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SXSWの歩き方-海外コンベンションのススメ-

米国はテキサス州オースティンで開催中のSXSW(サウスバイサウスウェスト)に来ております。

コロナ渦を抜けてようやく平常開催となった今年、さらに2022年のSXSW映画祭オープニングフィルムであった「エブエブ」がオスカー7冠をゲット、さらにChatGPT-4の公開とほぼ時を同じくしてOpenAIのGreg Brockmanの講演があったりと大変な盛況ぶりを見せていました。

学びは落ち着いてから書くとして、今回はSXSWのようないわゆる海外コンベンションにあなたはいますぐ行くべきかもしれないという主張をぶちかまします。

《こんな人に読んで欲しい》
-20代後半から30代くらい
-特に女子
-"グローバル"に憧れやコンプレックスがある
-自分って何者?というモヤモヤがある

海外コンベンションは若いうちに。自腹でも行くべし

私は2016年からこれまでに4回、SXSWのような海外コンベンションに行ってまして。

初回:2016年/miptv/フランス・カンヌ
世界最大級の国際映像コンテンツ見本市。TV業界のお祭り。「クイズミリオネア」とかがフォーマットとして売買された場所

カンヌ・miptv会場入り口


会話についていけず、シャンパン片手に顔引きつる

2回目:2019年/ADFEST/タイ・パタヤビーチ
アジア太平洋を代表する広告祭の1つ。カンファレンスというよりは広告賞の審査と受賞式的な要素が強い。


THE PARTY BUSという作品でグランプリ受賞
ビジネスコンテストみたいなやつで個人でも受賞。わが全盛期

3回目:2019年/Cannes Lions/フランス・カンヌ
ギョーカイでは説明不要な広告フェスティバルのラスボス的存在。広告賞の審査・受賞がメインだがカンファレンスやセミナー類も充実。


受賞はできなかったけど会場でドヤつく女

NEW !
2023年/SXSW/アメリカ・オースティン
音楽・映像・インタラクティブ・テックなどさまざまなジャンルをごっちゃにした大規模イベント。Twitter躍進のきっかけの地としても有名

イギリスのバンド New Orderのステージ


オースティン在住の会社の同僚と

アドフェストとカンヌライオンズは前職の資生堂で手がけた作品のファイナリスト枠で、今回のSXSWは会社のサポートで行かせていただきましたが、2016年のmiptvは自腹で行きました。

現在は外資系企業で働き、マルチリンガルライターとか名乗っているわたくしですが、海外留学や駐在の経験はありません。2016年当時はもっと英語もできず、右も左もわからぬ海外コンベンション、しかも自腹、しかも一人。当然けっこう恥ずかしい思いをして、しかしそこで得たものが今のキャリアをつくっているなあと実感できるのです。

だからもう一度声を大にして言います。

海外コンベンションデビューはぜひ、若いうちに
自腹でも行くべし。むしろ自腹おすすめ

なぜ若いうちか。
一つは、自分がこれからどうなりたいか、どういう場所にいたいのか、明確なヒントをもらえるから。
もう一つは、何もわかりません、教えてください。という態度が許されるのは若いうちだけだからです。

なぜ自腹なのか。
シンプルに、元を取ろう、何かを掴んで帰ろうと必死になるからです。
多くの人にとってこれらは会社のサポートで行くものだと思うのですが、海外で楽しく飲んで遊んでもタダ、必死に勉強してもタダ、であればどうする?まあ、会社に怒られない程度には遊びますよね。

初参加のカンヌに泣かされる

2016年、カンヌ。エメラルドのように美しい南仏の海を眺めながら、私は泣いていました。

世界中から集まってきた、立ってるだけでかっこいい人たち。売るぞ!買うぞ!という気合いをギラつかせてあちこちで交わされるエネルギッシュな会話。なんか刺激的っぽい勉強会。当然英語。なので半分くらいしか分からない。確かにそこに転がっているのに触れられないアメリカンドリーム。会話についていけずただヘラヘラするしかできない謎のアジア女。

いちばん辛かった質問は「何しに来たの?」でした。

きっとこの場所で大事なのは、あの有名企業から来たXXです〜とかいうことより、自分は誰で/何をしていて/この場所に何を求めているか、はっきり自分色の旗を立てられる人なんだと、身にしみてわかったものです。
(そしてそういう人は、必ずしも英語が流暢ではなかったりします)

私はまだ何者でもないっぽい。じゃあどうすればいいか?
帰りの飛行機でノートにびっしり書いたメモは、いまも大事にとってあります。

ここで、ちょっとでも海外コンベンション行ってみたいかもと思ってくださったあなたに、僭越ながら私の数々の失敗をベースに構築した「海外コンベンションの歩き方五箇条」をお伝えしたいと思います。

海外コンベンションの歩き方五箇条

  1. 服は手持ちの中でいちばん派手なやつを

  2. Wi-Fiは超高速・無制限の一択

  3. 一人で行動し、隣の知らん人に話しかけまくる

  4. パーティーは「機会があれば」くらいに割り切る

  5. 自分の安全は自分で守る

1.服は手持ちの中でいちばん派手なやつを

ギラついた服でいきましょう。露出?無問題です。パンツさえ履いてればあとはOK。悪目立ちするのでは?ノープロブレムです。あなたの8億倍くらい派手な人がゴロゴロいるので、まったく目立ちません。

まあ、要するに自分がしたい格好をしましょうという意味です。TPOという概念は同質なコミュニティにのみ成立するものだということがよくわかります。

2.Wi-Fiは超高速・無制限の一択

海外コンベンションで何をおいても欠かせないのは「情報」です。スマホが死んだら詰みます。次はどこの会場で何をやっているのか。そこへはどう行くのか。知り合った人との情報交換。さらに情報戦=スピードが命なので、通信環境はケチらずいきましょう。

3.一人で行動し、隣の知らん人に話しかけまくる

向き不向きはあるでしょうが、なるべく一人で行動した方が学べる総量が多くお得だというのが私の結論です。特に気遣い屋さんで人にひっぱられがちな人は、思い切って一人で「自分は何を知りたいのか」「自分は何が面白いと思うか」に向き合ってみるのも良いと思います。

そして会場には、ここにしかない無尽蔵の出会いが転がっています。会場で隣の席になった人に「トイレ行くから荷物見ててくれへん?(英語)」とか「自分、ここ初めてなんか?(英語)」とか定型文で話しかけまくりましょう。未来につながるご縁ができることもありますし、気まずくなったら”Have a great day!”と言って立ち去ればよいだけの話です。

4.パーティーは「機会があれば」くらいに割り切る

“パ圧”に負けてはいけません。海外コンベンションはもれなくスポンサー企業による派手なパーティーがあちこちで開かれており、”パーティー行かなきゃ圧(パ圧)”がすごいです。さらにフリードリンク&フードが基本なので、パーティーのはしごでスケジュールを埋めちゃう人も少なくない。私もはじめそうでした。映える写真撮れるしね。

映える写真例

しかし考えてみましょう。そのパーティーは何のために開かれている?
ビジネスのためです。そしてスポンサー企業が接待したいのは残念ながらタダ飯目当てのあなたではないのです。

自らモブになりに行く必要はありません。
あなたが行くべきパーティーは、あなたをぜひお呼びしたいと乞われるパーティーのことです。

5.自分の安全は自分で守る

初めての土地では予想外のことがたくさん起こります。
まさにこれを書いている今も、嵐でフライトがキャンセルになり2延泊中なんですけれども。

トラブルが起こった時も基本は自己責任。お客様は神様カルチャーから来た日本人には驚くほどドライでそっけない対応をされますし、言語の壁がある場合はなおさら不安でしょう。

  • 治安の悪いエリアに行くなど必要以上の冒険はしない

  • 一人参加であっても、いざというとき連絡を取れる人を確保しておく

  • 節約しすぎない(宿泊・移動手段など)

  • 特に女性は、ヘロヘロになるまで飲まない

などなど「備えるから冒険できる」と心得ましょう。
それでもなんかあった場合はもう楽しむしかないです。私も大概のトラブルはフルコンボで経験していますが、命と健康さえ無事なら経験値になります。

てな感じで、3年ぶりの海外コンベンションであるSXSW、
EVERYTHING -あらゆることが
EVERYWHERE -どこでも
ALL AT ONCE -いっぺんに

といえるほど刺激と変化に富んだ1週間(と予期せぬ延泊2日)でした。

さてここから何が始まるのか、楽しみでなりません。

“Ladies, don't let anybody tell you you are ever past your prime. ”
レディーたち、あなたが一番輝ける時が過ぎたなんて誰にも言わせないで。

私の好きな言葉です。
最高だぜミシェル・ヨー姐さん。
ではまた。


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