の中にたくさんいるわけで、「オタク」って結構危険だと思うんです。ハマりすぎて沼状態になると宗教化しちゃって、その人がいなくなると崇高するべき人がいなくなり、心空っぽ状態。

二次元ならまだしもアイドルなど「人」を追いかけている人は特に。彼らも人間、同じ感情を持つ生き物です。問題起こすかもしれないし、いきなり結婚するかもしれないし、死ぬかもしれない。

どんな状況がきても前向きな悲しみができたらいいですね。ワタシもBTSが燃えたときは、冷静に引き続き応援できたらいいなと思ってます。

144ページしかないので、さっと読めると思います。正直文学になれていない人は表現が比喩表現も多く難しいかも。でも、自分に「推し」がいる人、周りに「推し」に夢中な人がいる人、「推し」がいなくてもその世界を見てみたい人におすすめです。

以上、BTS 全推し(強いて言えばほそく推し)の小説レビューですた!

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