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エッセイなど

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綾門優季の執筆した、どちらかと言えばエッセイ寄りの文章をまとめました。
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#エッセイ

『蹂躙を蹂躙』を蹂躙せずに大切に大切に育てること

『蹂躙を蹂躙』を蹂躙せずに大切に大切に育てること

綾門優季+三橋亮太『おまおまいういう』が、5月7日(日)に終わりました。
ご来場のみなさま、ありがとうございました。

そもそも『おまおまいういう』って? という方は、上記の公演詳細をご確認ください。

ここでは、『蹂躙を蹂躙』ワーク・イン・プログレス公演(2023年2月 北海道・シアターZOOスタジオ)、『蹂躙を蹂躙』(2023年5月 東京都・アトリエ春風舎)、これからの『蹂躙を蹂躙』(2023

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アフタートークのアフタートーク(10連発猛省モード)

アフタートークのアフタートーク(10連発猛省モード)

ありがたいことに11月12月1月と本番が立て続けにあり、喜ばしいことではあるのだけれども目の前のことで脳味噌フル回転状態がずーっと続いていてあああああ「パーン!!!」ってならないよう、リフレッシュのために「特にいま言う必要のないこと」をバババッと書きつけることで気持ちを落ち着けたいと思います。せっかくだから誰かの役に立つ部分が少しでもある文章ならいいと考え、テーマをアフタートークにしました。今や避

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『景観の邪魔』の話。あるいは、人は住んでいる土地を愛さずに生活が出来るのかどうかについて。

『景観の邪魔』の話。あるいは、人は住んでいる土地を愛さずに生活が出来るのかどうかについて。

こんな家嫌いだこんな街嫌いだ深夜に泥酔した大学生のわめき声もコンビニで頻繁に会うエロ本コーナーの番人のようになっている汚いおっさんもなんべん追い返しても来るNHKもなにもかもなにもかも嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ嫌いだ今すぐ出る今すぐ出るこんなところ。
自分の部屋の前で深夜1時だったか2時だったか30分以上、オーバードーズでもしたんじゃないのかという変則的な暴れ方で扉をどんどんどんどん叩いて延々と甲高

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新作漫才が怖かった件。

新作漫才が怖かった件。

お布団の哲学『対話篇』の稽古場見学にはじめていった。初演と再演で主な変更点はふたつ。

・男優が入江さんから松尾さんに変わったこと。
・劇中に挿入される漫才のシーンで、新ネタを書き下ろしたこと。

松尾さんは韓国から帰国したばかりでセリフがまだ完全には入っていないので、まだまだこれからという感じだったのだけど、漫才のシーンがこわい、という、いったいぜんたいどういうことかよくわからない一報を受けて稽

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想像力が大切なのは時と場合によります。

想像力が大切なのは時と場合によります。

お布団の哲学『想像を絶する』の稽古で爆論した。ざっくりまとめると「第一部はともかく第二部出来るわけねえだろコノヤロウあと戯曲がフツーに技術的に稚拙」っていうやつで、爆論が終わる頃には「これは1000%自分が悪いやつだ」ってなったので反省しながら改訂した。関係ないけど稽古場を2回間違えて遅刻して3回目に辿り着いた結果、爆論としてはちょうどいい尺のものになった。けど遅刻してごめんなさい。

自分の戯曲

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災害について

災害について

これは演劇ではないブログ 10《2018.9.16》

ひらがなでブログを書いていくシリーズの第二弾を本来お届けする予定でしたが、誕生日の9月6日に大地震が起きるという後味の悪い出来事があり、気が変わったので通常状態の綾門でお送りします。

『前世でも来世でも君は僕のことが嫌』(戯曲)
https://note.mu/ayatoyuuki/n/nbd514fcbeab2

2018年12月、青年団

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『TTTTT』企画にあたって

『TTTTT』企画にあたって

戯曲は演出家次第で、無限の変容を遂げる。
それは今回の『TTTTT』稽古期間中に、身をもって実感した。

僕は現在、意図的に作・演出を放棄している。
理由は簡単だ。
なるべく多様な上演が生まれるように、解釈がひととおりにならないように、細心の注意をはらいながら普段、劇作家の僕は戯曲を執筆している。
にも関わらず、作・演出を続けていると、その時に自分が主宰しているカンパニーでの上演がある種の「正解」

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対話篇/戯曲ノート#2

対話篇/戯曲ノート#2

対話篇に出て来る人たちは多かれ少なかれ謙虚で、僕とは遠い人物になるようにした。

対話をすることが良いことだと思っているけれども、お互いに出来るだけわかりあった方がいい、と実は僕は考えていない。こんなことを言うと訝しがられるからあまり口にしないが、時々「自己中心的じゃなさすぎる!」と誰かを罵りたくなることがある。あまりにも話が通じすぎて、社会に順応しすぎていて、そのひとの特徴が全く掴めないと、苛々

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対話篇/戯曲ノート#1

対話篇/戯曲ノート#1

Aマッソ、尼神インター、すごい論、Dr.ハインリッヒ…。配役が女性二人になったのは偶然だが、漫才師の話を書くぞ、と意気込んで膨大な量の漫才を見、どの漫才もすこぶる面白かったけれども、そんなに漫才の登場しない、当初の予定とはぜんぜん違う話になってしまった。こういうことはよくある。書いているうちに、ハンドルを切り損ね、アクセルとブレーキを踏み間違え、とんでもないところに辿り着いてしまうことが。

そう

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